祝日の月曜日開催が行われた24日、キズナ産駒の良血牡馬、パントルナイーフがG2・東京スポーツ杯2歳ステークスでゾロアストロとの接戦を制し、キャリア3戦目で重賞初制覇。兄のパラレルヴィジョンに続き、全兄弟で重賞勝ち馬となった。
木村哲也厩舎の同馬は8月、新潟でのデビュー戦は進路取りに苦労して2着に敗れたものの、一ヶ月後の未勝利戦は堅実な内容で制して初勝利。ダノンベルーガ、ボンドガールの半弟・ダノンヒストリーが人気を集める中、前走の内容が評価されて3番人気での出走となった。
レースは12頭はゲートが開くと、ダミアン・レーン騎手のダノンヒストリーはいきなり大きな出遅れ。前に行きたがる2歳馬が目立つ展開の中、クリストフ・ルメール騎手はパントルナイーフを落ち着かせ、7番手で淀みないペースの中団に着けた。
コントレイルの初年度産駒、テルヒコウが巧みなペースメイクで逃げ粘る中、パントルナイーフは外を通って先頭へと躍り出る。最後は一ヶ月前のG3・サウジアラビアロイヤルカップで3着に入った実力馬、ゾロアストロとの追い比べを制し、アタマ差の接戦で2勝目を手にした。
レース後、ルメールは「リラックスして走れた。フルスピードへのギアアップも良く、ゴールまで頑張ってくれた」と今日の走りを称賛。「まだ伸び代がある。デビュー戦のころは超子供だったが、一戦ごとに自分の仕事が分かってきた」と語り、将来性の高さにも期待を持たせた。
一方、ゾロアストロのトム・マーカンド騎手は「一度先頭に立ってからフワッとした」と悔やみ、敗因にはソラを使った影響を示唆。勝ち馬とは対照的に若さが決定打となる、惜しい2着となった。
東スポ杯はここ10年の間に、後の平地G1馬を5頭も輩出。ダービー馬のワグネリアンやクロワデュノール、三冠馬のコントレイル、“世界一”の称号を手にしたイクイノックスが並ぶ歴代の勝ち馬リストに、パントルナイーフも名を連ねた。
注目すべきはその勝ち時計で、今年の1:46.0はイクイノックス(1:46.2)やクロワデュノール(1:46.8)を上回るタイムだ。前半の入りはほぼ変わらない中、直線で上がり32.9秒の鋭い末脚を見せ、先代の名馬を上回る好タイムを記録したことは評価に値する。
2022年のガストリック(1:45.8)、そして2019年にコントレイルが叩き出したレースレコード(1:44.5)と比較すると、前半の5ハロンは2秒近くも遅いため、決して“強烈なハイペースに後押しされた”というわけではないという点も評価が高い要素だ。
気になる次走だが、定石通りに行けば、12月の中山で行われるG1・ホープフルステークスとなる可能性が高い。過去にはコントレイル、ダノンザキッド、そして昨年のクロワデュノールがこのレースとの連勝を飾っており、年末の2歳王者決定戦に直結する一戦となっている。
また、2年連続のリーディングサイアーが有力視される父のキズナだが、意外と言うべきか、今年はまだ産駒がJRAのG1レースを勝てていない。来年のクラシックシーズンに向けても、頼れる息子の奮闘に期待したいところだ。
木村哲也師とルメール騎手のコンビは、説明不要のイクイノックスに加え、二冠牝馬のチェルヴィニア、そして2023年のホープフルSを制したレガレイラを送り出している。G1制覇の味を知り尽くした二人がどのような舵取りをするのか、今後の動向から目が離せない。
将来の展望: 来年のクラシックシーズンの主役候補
レースリプレイ: 2025 東スポ杯2歳S | パントルナイーフ

