フランス秋の大一番、G1・凱旋門賞は第1回登録取消が締め切られ、エイダン・オブライエン調教師の出走候補が3頭に絞られた。ただし、最有力馬の参戦はまだ確定していない。
候補はダイヤモンドネックレス、ミニーホーク、ベンヴェヌートチェッリーニの3頭。ただし、3頭そろって出走するのは、大雨にならなかった場合に限られる。
パリロンシャン競馬場では9月8日以降、雨が降っておらず、月曜日の馬場は季節外れの「良」と発表された。この状態なら理想的だが、長期予報では10月4日までに稍重へ悪化する見込みだ。
オブライエン師としては、それ以上の悪化を望んでいない。馬場がさらに軟らかくなれば、最有力馬のダイヤモンドネックレスを、同日に2000mで行われる牝馬限定G1・オペラ賞へ回す可能性が高い。何しろ、その先にはブリーダーズカップも控えている。
8月下旬から9月の大半にかけては、軽いウイルス感染があったとの話もあり、厩舎全体に不安が漂っていた。今回の3頭はいずれも前走で敗れてパリへ向かう。ダイヤモンドネックレスとベンヴェヌートチェッリーニにとっては、予想外の敗戦だった。バリードイル陣営の外では、期待感はさほど高まっていない。
オブライエン厩舎のG1・仏オークス馬、ダイヤモンドネックレスは、ドーヴィルのG1・ジャンロマネ賞で無敗記録が途切れていなければ、昨年の勝ち馬ダリズと凱旋門賞の1番人気を争っていたはずだった。一方、愛ダービー馬のベンヴェヌートチェッリーニは、凱旋門賞の前哨戦となるG2・ニエル賞で2倍を切る支持を集めながら、平凡な5着に敗れた。
オブライエン師は月曜日、フランスギャロ主催の記者会見で「ダイヤモンドネックレスには同日の牝馬限定戦という選択肢もあります。ただ、現時点では3頭で向かう方向で考えています」と話した。
ダイヤモンドネックレスにとって、初めての2400mは未知の領域であり、それも不確定要素の一つだ。
オブライエン師は、グッドウッドでの勝利が同馬に及ぼした影響を過小評価していたほか、ドーヴィルでアヴァンチュールと対戦させた際も、フランスの軟らかい馬場と、クリストフ・フェルラン調教師が管理するアヴァンチュールの充実ぶりを読み違えていたと認めた。
オブライエン師は「本番までの間に挟めるレースを探していただけで、彼女を2400mで走らせたいとはあまり思っていませんでした」と説明した。
「ヴェルメイユ賞でその距離を走らせれば、凱旋門賞に向けて負担になるかもしれないと懸念していました。そこで、前哨戦は2000mにとどめる方が安全だと考えたのですが、明らかに少し見立てを誤りました」
「ダイヤモンドネックレスが初めて2400mを走るだけに、良い馬場になってほしいと思っています。最終判断は週末が近づくまで待つつもりです」
ライアン・ムーア騎手がどの馬に乗るかも決まっていない。ムーア騎手の次に騎乗馬を選ぶのがクリストフ・スミヨン騎手で、残る1頭にはピエールシャルル・ブドー騎手が候補に挙がっている。
オブライエン師は「ライアン(ムーア騎手)には3頭から選ぶ権利がありますから、まだ分かりません。ただ、恐らくダイヤモンドネックレスになるのではないかと思います」と述べた。
もっとも、凱旋門賞は誰にとっても容易な競走ではない。オブライエン師の過去2勝はいずれも3番人気馬によるもので、ディラントーマスが6.5倍、ファウンドが7倍。いずれも自身より低いオッズで支持された本命馬を破っての勝利だった。
一方、同厩舎が凱旋門賞に送り出した1番人気馬には、2年連続で約2.63倍、3.2倍の支持を集めながらいずれも3着に敗れたハイシャパラル、3倍で7着に終わったキャメロット、昨年4.5倍で2着だったミニーホークがいる。
昨年の凱旋門賞でダリズに僅差の2着だったミニーホークは、今年の年初時点ではオブライエン厩舎を代表する古馬候補だった。だが、その後は4連敗を喫している。
オブライエン師は「挫跖による細かなトラブルが続いていました。ただ、状態は良いです。凱旋門賞は当初からの計画でした。最高の走りを見せるのは凱旋門賞になるよう進めてきました。凱旋門賞でピークを迎えさせるという方針は、最初から変わっていません」と説明した。
勝利を狙う馬は、万全の状態でなければならない。凱旋門賞をまぐれで勝つことはできないからだ。そう考えれば、出走するならオブライエン師の期待はダイヤモンドネックレスにかかる。

世界の競馬場から
1996年9月28日、英国のアスコット競馬場でフランキー・デットーリ騎手が「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる1日7勝を達成した。
