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米国競馬の殿堂にもその名を刻んでいるトッド・プレッチャー調教師は、月曜朝のデルマー競馬場で、フォーエバーヤングの姿に注目していた。ここでは5日後に、この日本のヒーローと自身の有力馬フィアースネス、そして今年のヨーロッパ競馬のスター、3歳馬シティオブトロイとの対決が控えている。

プレッチャー調教師は、坂井瑠星騎手と共にリラックスした様子で馬場入りしたフォーエバーヤングの様子を観察していた。矢作芳人厩舎の3歳馬は本馬場をキャンターで一周した後、直線を単走で軽めのペースで戻ってきた。

プレッチャー調教師はIdol Horseに対し、以下のように話す。

「フォーエバーヤングは高い実力を持つ馬で、ケンタッキーダービーでは素晴らしい走りを見せていました。良いステップレースもこなしてきたようです。今朝、馬場で見た感じでは状態も良いですし、間違いなく警戒すべき相手です」と話した。

Forever Young and Sierra Leone in the Kentucky Derby
SIERRA LEONE, TYLER GAFFALIONE (L); FOREVER YOUNG, RYUSEI SAKAI / G1 Kentucky Derby // 2024 /// Churchill Downs //// Photo by Joe Robbins

「これこそがブリーダーズカップの目指していた国際的な競走の形だと思います。今回、日本からは19頭がエントリーしていて、いつも通りヨーロッパ勢も参戦します。本当に国際的なイベントになっていて、世界の競馬界にとって素晴らしいことだと思います…我々アメリカ勢にとっては勝つのが一層難しくなるけどね!」

「シティオブトロイも本当に尊敬しているし、この馬についてのエイダン(オブライエン調教師)の評価も重く受け止めてはいます。とはいえ、自分の馬の能力にも大きな自信を持っています。シティオブトロイにとっては、これまでとは異なるタイプのレースになるでしょうが、ジャスティファイの産駒だけに無視できない存在ですね」

Todd Pletcher at Del Mar
TODD PLETCHER / Del Mar // 2024 /// Photo by Candiese Lenferna

プレッチャー調教師のフィアースネスへの自信には十分な根拠がある。実業家で億万長者のマイク・リポール氏が所有するこの3歳馬は、海外勢にとって手強い相手となるだろう。すでにBCでの勝利歴を持ち、昨年のBCジュベナイルでは6馬身1/4差での圧勝。

今シーズンはG1・フロリダダービー、G2・ジムダンディステークス、そしてトップクラスの3歳牝馬ソーピードアンナを破ったG1・トラヴァーズステークスでの勝利で、その実力を証明している。

唯一の不振は5月のG1・ケンタッキーダービーでの15着で、このレースではフォーエバーヤングが不運な、そしてやや物議を醸した3着に入っている。直線での接触戦の末、わずかハナ差での敗戦だった。

「ケンタッキーダービーではスタートが決まらず、それから狙っていたポジションを取るために動いていかなければなりませんでした」とプレッチャー調教師は語る。「かなりのハイペースで、外を回されることになり、前に行った馬たちは最後まで持たなかった。スタートから何一つ計画通りには行きませんでしたね」

馬房から首を出したフィアースネスは、プレッチャー調教師が話す間、のんびりと乾草を食んでいた。日曜日にニューヨークからデルマーに到着したフィアースネスも、フォーエバーヤングが馬場に姿を見せた頃、「耳を立て、周囲を見渡しながら、全てを飲み込んでいる様子で」リラックスした月曜朝のキャンターをこなした。

FIERCENESS / Del Mar // 2024 /// Video by Idol Horse

プレッチャー調教師の輝かしい経歴の中で、BC勝利は14回を数える。その中には、2019年のBCクラシックでリポールステーブルの青とオレンジの勝負服を纏ったヴィーノロッソでの勝利も含まれている。

「この馬は非常に素直で、時には鈍いくらいなんですが、追い切りの時は本当の実力を見せてくれました。パドックで時々興奮することもありましたが、それを除けばとてもおとなしい、落ち着いた馬です」

プレッチャー調教師の伝家の宝刀は実力とプロ意識を兼ね備えており、伯楽はこの馬がこれまでデルマーの比較的小回りのコースの経験がないことを気にしていない。

「馬場は問題にはならないと思います。国際色豊かな、実力馬たちとの対戦こそが最大の課題です。ここまでの輸送も上手くいきました。昨年のBCでも、長距離の輸送を経て勝利を収めていますからね」

「サンタアニタの馬場を気に入っていたので、デルマーの馬場も合うのではと期待しています。サラトガ、サンタアニタ、ガルフストリームでも好走しているので、馬場を選ぶタイプではないと思います。最も重要なのは、良い位置取りができて全てが順調に進むことですね」

トレーナーは、これからの数日間、フォーエバーヤングとシティオブトロイの調教の様子も注視し続けることになるだろう。しかし彼にはフィアースネスという、どんな相手とも戦える準備万端の馬がいるのだ。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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