Aa Aa Aa

昨年、キーンランド・セプテンバーセールで最初の上場馬を落札した中内田充正調教師。だが、この全米最大規模の大型セールと中内田師の縁はそれだけでなく、同セール出身馬からケンタッキーダービー候補となり得る逸材を見つけ出した。

2024年のキーンランドセール出身馬、マグナヴィクトルが阪神競馬場で衝撃的なデビュー戦を飾った。

ダーレー・アメリカの新種牡馬、マックスフィールドの産駒日本初出走となったマグナヴィクトル。阪神競馬場のダート1400mの2歳新馬戦で迎えた初戦では、その前評判の高さから単勝1.1倍の圧倒的1番人気に支持された。

川田将雅騎手を背に好スタートを決めると、そのまま先手を奪い、序盤は速いペースで飛ばしたが、中盤で落ち着いて脚を温存。直線に入ると、川田騎手はほとんど手綱を動かすことなく後続を一気に突き放し、最後は教育の意味を込めて軽く促すだけで10馬身近い大差の圧勝を飾った。

「扱いは簡単な馬ではありませんが、その能力に疑いの余地はありません。無事にレース後も止まってくれて安心しました。良い成長ができるように、じっくりと育てていければと思います」と川田騎手は語り、同馬のポテンシャルの高さを褒め称えた。

マグナヴィクトルは年末、ケンタッキーダービーに向けた日本国内のポイント対象レースのいずれかに出走する可能性がある。11月29日に東京競馬場で行われるカトレアステークス、もしくは12月17日に川崎競馬場で行われるJpn1・全日本2歳優駿(ともに1600m)で姿を見せる可能性は高いだろう。

今回の勝利によって、中内田厩舎のキーンランド出身馬がデビュー勝ちを収めたのは1週間で2頭目となった。前週日曜には、アンクルモー産駒で100万ドル(約1億5,000万円)で落札されたマテンロウダビンチが、新潟ダート1800mの新馬戦を6馬身差で制している。

リバティアイランド、プログノーシス、セリフォスなどを手がけた手腕で知られる中内田師は、昨年のキーンランド・セプテンバーセール前半戦で積極的に高額馬を購入したが、マグナヴィクトルは「価値は様々な形で見いだされる」という証明ともいえる存在だ。

上場番号2003番で上場されたマグナヴィクトルは、ニューヨークでステークス勝ちがあるアイインザスカイの2番目の産駒という血統。ただし、昨年のセール時で落札したのは中内田師ではなかった。

当時、7万5,000米ドル(約1100万円)の価格で落札したのは、ピンフッカーのポロブラッドストック。好素材の幼駒を格安で仕入れ、自身で育成してセリで再販売するピンフックビジネスで名の知れたパートナーシップだった。

MAGNA VICTOR / Photo by Keeneland

その後、今年初めのOBSマーチセール(トレーニングセール)で再上場され、中内田師が株式会社山紫水明の代理人として100万ドル(約1億5,000万円)で落札した。

なお、中内田厩舎には、昨年のセールで上場番号1番だったカーリン産駒のゴンフィンガーもおり、こちらはまだデビュー前。同馬のオーナー人気ゲーム『ウマ娘』運営企業の創業者であり、フォーエバーヤングの馬主でもある藤田晋氏だ。

中内田調教師と藤田氏が購入したキーンランド出身の2歳馬は他にもスタンバイしており、G2勝ち馬ポイントオブオナーの仔でイントゥミスチーフ産駒のブームバップビート(125万ドル)、同じイントゥミスチーフ産駒のウェイニースー(100万ドル)も厩舎に控えている。

ウェイニースーは今週日曜の阪神でデビュー予定となっている。

今後の展望: 「ダートの日本代表」として世界進出する可能性がある逸材

IDOL HORSE、多言語で展開するグローバル競馬ニュースネットワーク。

Idol Horseの記事をすべて見る

すべてのニュースをお手元に。

Idol Horseのニュースレターに登録