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競馬場: アスコット競馬場

距離: 12ハロン(2400m)

総賞金: 200万0000ポンド(約4億3670万円)

アスコット競馬場で行われるキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスは、欧州競馬を代表する真夏の大一番であり、英国最高峰の中距離定量戦だ。

第1回は1951年に行われた。当初96頭が登録し、最終的に現在も最多記録となる19頭が出走。シュプリームコートがズッケロとの壮絶な一騎打ちを制した。

その後も数々の名勝負が生まれている。なかでも英国で「世紀の一戦」と呼ばれるのが、1975年のグランディとバスティノの戦いだ。2頭はアスコットの直線いっぱいにわたって競り合い、最後は英ダービー馬のグランディが勝利を手にした。

過去75年の勝ち馬には、2400メートル路線のスーパースターがずらりと並ぶ。

リボー、ロイヤルパレス、パークトップ、ニジンスキー、ミルリーフ、ブリガディアジェラード、ダリア、シャーガー、ダンシングブレーヴ、ジェネラス、モンジュー、ガリレオ、ナサニエル、デインドリーム、そしてエネイブル。その顔ぶれが、このレースの格式を物語っている。

栄冠は再びフランス勢の手に?

フランス調教馬はこれまでキングジョージを12勝している。

最初の勝利は1955年。アレック・ヘッド調教師が管理し、ヴェルテメール家が所有した3歳馬のヴィミーだった。単勝11倍だったヴィミーは、硬い馬場で逃げたアクロポリスをゴール前で捉え、アタマ差で勝利した。

2024年には、フランシスアンリ・グラファール調教師のゴリアットが、フランス調教馬にとって18年ぶりとなる勝利を挙げた。昨年は同厩舎のカランダガンがそれに続いた。

昨年も一定水準のメンバーはそろっていたが、歴史に残るほどの豪華な顔ぶれではなかった。カランダガンが破った相手はわずか4頭で、2着は牝馬のカルパナ、3着は世界各地を転戦する騸馬のレベルスロマンスだった。

それでもカランダガンは、その後さらに評価を高めた。10月にアスコットへ戻ってG1・チャンピオンステークスを制し、その1カ月後にはG1・ジャパンカップを勝って、「世界最高評価馬」の座を決定づけた。

今年は少頭数となったG1・ドバイシーマクラシックを制した。続くエプソムのG1・コロネーションカップでは精彩を欠いたものの、G1・サンクルー大賞では最後方から一気に全馬を差し切る強烈な末脚を披露し、世界最高峰の一頭であることを、その卓越した能力とともに改めて示した。

カランダガンが今年も勝てば、キングジョージを連覇した史上3頭目の馬となる。フランス調教馬としては、名牝ダリアが初めて成し遂げてから52年ぶり、史上2頭目の快挙だ。

ジャパンカップのリベンジマッチが英国で実現

カランダガンによるG1・ジャパンカップ制覇は、外国馬として20年ぶりの勝利だった。

そのレースでカランダガンに僅差で敗れたマスカレードボールの陣営は、雪辱を期してアスコットへ向かう。

今回は壮絶な再戦が期待されることだろう。

昨年11月の東京競馬場では、当時3歳だったマスカレードボールと、4歳馬のカランダガンが、最後の直線いっぱいにわたって馬体を並べ、熾烈な叩き合いを演じた。

カランダガンがわずかに先頭へ出た後、マスカレードボールが一度は鼻先を前へ出したようにも見えた。しかしカランダガンが最後にもう一度盛り返し、アタマ差で勝利をもぎ取った。まさに固唾を呑むような決着だった。

前回はマスカレードボールの方が2キロ軽かったが、今回は同斤量での対戦となる。ただし、あれから8カ月を経て、マスカレードボールもさらに成長している。両馬が万全の状態で出走すれば、見応えのある再戦となりそうだ。

また、カルパナも忘れてはならない。ジャドモントの自家生産馬である同馬は昨年、直線で鋭く抜け出したものの、最後はカランダガンに差し切られ、1馬身差の2着に敗れた。

その後は2勝を挙げ、前走のロイヤルアスコットではG2・ハードウィックステークスに出走。勝ち馬からわずかアタマ差の2着だった。

Mickael Barzalona and Calandagan winning the 2025 Japan Cup
CALANDAGAN, MICKAEL BARZALONA / G1 Japan Cup // Tokyo Racecourse /// 2025 //// Photo by Shuhei Okada

社台RHの勝負服が帰還、20年越しの悲願なるか

有力馬のマスカレードボールは、社台レースホースの黄と黒の勝負服で出走する。

今回のキングジョージは、社台が前回、本格的にこのレースの勝利を狙ってから、ちょうど20年後の挑戦となる。2006年にはハーツクライをアスコットへ送り込み、ハリケーンラン、エレクトロキューショニストと対戦した。

ハーツクライの3着は、今も日本調教馬によるキングジョージの最高着順である。

そしてマスカレードボールは、2006年と同じく、クリストフ・ルメール騎手が手綱を取る。

20年前のハーツクライは、3着に敗れながらも日本の関係者が胸を張れる走りを見せた。しかし今回は、狙うのは勝利だけだ。

さらに日本からは、社台ファームの吉田照哉氏が所有するヴェルテンベルクもマスカレードボールに同行する。このベテランステイヤーも、日本の歴史的勝利に何らかの役割を果たすかもしれない。 

未知の3歳勢は?今年は愛ダービー馬が参戦

キングジョージは、クラシック世代と古馬を対戦させ、各世代の最強馬を一堂に集めるために創設された。

しかし今年、出走予定馬のうち3歳馬は、エイダン・オブライエン調教師が管理するG1・愛ダービー馬のベンヴェヌートチェッリーニと、同厩舎のアクションだけだ。

今年の3歳馬が古馬に対してどこまで通用するかを判断するには、まだ比較材料が少ない。

ただし、オブライエン師が管理する3歳馬で、今年の仏ダービーを制したコンスティテューションリバーは、今月行われた10ハロンの定量戦、G1・エクリプスステークスを制している。

キングジョージでは、これまで3歳馬が31勝、古馬が44勝を挙げている。ただし近年は古馬優勢が鮮明で、直近10回で勝利した3歳馬はわずか2頭しかいない。

英国勢はやや手薄か

今年のレースで目につく要素の一つが、迎え撃つ英国勢の手薄さだ。

英国調教馬はこれまでキングジョージを48勝している。しかし今年の地元勢は、昨年2着のカルパナと、今年のG1・コロネーションカップを制したベイシティローラーの2頭しかいない。

両馬ともそれぞれに強みはあるが、過去にキングジョージを勝った英国調教馬や、敗れた一流馬たちと比べると、同じ水準にあるとは言い難い。

ベイシティローラーは6月のエプソムでカランダガンを破った。しかし王者カランダガンは、不得手とみられるコースで本来の力を大きく下回っていた。

ジョージ・スコット調教師が管理するベイシティローラーは、単勝オッズ二桁台でレースを迎える見通しだ。

英国調教馬の出走が少ない現状は、英国の2400メートル前後の路線で、トップホースの層が薄くなっていることを示しているように見える。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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