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ケンタッキー州のキーンランド競馬場で、歴史的名馬の座を懸けた世紀の一戦が近づいている。

土曜日のG1・ブリーダーズカップ・クラシックでは、アメリカ最強馬と日本最強馬が、これまで運命に阻まれてきた直接対決をついに迎える。直前に思わぬ事態さえ起きなければ、今度こそだ。

昨年の今頃、ソヴリンティは北米最強の3歳馬として君臨し、BCクラシックの本命と目されていた。ただし、待ち受けていたのは最大の試練だった。日本競馬史上最高のダート馬であり、世界的スターでもあるフォーエバーヤングとの対決だ。

結果、その対決は実現しなかった。ソヴリンティはレース5日前に発熱したため、無念の出走取消を余儀なくされた。

フォーエバーヤングはライバル不在の一戦で歴史的な勝利を挙げ、日本競馬の伝説としての地位を確かなものにした。それで物語は終わっていたかもしれない。だが、両馬の馬主であるゴドルフィンのモハメド殿下と藤田晋氏には、勝負を求める心と、競馬をスポーツとして大切にする姿勢があった。

両馬主は「競馬のためになる」選択をした。ダーレーや社台SSでの種牡馬入りは先送りされ、2頭はともに現役を続けた。

これにより、先月ベルモントパークで行われたG1・ジョッキークラブゴールドカップで、待望の対決が実現する可能性が生まれた。米年度代表馬ソヴリンティがG1・ホイットニーステークスで鮮烈な勝利を収め、その期待はいっそう高まっていた。

ところが、ソヴリンティは蹄に膿瘍を発症して回避。フォーエバーヤングはライバル不在の一戦を楽勝した。

BCクラシックの時を迎えた今、4歳馬と5歳馬、北米の年度代表馬と日本の年度代表馬が、心身ともに充実期を迎えて直接対決に臨もうとしている。

それだけではない。今年のアメリカ3歳世代を代表する一頭でG1・ケンタッキーダービー馬のゴールデンテンポと、G1・プリークネスステークス勝ち馬のナポレオンソロも顔をそろえる。G1・ドバイワールドカップでフォーエバーヤングを破ったマグニチュードも忘れてはならない。これこそ、競馬というスポーツのあるべき姿だ。

矢作芳人調教師は水曜日の取材で、「やったことがない馬が多いですし、その中でも当然ソヴリンティはもちろんですけども、やはりマグニチュードにはドバイで負けているので、やはりその2頭は特に意識しています」と話した。

矢作師は昨年、デルマーでBCクラシックを制した直後にも、勝負師としてソヴリンティと対戦し、自分の馬の方が強いと証明したかったと語っていた。モハメド殿下も、明らかに同じ思いだった。

「ソヴリンティは今年、何かを証明しなければならない立場ではありませんでした。それでもモハメド殿下とゴドルフィンのチームは、この馬でBCクラシックを勝ちたいと思っています。だからこそ、今年も現役を続けさせたんです」

ソヴリンティの主戦を務めるジュニオール・アルバラード騎手は、キーンランドの厩舎棟の間で、Idol Horseの取材にそう語った。

1年前、殿堂入りトレーナーのビル・モット調教師は、報道陣の前でソヴリンティの回避という衝撃的な知らせを伝えなければならなかった。今年、モット師とゴドルフィンは2頭を送り込む。月曜日には、G1・パシフィッククラシックを制したナイツブリッジも、BCクラシックに参戦することが確定した。

「本当に素晴らしいレースですし、出走するすべての馬に敬意を持っています。中でもフォーエバーヤングは、本当に凄い馬です。世界中をあれだけ遠征して、どこでも好走しています。とても特別な馬です」と、モット師はIdol Horseの取材に話した。

だが、ソヴリンティも特別な馬だ。「この馬も本当に特別です」とモット師は続ける。

「ケンタッキーダービー馬ですし、私にとっての『三冠』も勝ってくれました。ケンタッキーダービー、ベルモントS、トラヴァーズSです。これ以上何を望めるでしょうか。おそらく、あれがこの馬の競走生活でも、私の調教師人生でも、最も輝かしい出来事だったと思います」

SOVEREIGNTY, JUNIOR ALVARADO / G1 Kentucky Derby // Churchill Downs /// 2025 //// Photo by Getty
Forever Young winning at Belmont Jockey Club
FOREVER YOUNG, RYUSEI SAKAI / G1 Jockey Club Gold Cup // Belmont Park /// 2026 //// Photo by Shuhei Okada

もっとも、土曜日のBCクラシックでソヴリンティが勝てば、それもまた格別な勝利となる。フォーエバーヤングの連覇を阻み、同世代の強豪と、王者の座を狙う若い世代を退けるのだ。その勝利によって、今世紀の名馬たちに肩を並べることになるだろう。

