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香港競馬は、一瞬で情勢が変わることがある。

日曜日の朝、ブレントン・アヴドゥラ騎手がシャティン競馬場の宿舎を出た時、リーディング7位に甘んじていた。調子はまずまずだったが、この日の騎乗はわずか4鞍。さらに、今後のビッグレースに向けた有力馬を手にしているとは言い難い状況だった。

しかしその日の後半には、わずか65分の間に、アヴドゥラの香港でのキャリアは大きな転機を迎えたかもしれない。

まず、香港クラシックCでルビーロットを勝利に導き、同馬をBMW・香港ダービーの有力候補へと押し上げた。そして、アヴドゥラはその後も連勝を重ねて一気にリーディング3位に浮上。彼の上にはザック・パートン、ヒュー・ボウマンというオーストラリアのトップジョッキー2人を残すのみの状況となった。

「特別なことをしているわけではなく、単にチャンスが増えているだけです」と、アヴドゥラはレース後、シャティン競馬場からの帰り道でIdol Horseに語った。

香港競馬は一瞬で状況が変わる世界だが、それでも継続的な努力がなければ結果はついてこない。今回の『ブレイクスルー』も、実は2年がかりの積み重ねの末に得たものだと思い出される。

「実は5月で香港に来て2年になります。最初の頃は『ごく普通』でした」と振り返る。「でも、最初のフルシーズンを通じて少しずつ勢いをつけることができましたし、トニー・クルーズ調教師やジョン・サイズ調教師には本当に支えてもらいました。ただ、もっと多くの厩舎とつながりを持ちたいと思っています。私はたくさんの人のために乗りたいし、そのために大事なのはチャンスをもらえるかどうかなんです」

昨シーズン、アヴドゥラは33勝を挙げてリーディング10位に入ったが、そのうち27勝はサイズ、クルーズ、デヴィッド・ホールの3厩舎の馬で手にしたものだった。

California Spangle and Brenton Avdulla
CALIFORNIA SPANGLE, BRENTON AVDULLA / G1 Al Quoz Sprint // Meydan /// 2024 //// Photo by Shuhei Okada

そして、今回の香港クラシックCを制したルビーロットを管理するデヴィッド・ヘイズ調教師とのコンビは、彼にとって新たな関係の一つだ。現在ヘイズは50日間の開催を終えて35勝を挙げ、香港の調教師リーディングのトップを走っている。

アヴドゥラ自身もヘイズ厩舎の馬で、わずか7鞍の騎乗で4勝を挙げており、今季アヴドゥラは29勝をマーク。その勝利は8人の異なる調教師からもたらされている。

「香港では、リストに載る外国人騎手のレベルが非常に高く、みんなそれぞれの国でリーディング級の騎手です。とはいえ、ここではゼロからのスタートになります。結局のところ、大事なのは関係を築いてチャンスを得ること。そして、そのチャンスを最大限に生かすことです」と語る。

「これまでチャンスをもらったときはしっかり結果を出せてきたと思いますし、この12ヶ月の成果がそれを証明しています」

もしルビーロットが3月23日のBMW香港ダービーで、クラシックCのような強烈な末脚を繰り出すことができれば、アヴドゥラの香港での評価はさらに高まることになるだろう。

香港国際競走は世界的に注目を集めるが、香港の競馬界、特に馬主にとって最も影響力のあるレースは今もなおダービーかもしれない。

「ルビーロットは、ダービーに向けても有力馬になると思っていました」とアヴドゥラ。「シーズン序盤の1400m戦では切れ味抜群のレースを見せていましたし、今日の1800mは試金石でしたがしっかり対応してくれました。落ち着いて走り、決め手を生かせれば、ダービーでも十分チャンスがあると思います」

マイケル・コックス、Idol Horseの編集長。オーストラリアのニューカッスルやハンターバレー地域でハーネスレース(繋駕速歩競走)に携わる一家に生まれ、競馬記者として19年以上の活動経験を持っている。香港競馬の取材に定評があり、これまで寄稿したメディアにはサウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ジ・エイジ、ヘラルド・サン、AAP通信、アジアン・レーシング・レポート、イラワラ・マーキュリーなどが含まれる。

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