香港出身の新しい女性騎手、ブリトニー・ウォンはオーストラリアに2年間拠点を置き、トップレベルの騎手たちと競い合って腕を磨いてきた。香港競馬での初シーズンを迎えるにあたって、一人のライバルからインスピレーションを受けているという。
ウォンはオーストラリアでの修行期間、主にアデレード地区の競馬場で騎乗していた。ジェイミー・カー騎手もこの競馬場から頭角を現し、競争の激しいメルボルン地区でチャンピオンとなり、今ではビッグレースの常連として名を馳せている。
ウォンは結果のみを追い求めるのではなく、カーと一緒に乗ることで学んだ教訓、特にレースへの意識を参考にして、世界屈指の厳しさで知られる香港競馬に飛び込む。
「今シーズンの目標として勝利数を掲げるつもりはありません。全てのレースに集中して、ベストを尽くすのみです」
日曜日のシーズン開幕戦でデビューするのを前に、新人騎手としての目標を尋ねられたウォンは語った。
「以前、オーストラリアでジェイミー・カー騎手と競馬に乗ったことがありますが、彼女の決意は並外れたものがありました。香港の騎手全員と競い合う中で、学びを得られたらと思います」

香港では馬に触れる機会が限られているため、殆どの騎手が異例の道のりを辿っている。香港ジョッキークラブの競馬学校に入学した多くの騎手と同様に、ウォンも当初は乗馬経験が無く、水泳の世界で活躍する優秀な学生アスリートだった。
身長が伸びず、プールでの目標到達が厳しいと悟ったとき、ウォンの母親はラジオで聞いた騎手訓練過程への応募を勧めてきた。
競馬学校に入学後、ウォンは献身的に努力し、海外修行の候補生となった。訓練生時代を知る、好調のエイミー・チャン氏はこのように語る。
「彼女は非常に真面目な性格で、トレーニングに遅れることはありませんでした。ライフスタイルも良く、それはまさにエリートアスリートとして求めているものです」
現在25歳のウォンは、モーフェットヴィルのジョン・オコナー調教師に弟子入りし、602レースに騎乗して50勝を挙げた。香港競馬では、オーストラリア出身の敏腕トレーナーが率いるデヴィッド・ホール厩舎に所属することになるが、この騎手が持つ10ポンドの減量特典を他の調教師も活かしてほしいと、ホール調教師は話している。

木曜日の記者会見には、多くの主要メディアが集まり、有名外国人騎手の会見よりも高い注目度を誇った。
華々しくも短いキャリアを送り、2017年に引退したケイ・チョン(チョン・カーケイ)騎手以来となる女性騎手誕生という要素は、多くの注目を集めたと思われる。
また、ウォンの魅力的な性格、笑顔、そしてその容姿もメディアから注目を集める理由だ。香港での騎手キャリアが始まる前からレース以外の理由で注目を浴びていることについて、地元放送局のTVBから質問される場面もあったが、そこではウォンのプロ意識の高さが窺えた。
「レース中のパフォーマンスに注目してほしいですね。私の見た目よりも」