香港の短距離王者カーインライジングは、火曜朝にランドウィック競馬場で行われたバリアトライアルで、ジ・エベレストのライバルとなるニンジャに僅差で先着を許した。ただ、ザック・パートン騎手がその結果以上に気にしているのは、同馬がオーストラリアでの生活に慣れてからの振る舞いだ。
パートンはバリアトライアルを終えた後、「オーストラリアに来ると、少しずつ私たちの手を離れていく気がするんです。そこがちょっともどかしいですね」と、豪州のラジオ番組『ギディーアップ』に出演した際に語った。
その一例が、滞在先の検疫施設、カンタベリー競馬場の草を食べることだ。
「カンタベリーに着くと、そこの草を一日中食べているんです。デヴィッド・ヘイズ調教師には何度も『草を食べさせないで』と言っているんです。地元の香港では草を食べないんですよ」
「でも、どうしても食べてしまうんです。デヴィッドによると、カーインライジングは草が大好きだそうです。ただ、私としては『好きかどうかは関係ない。競走馬であって、ペットじゃないんだから』と言いました」
カーインライジングは、世話をしてくれる人にも事欠かない。豪州滞在中は6人の担当者が付いているとされ、パートンにはその6人にやってもらいたいことがある。
「担当者たちには一日中、曳き運動を行ってもらいたいです。私としては、その方がいいですね」
バリアトライアル当日、ランドウィックの馬場状態はSoft 7(重馬場)で、各馬はコースの内側半分を避けて走った。カーインライジングは発馬後すぐに先頭に立ち、直線に向く際も抑えたまま余裕を見せていたが、そこへニンジャが楽な手応えで並びかけた。
2頭は並走し、終盤にニンジャがクビ差で先着した。タイムは59.46秒。どちらも強く追われてはいない。
パートンは、昨年のジ・エベレスト前に行われた同様のバリアトライアルより、今回の内容をわずかに良く評価した。ただし、加速を求めたところでは、やはり軟らかい馬場がカーインライジングの動きを鈍らせたと感じている。
「バリアトライアルの大部分では、昨年より少し走りやすそうでした。ただ、加速を促すと、軟らかい馬場では動きが重くなるんです」
「手前も替えませんでしたし、終わってからはかなり息が上がっていました。香港でのレース後より、今回のバリアトライアル後の方が息が上がっていたくらいです」
豪州へ渡る前のシャティン競馬場での今季初戦では、カーインライジングをあえて抑えずに走らせた。同馬は自身の持つ芝1200メートルのコースレコードを1秒近く更新しており、パートンはランドウィックでももっと圧倒的な走りを見たかったと認めた。
「もちろん心配はあります。5馬身、6馬身、7馬身と差をつけて、楽に走ってくれればその方がいいですから。ただ、馬場は少し軟らかかったですし、しっかり息も上がりました。ここから良くなるでしょう。良くなってもらわないと困ります」
パートンは昨年のジ・エベレスト前と同様に、ゴール板を過ぎてからもカーインライジングを走らせた。バリアトライアルの大半を楽に走っていたため、もう少し負荷が必要だと考えたのだ。
「本番では1200メートルを走ります。あれだけ楽をしていると、こちらが求めるほどには動いていません。だから、もう少しだけ走らせているんです」
草を食べる件はほとんど冗談だが、馬場状態についてパートンは真剣だ。現時点の天気予報はパートンに味方しているものの、ヘイズ師は実際に馬場が軟らかくなっても、さほど気にしないようだ。
「この2年間ずっと、カーインライジングは重馬場向きではないと伝えているんです。でもデヴィッド(ヘイズ調教師)は納得していません。私の言うことを信じてくれないんですよ」