【セレクトセール】「日本馬に注目してきた」マイク・リポール氏、日本競馬への本格参入に興味

アメリカの大物馬主、マイク・リポール氏がセレクトセール2024で5頭の1歳馬を購入。この5頭はアメリカで走らせる予定だが、将来的にはJRAで自身の所有馬を走らせたいと明かした。

【セレクトセール】「日本馬に注目してきた」マイク・リポール氏、日本競馬への本格参入に興味

アメリカの大物馬主、マイク・リポール氏がセレクトセール2024で5頭の1歳馬を購入。この5頭はアメリカで走らせる予定だが、将来的にはJRAで自身の所有馬を走らせたいと明かした。

アメリカの大手馬主、マイク・リポール氏が日本競馬への本格参入を検討中だ。

彼が率いるリポール・ステーブルは国際展開の一環としてJRAの馬主資格取得を目指しているが、いくつかの参入障壁が存在することも理解している。

「日本で馬主資格を取得したいと思っていますが、最終的にはJRAが審査することです」

Idol Horseの電話取材に応じたマイク・リポール氏はこう語ってくれた。この日のセレクトセールの1歳馬市場には代理人のアレックス・ソリス氏、全米サラブレッド競馬協会(NTA)のエグゼクティブディレクターを務めるパット・カミングス氏と共に訪れており、会場の中で取材に応じてくれた。

「日本で青とオレンジの勝負服が走る姿を見たいですね」

彼は冗談半分でそう語るが、オレンジがJRAの勝負服で使える13色に入っていないことを承知の上での発言だ。

「日本で何頭か走らせたいですね。アメリカ産馬を日本で走らせたり、日本産馬をアメリカに持ち込んだりも考えています」

Mike Repole racing colours
IRAD ORTIZ JR, VINO ROSSO / Breeders’ Cup Classic // Santa Anita Park /// 2019 //// Photo by Sean M. Haffey

日本競馬への関心

レポール氏は今年5月の千葉サラブレッドセールで、初めて日本のセリに参加した。かつての所有馬、10年前に繁殖牝馬セールで売却したアンリミテッドバジェットの娘をこの時落札している。

それからわずか2ヶ月後、北海道で開催されたセレクトセールではさらに大金を投じ、総額2億8000万円近くで5頭の1歳馬を購入した。その中には、三冠馬コントレイルの初年度産駒も含まれる。

「日本の生産者は、我々アメリカの馬産地よりも優れた仕事をしていると思います」

「長い年月をかけて優れた血統を導入し続けてきた成果として、芝でもダートでも結果を残している。日本産馬はスタミナがあり、スピードと持久力を併せ持っています」

リポール・ステーブルの日本参入には、セリ会場となっているノーザンホースパーク代表の吉田勝己氏も深く関わっている。ノーザンファームを率いる吉田勝己氏は、過去60年に渡って亡き父や兄弟と共に日本競馬界を牽引してきた。

Katsumi Yoshida
KATSUMI YOSHIDA / Select Sale // 2024 /// Photo by Idol Horse

近年の競馬界は日を追うごとに国際化が進んでいると、吉田勝己氏は語る。

「将来的には、競馬に国境は無くなると思います。馬はどこにいても買えます。血統の知識も広まっていますし、馬は世界中で国を跨いで走っています」

リポール氏は日本競馬界と日本の馬産地を高く評価している。特に吉田ファミリーが築き上げてきた血統と育成技術、そしてそれが現在の日本競馬を形作ったことに感銘を受けていると明かした。

「日本のトップクラスの人と良い関係を築き、ビジネスを展開したいと思っています。チームの一員がノーザンファームや吉田勝己氏と既に話をしましたが、彼らの対応には感銘を受けました」

日本競馬との出会い

現在55歳のリポール氏は、SmartwaterやVitaminwaterを販売するグラソーブランドの共同創業者として知られている。グラソーの事業は後に、コカコーラ社に41億ドルで売却している。また、Bodyarmor SuperDrinkという同じくスポーツドリンクのブランドも共同で立ち上げており、こちらもコカコーラに56億ドルで売却した。

馬主としてのキャリアで最初に持った活躍馬は、全米2歳牡馬王者のアンクルモーだった。その後、モードニゴールが2022年のベルモントステークスを勝利し、2019年にはヴィーノロッソでBCクラシックを勝っている。

リポール氏にとって日本競馬との出会いは、アンリミテッドバジェットを130万ドルで日本の社台ファームに売却したことだった。後の話だが、彼はディープインパクト産駒の牝馬を繁殖牝馬として庭先取引で数頭購入している。

Unlimited Budget
UNLIMITED BUDGET / Belmont Park // 2013 /// Photo by Al Bello

「ここ5, 6年ほど、日本血統に注目してきました。これは冗談半分ですが、『アメリカ血統は優秀だが日本に集まっている』なんて言ったこともあります」

実際その証拠として、代理人のソリス氏が落札した5頭の中には、アメリカ血統の良血馬が多く含まれている。ソリス氏はコントレイル産駒の牡馬(サウンドバリアーの2023)を例に挙げ、こう説明する。

「この馬の3代母、レディーズシークレットはウェイン・ルーカス調教師の下でBCディスタフを勝った名牝です」

「マイクはコントレイル産駒を購入できたことをとても喜んでいました。この馬は体格も良いですし、アメリカ競馬でも通用しそうなスピードを持っています。見栄えの良い馬体の持ち主ですが、芝向きの馬だと期待しています」

さらに、BCディスタフ勝ち馬のジンジャーパンチを母に持つキズナ産駒の牝馬や、ドバイワールドカップ勝ち馬のウシュバテソーロを叔父に持つドレフォン産駒の牡馬(カサーレの2023)も落札している。

ドレフォン産駒はもう一頭購入しており、こちらはチャド・ブラウン厩舎で現役時代を過ごしたタミーザトルピードを母に持つ牡馬だ。アーカンソーダービーを勝ったナダルの産駒で、祖母にライラックスアンドレースを持つ牝馬、ルリエーヴルの2023も7800万円で落札している。

リポール氏は日本競馬との関わりについて、以下のように話を続けた。

「フォーエバーヤングだったり、BCクラシックで2着と5着に入った馬(ウシュバテソーロとデルマソトガケのこと)だったり、アメリカに来る日本馬のことはずっと見続けています」

「日本がやっていることには興味津々ですし、今は時代が360度変わったように感じます。日本の人たちは何年も前にアメリカにやってきて、我々の競馬を目の当たりにしました。サンデーサイレンスの輸入から始まり、優秀な牝馬もどんどん買っていきました。日本競馬の血統は我々にとっても馴染み深いものがありますし、とても印象的です」

「アメリカの種牡馬は日本の繁殖牝馬と好相性ですし、私も日本の種牡馬と合いそうな繁殖牝馬を持っています」

Contrail Tokyo Yushun
CONTRAIL / G1 Tokyo Yushun // Tokyo Racecourse /// 2020 //// Photo by Kyodo News

今年は日本円が1986年以来最安値となり、かつてない円安ドル高で行われたセレクトセールでもあった。アメリカ人馬主にとっては有利なタイミングだが、それはあまり関係ないとリポール氏は語る。

「はっきり言って、それにはあまり注目していませんでした」

彼の興味は円安ではなく、日本馬が持つ強さと国内外での素晴らしい成績だ。日本競馬の一員に加わり、より深く関わることを熱望している。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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