勝利に導いたのは、ウォールストリート、ディフィデント、マークオブエスティーム、デコレイティドヒーロー、フェイトフリー、ロックエインジェル、そしてフジヤマクレストの7頭。この偉業により、イタリア出身のデットーリは英国で誰もが知る存在となった。
1898年9月30日までさかのぼると、米国人騎手のトッド・スローンが英国ニューマーケット競馬場で5連勝を挙げている。
1993年10月3日には、4歳牝馬のアーバンシーが単勝38倍の低評価を覆し、パリのロンシャン競馬場でG1・凱旋門賞を制した。前年のG1・ディアヌ賞では6着だったものの、実力の片鱗は見せていた。ただし、前哨戦のG3・ゴントービロン賞を含め、G3を超える格の競走を勝ったことはなかった。
その後は現代屈指の名繁殖牝馬となり、大種牡馬ガリレオ、凱旋門賞馬にして名種牡馬のシーザスターズ、G1を制したブラックサムベラミーとマイタイフーンを送り出した。さらに、クラシックで好走したメリカー、オールトゥービューティフル、ボーントゥシーも産んでいる。
1973年の米三冠馬であるセクレタリアトは、1989年10月4日、ケンタッキー州のクレイボーンファームで亡くなった。19歳だった同馬は、重度の蹄葉炎により安楽死の措置が取られた。
世界の注目馬リスト
「強くて大きな馬は、強くて小さな馬に必ず勝つ」という古いことわざがある。しかし、マリアライトの娘、ダイアナマリアは、先週末の中山で見せた好内容の新馬勝ちを足がかりに、その定説が間違いだと証明しようとしている。
マリアライトは2016年のG1・宝塚記念で大波乱を演じたことで知られる。直線では外から伸びてキタサンブラックをかわし、さらに外から迫ったドゥラメンテもクビ差で退ける勝負強さを見せ、単勝25.1倍の低評価を覆してグランプリを制した。
興味深い余談だが、この勝利はアニメ『ウマ娘』でも描かれており、マリアライトに相当するウマ娘はリバーライトの名で登場する。
2000mのデビュー戦を見る限り、ダイアナマリアは母の能力と勝負根性をいくらか受け継いでいるようだ。小柄なモーリス産駒の牝馬は、クリストフ・ルメール騎手に導かれて道中はラチ沿いを進み、直線入り口で外へ持ち出された。
そこから、キタサンブラック産駒の牡馬・スワーヴバシレウスを相手に、しぶとく競り勝った。2頭は3着馬を7馬身突き放した。
この2歳馬の血統と前向きな気性が、馬格の不足を補ってくれるかもしれない。いずれにせよ、将来を期待させるには十分なデビュー戦だった。
ワールドレーシングカレンダー:今後の注目レース
ターンブルステークス・デー
フレミントン(オーストラリア)、10月3日
2000mのメイン競走は、昨年の覇者サーデリウスが1番人気に推される見通しだ。
ゲイ・ウォーターハウス、エイドリアン・ボット両調教師が管理する5歳馬は、休み明けで適距離より短い1600mのG1・マカイビーディーヴァステークスに臨み、4着だった。春の大目標であるG1・コックスプレートへ向け、ひと叩きした上積みが見込まれる。
強敵となりそうなのは、クリス・ウォーラー厩舎の3頭。一流牝馬であるアエリアナ、前走のG1・アンダーウッドステークスを制したバードマン、オータムボーイだ。そして、西オーストラリア州から遠征するコスミッククルセーダー、G1・メルボルンカップ覇者のハーフユアーズも有力候補となる。
サンチャリオットステークス・デー
ニューマーケット(英国)、10月3日
実力牝馬のブルーボルトは、1600mのG1・サンチャリオットステークスで今季の無敗を守るべく臨む。
アンドリュー・ボールディング調教師が管理するジャドモントの自家生産馬は、今季ここまで5戦5勝。レパーズタウンでのG1・メイトロンステークスで同馬の2着だったシティオブメンフィスに加え、今年のG1・ロートシルト賞とG1・ファルマスステークスでいずれも同馬の2着だったプリサイスとの再戦が見込まれる。
カール・バーク調教師が管理するフォールンエンジェルも出走する可能性がある。同馬は昨年のこの競走でブルーボルトを2着に退けたのを最後に勝利から遠ざかっているが、前走のG1・メイトロンステークスでは最後までしぶとく脚を伸ばし、3着に入った。
凱旋門賞
パリロンシャン(フランス)、10月4日
フランス秋の大一番、2400mのG1・凱旋門賞は、昨年の覇者ダリズが連覇を狙って1番人気に推される見通しだ。
しかし、ウィリアム・ハガス調教師も素質豊かな3歳馬モルティーズクロスに一定の自信を持つ。ボールディング厩舎からは、前走のヨークシャーオークスを制して好調ぶりを示したキングジョージ覇者のカルパナが参戦する。
日本からはG1・宝塚記念を2連覇したメイショウタバルと、前評判では見劣るアドマイヤテラの2頭が挑む。雨が降らなければ、メイショウタバルを軽視すべきではない。ただし、コースには散水が行われており、馬場状態は良くても稍重までとみられる。