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  • 開催日 11月16日
  • 競馬場 京都競馬場(右回り)
  • 所在地 京都府
  • 国際格付け G1
  • ローカル格付け G1
  • 条件 3歳以上牝馬限定
  • 馬場
  • 距離 2200m
  • 総賞金(日本円) 2億8310万0000円
  • 総賞金 (米ドル) 約189万米ドル
  • 創設 1976 (ディアマンテ)

エリザベス女王杯は、1976年に芝2400m戦として創設され、日本の牝馬三冠の最終戦を務めてきた。その役割は、およそ20年後に秋華賞が新設されて以降、そちらに引き継がれている。

1996年には、3歳牝馬限定戦から3歳以上の牝馬が出走できる日本唯一のG1へと再構築され、牡馬不在のまま世代の異なる牝馬同士が激突する、稀有な舞台となった。

1999年に国際G1へ昇格して以降は世界的な注目を集め、2010年と2011年にはエド・ダンロップ厩舎のスノーフェアリーが連覇を達成。日本の平地G1において、海外調教馬として初めて同一G1を2度制した存在として歴史に名を刻んだ。

出走資格が年長牝馬まで拡大されてからは、アドマイヤグルーヴ(2003年)、スノーフェアリー(2010年)、ダイワスカーレット(2007年)、そして直近ではブレイディヴェーグ(2023年)を含む計8頭の3歳牝馬が優勝している。

このレースの国際色の濃さを示すもう一つの指標として、過去9年間で日本人騎手の勝利は、2021年にアカイイトで勝った幸英明騎手ただ一人という事実がある。この期間の勝利騎手の多くは、ミルコ・デムーロ、クリスチャン・デムーロ、クリストフ・ルメール、ジョアン・モレイラ、クリストフ・スミヨンといった外国籍のジョッキーたちが占めている。

レガレイラ(4歳・スワーヴリチャード × ロカ)

調教師: 木村哲也
騎手: 戸崎圭太
主な勝ち鞍: G1・有馬記念 (2024)

昨年のG1・有馬記念を制したレガレイラは、牡馬相手の戦いでも抜群の成績を残しており、実力の高さを物語っている。

今年のG1・宝塚記念では、ベラジオオペラと1番人気争いを演じた末に11着に敗れたが、その一戦から見事に立て直し、G2・オールカマー(中山・芝2200m)を完勝した。

関東圏の競馬場を得意とするタイプだけに、そこから離れた舞台で同じパフォーマンスを再現できるかがポイントだが、すでに証明済みのG1級の実力を考えれば、今年のメンバーの中で明確な基準となる存在と言える。

ココナッツブラウン(5歳・キタサンブラック × ルアーズストリート)

調教師: 上村洋行
騎手: 北村友一
主な勝ち鞍: 錦S (2025)

キャリアはそれほど多くないものの、安定感ある走りを見せている一頭。G2・札幌記念では、伏兵のトップナイフの後塵を拝したものの、牡馬相手に鋭く追い込んで2着に入り、このレースへ向けた評価を高めた一戦となった。

上村洋行調教師によれば、厳しい夏のローテーションをこなして栗東に戻ってからは、馬が一段と逞しく、動きもシャープになっているという。円熟期に入りながらもなお上昇カーブを描くキタサンブラック産駒であり、初のG1タイトルに手が届くところまで来ている。

エリカエクスプレス(3歳・エピファネイア × エンタイスド)

調教師: 杉山晴紀
騎手: 武豊
主な勝ち鞍: G3・フェアリーS (2025)

かつては気性の難しさで知られたエリカエクスプレスだが、この秋はより洗練された競走馬へと成長した。

G1・秋華賞では思い切った逃げの手に出て、あと一歩で押し切るところまで粘り込み。京都コースはこの馬の持ち味を引き出しており、なおかつ今回のメンバー構成ではハッキリした逃げ馬が多くない点もプラス材料。

武豊騎手がペースを作れる立場にあることを考えると、先頭でレースを支配するシナリオも十分にあり得る。

ステレンボッシュ(4歳・エピファネイア × ブルークランズ)

