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土曜日、数ヶ月前に引退していたオーストラリア年度代表馬プライドオブジェニが、サプライズとも言えるレース復帰を果たす。そして、このチャンピオン牝馬と同様に、物議を醸す馬主であるトニー・オットブレ氏にも注目が集まっている。

オットブレ氏は、その率直で型破りなアプローチで注目を集めてきた。G1・クイーンエリザベスステークスでの歴史的な大逃げ勝利の1年前、プライドオブジェニの陣営に逃げ戦法への転向を要求し、その後10月のG1・キングチャールズ3世ステークスで思い通りにならなかった際には、他馬の騎乗ぶりについて裁決委員に苦情を申し立てた。

引退発表時には、イクイノックスへの種付けのための日本滞在をぶち上げたが実現せず、今回、彼女を再びトレーニングに戻すという大胆な決断を下した。なお、鞍上に指名したのはクイーンエリザベスSでの有名な大逃げを成功させたデクラン・ベイツ騎手ではなく、ベテラン騎手のクレイグ・ニューイットを選んだ。

競馬場での華々しい活躍はさておき、その舞台裏でも同様に多くのドラマが繰り広げられてきた。

オットブレ氏は率直な人物であるが、オーストラリア競馬界で物議を醸す馬主は彼だけではない。7度のG1勝利を挙げたアリゲーターブラッドの馬主、アラン・エンドレス氏も意見が分かれる存在だ。

歴史的に見ると、競馬は自分の馬が他の馬より優れていることを競う馬主同士の賭け事が中心であった。何世紀にもわたり、競馬は近代化し世界中に広がってきたが、型破りな馬主という存在は世界的に共通している。

例えば、チャンピオンマイラーであるグッドババの馬主、ジョン・ユエン氏を思い出す人も多いだろう。ユエン氏は、3度の香港マイル勝ち馬であるグッドババの厩舎を頻繁に変更したことで、裁決委員から公式の警告を受けた。アンドレアス・シュッツ厩舎での3回の在籍、トニー・ミラード、アレックス・ウォン、デレク・クルーズ、マイケル・チャン各厩舎での在籍があり、これにはマカオのゲイリー・ムーア厩舎やオーストラリアのリック・ホア=レイシー厩舎での在籍は含まれていない。

日本では、1991年から1992年にかけてサンエイサンキューを積極的に出走させた岩崎喜好氏が厳しい批判を受けた。調教師、調教助手、騎手の反対を余所に、岩崎氏は厳しいローテを押し通して1992年の有馬記念への出走を決定したが、サンエイサンキューはラスト200m地点で故障してしまった。

Christophe Soumillon, John Stewart and Francis-Henri Graffard ahead of Goliath's Japan Cup tilt
CHRISTOPHE SOUMILLON, JOHN STEWART, FRANCIS-HENRI GRAFFARD / Tokyo // 2024 /// Photo by Lo Chun Kit

現在のアメリカでは、ビタミン飲料で財を成した億万長者のマイク・リポール氏や、積極的な投資で有名なジョン・スチュワート氏など、数多くの大胆な馬主が存在する。彼らの馬は今年、何度も競馬場で対決することになるが、ソーシャルメディア上での舌戦が激しいライバル関係を築いている。

大スクリーンで描かれた競馬のドラマには、率直な馬主が悪役として登場することが多い。映画『シービスケット』では、ウォーアドミラルの馬主であるサミュエル・リドル氏が登場する。

リドル氏は、米国東海岸以外での競馬を軽視しており、彼の最高の馬であるマンノウォーはケンタッキーダービーに出走しなかった。リドル氏の目には、カリフォルニアはトップレベルに比べて五流のように映り、同州の最高の馬であるシービスケットからの挑戦の見込みは笑止千万だった。

もちろん、歴史はシービスケットがウォーアドミラルとの1938年の有名なマッチレースで勝利したことを記録している。

多くの紙面上では、プライドオブジェニは土曜日のG2・ピーターヤングステークス(芝1800m)で勝利する可能性が高い。彼女は楽なペースで先頭に立ち、馬齢重量戦でありながら、ベストパフォーマンスを発揮しなくても勝利を収めることができるだろう。しかし、もし敗れるようなことがあれば、オーナーの判断が槍玉に上がることも想像に難くはない。

Idol Horse reporter Andrew Hawkins

Hawk Eye View、Idol Horseの国際担当記者、アンドリュー・ホーキンスが世界の競馬を紹介する週刊コラム。Hawk Eye Viewは毎週金曜日、香港のザ・スタンダード紙で連載中。

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