「歴史に名を残すことになるのでしょうね」とモット師は思いを巡らせる。「すでに特別な馬ですが、勝てばその評価は決定的になるでしょう。それを成し遂げられれば、本当に忘れられない勝利になると思います」

チャド・サマーズ調教師は、ナポレオンソロで2強対決に割って入ろうとしている。サマーズ師と、どこか謎めいた馬主のエスポワールUSA社は、G1・ブリーダーズカップ・ダートマイルではなく、距離を延ばして10ハロンのBCクラシックへ向かうと決め、多くの関係者を驚かせた。

「素晴らしいレースだと思います。鞍上には殿堂入りジョッキーのジョン・ヴェラスケス騎手がいて、私と同じように、この馬に絶大な信頼を寄せてくれています。あとはレースがどう展開するかですね」と、ナポレオンソロのサマーズ師は話した。

「BCダートマイルの方が楽なレースだったことは間違いありません。1マイル戦で見せた走りは、この馬のキャリアでも最も鮮烈なものでした」

「ただ、私たちは何より、競馬をスポーツとして愛する者です。オーナーと話し合って計画を立て、挑戦するなら今、この舞台だと感じました。私たちの判断が正しかったのかどうか、これから分かるでしょう」

一方、気になるのはソヴリンティの蹄の問題。モット師は同馬の状態について、「常に気にはなります。ただ、言えるのは、発症したのがレースの1週間前ではなかったということです」と説明した。

「十分に時間のある段階で、もう6週間以上も前のことでしたから、問題に対処する時間がありました」

「レース当日には連尾蹄鉄(鉄尾が繋がった特殊な蹄鉄)を外します。今も装着していますが、順調です。蹄を十分に保護してくれました。当日は外して、通常の競走用蹄鉄に替えます」

今のところ、今年最高の一戦の舞台は整っている。2頭の王者の激突に、そした実力を備えた有力馬たちの存在が、BCクラシックの勝負をさらに面白くすることだろう。

1996年10月26日は、ブリーダーズカップの歴史にとって大きな1日だった。カナダのウッドバイン競馬場で開催され、初めてアメリカ国外で開催されたのだ。

その記念すべき開催に花を添えたのが、ジェニン・サハディ調教師だった。リドジャスティスでブリーダーズカップ・スプリントを制し、女性調教師として初めてブリーダーズカップ競走の勝ち馬を送り出した。

フォーエバーヤングは今週、BCクラシックの連覇に挑む。これまでその偉業を成し遂げたのはティズナウただ一頭のみだ。2000年に欧州のスターホース、ジャイアンツコーズウェイをクビ差で破り、2001年10月27日にはベルモントパーク競馬場で芝の名馬サキーを僅差で退けた。

1938年11月1日には、シービスケットとウォーアドミラルがピムリコスペシャルで有名なマッチレースを戦った。ジョージ・ウルフ騎手を背にしたシービスケットが勝ち、1万5000米ドルの賞金を手にした。

日曜日、菊花賞デーの京都で行われた1800mの新馬戦で、良血牡馬が目を引いたデビュー勝ちを披露した。近年はエピファネイア、ワールドプレミア、シャフリヤールといった馬たちがこの新馬戦を勝ち、その後、名馬へと成長している。

ダノンカンタービレは、2024年のセレクトセールで3億3000万円で落札された。父は日本の三冠馬コントレイル、母はG1・ブリーダーズカップ・ジュベナイルフィリーズを勝ち、エクリプス賞も受賞したアメリカの名牝カレドニアロードだ。

福永祐一調教師が管理する同馬は、岩田望来騎手を背に8頭立ての後方に控え、向正面の早い段階から進出して、3頭分外を回りながら先行勢に迫った。最終コーナーで促されると、直線に入って鋭く加速し、1馬身1/4差で勝利した。

2着には、名牝クロノジェネシスの娘ノイエルングが鋭く脚を伸ばして入った。最後に追い込んだ3着のゴールデンプロミスは、父コントレイル、母はアルゼンチンG1馬のジョイカネラという血統。こちらはフォーエバーヤングと同じ、矢作芳人調教師と藤田晋オーナーのコンビが送り出した一頭だ。

ヴィクトリアダービーデー
フレミントン競馬場(オーストラリア)、10月31日

フレミントンのG1・ヴィクトリアダービーは、フルゲートの16頭で争われる見込みだ。前売りで上位人気を争っているのは、G1・スプリングチャンピオンステークスでそれぞれ3着、4着だったコーミエとストーミーマルコ、そして前走、同競馬場の2040mのG2を制したキャリアの浅いトゥルーレベルだ。

ユーロンが所有する牝馬のクイックフィニッシュは、前走コーフィールドのG3・エセリアルステークスを勝って3連勝を飾った。2500mのこのレースでは珍しい牝馬の挑戦となる。ヴィクトリアダービーは今年のG1維持こそ決まっているものの、来シーズン以降は降格の危機に直面している。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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