調教師: 国枝栄
騎手: クリストフ・ルメール
主な勝ち鞍: G1 ・桜花賞 (2024)

昨年のG1・桜花賞馬ステレンボッシュは、今年はなかなかG1制覇時の輝きを取り戻せずにいる。ただし、ここに来て絶好調のクリストフ・ルメール騎手への乗り替わりが、復活へのきっかけとなる可能性は十分にある。

短期放牧から戻って以降の調教では良い動きを見せていると伝えられており、ここで一変があっても不思議ではない一頭だ。

パラディレーヌ(3歳・キズナ × パラダイスガーデン)

調教師: 千田輝彦
騎手: 岩田望来
主な勝ち鞍: つばき賞 (2025)

パラディレーヌは、今季一度も大崩れを見せていない“堅実なステイヤータイプ”だ。

G1・秋華賞では上がり3ハロン最速で外から追い込み、3着に食い込んだが、その末脚は距離延長となる今回の舞台でさらなる可能性を感じさせるものだった。豊富なスタミナと安定感はここでも大きな武器となるが、最内枠という枠順をどうさばくか、運の要素も絡んできそうだ。

タカハシ・マサノブ記者

視点: スタミナが決め手に?

スタミナ勝負の一戦になると予想。パラディレーヌは3歳牝馬勢の中でも上位のステイヤーで、ヴェルミセルも3400mのG3戦で3着に入るなど、長距離実績は折り紙付き。G2・京都大賞典でも牡馬相手に3着と健闘している。

オーロラエックスも約1年前、今回のエリザベス女王杯と同じコースで良い勝ち方を見せており、軽視は禁物な一頭。

推奨馬: 1番・パラディレーヌ、8番・ヴェルミセル、11番・フェアエールング、15番・オーロラエックス


ホーマン記者

視点: アイルランドトロフィー組

G1・エリザベス女王杯の主要前哨戦であるG2・アイルランドトロフィーは、もともと東京・10月の府中牝馬ステークスとして行われていたレースで、現在は6月に移行している。同レースは過去10年で4頭もの勝ち馬を送り出している最重要の前哨戦だ

その一戦で、相沢郁厩舎のライラックはメンバー中2番目の上がり3ハロン32秒3をマークし、4着と好走を見せた。今回もペースが流れてくれることが条件になるが、単勝27倍前後と見込まれるオッズを考えれば、狙う価値のある穴馬だ。

推奨馬: 7番・レガレイラ、12番・ライラック、4番・カナテープ、1番・パラディレーヌ


スティーヴン・ホー記者

視点: ルメール騎乗で“復活劇”なるか

このレースでは、直近の成績がそのまま本番のパフォーマンスを決めるとは限らない。リスグラシュー、アカイイト、スタニングローズのように、エリザベス女王杯を“復活の舞台”とした馬は少なくない。

ステレンボッシュも、今回その一頭となり得る存在であり、ルメール騎手の起用は間違いなく大きなプラス材料。ボンドガールも京都コースで好走歴があり、人気薄での巻き返しがあってもおかしくないタイプと言える。

推奨馬: 2番・ステレンボッシュ、16番・リンクスティップ、7番・レガレイラ、9番・ボンドガール


ジェイソン・クォック記者

視点: 鍵を握るのは“ペース”

混戦模様の今年のエリザベス女王杯では、レースのペースと枠順こそが勝敗を分ける決定的な要因になるかもしれない。

エリカエクスプレスと武豊騎手は、G1・秋華賞の再現を狙い、道中で徐々にペースを引き上げていくことで、差し・追い込み勢には厳しい展開を作ろうとするだろう。一方で、実力の高さと鋭い決め手を併せ持つ馬たちは、そうした展開でも捕まえに行くことができる。

レガレイラとココナッツブラウンはいずれも、その条件に合致する存在だ。

推奨馬: 7番・レガレイラ、13番・ココナッツブラウン、6番・エリカエクスプレス、11番・フェアエールング


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