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日本のシンエンペラーが、土曜日にアイルランドのレパーズタウン競馬場で行われるG1・愛チャンピオンステークスでドラクロワと対決する。今年はついに、日本勢が悲願のG1凱旋門賞を制覇するのではないかという期待感が高まっている。

藤田晋氏が所有するシンエンペラーは、昨年の愛チャンピオンSで3着に健闘した一方、転戦したロンシャン競馬場の凱旋門賞では雨による重馬場に苦戦した。今年も同じローテを採用し、2連勝を目指してヨーロッパに帰ってきた。

型破りなスタイルで知られる矢作芳人調教師は、昨年秋にパリから帰国したシンエンペラーをG1・ジャパンカップで2着に導いた。その後、サウジアラビアでのG1・ネオムターフカップを快勝したが、今年4月のドバイでの走りはいまひとつ。以降は長期休養に入っていた。

先週末の凱旋門賞トライアルでは、G2・フォワ賞で伏兵と見なされていたビザンチンドリームが勝利を収めたことで、日本勢の自信はさらに深まっている。ビザンチンドリームが勝てるのなら、土曜日のシンエンペラーや、日曜日のG3・プランスドランジュ賞で凱旋門賞への適性を試す日本ダービー馬のクロワデュノールも勝てるのではないか、という声も上がっている。

火曜日の朝、シンエンペラーが坂井瑠星騎手を背にカラ競馬場で調教を行った後、矢作厩舎のコーディネーターである安藤裕氏は「忙しくなりますね」と語った。これは、今後日本勢の活躍に大いに期待してほしいというメッセージだろう。

「日本から遠征してきた馬たちは、みな強力なメンバーです。シンエンペラーもその一員として、期待に応える走りを見せてくれると信じています。今年こそは、と願っています」

過去にも、エルコンドルパサー、ディープインパクト、オルフェーヴルといった日本競馬史に名を刻む名馬たちが挑んできたが、いずれも凱旋門賞の勝利を手にすることはできなかった。しかし、今年はポジティブな雰囲気が漂っている。

それもそのはずだ。矢作調教師の挑戦を恐れず、学び、成功を収めてきた名匠としての実績は心強い。昨年、シンエンペラーはフランスのシャンティイで調整され、レース前日にアイルランド入りした。

しかし、今年は8月29日にリチャード・ブラバゾン調教師(オーブリー・ブラバゾン騎手の息子)が厩舎を構える、カラのレンジャーズロッジ厩舎に到着し、入念な準備を行ってきた。月曜日に現地入りした主戦の坂井瑠星騎手は、火曜日の追い切りで馬の動きに満足した様子だった。

クリス・ヘイズ騎手が騎乗する先導馬を追走した後、坂井騎手は「とても良い感触でした。非常に快適で、嬉しかったです」と語った。

「昨年よりも成熟し、力強くなりました。経験も積んでいます。私自身も昨年のレパーズタウンでの経験から多くを学びましたし、その経験がこの大舞台で活きることを願っています」 

SHIN EMPEROR GALLOP / The Curragh // 2025 /// Video by Idol Horse

坂井騎手は、水曜日にコーク競馬場、木曜日にクロンメル競馬場でアイルランドの地元馬に騎乗し、ウォーミングアップを行う予定だ。

オーナーの藤田氏はアイルランドには姿を見せないものの、矢作師はキーンランドのセプテンバーイヤリングセールで将来のスター候補を探した後、金曜日に現地入りする予定だ。

また、アイリッシュチャンピオンズウィークエンドの他レースでは、フォールンエンジェルがG1・メイトロンステークスで4度目のG1制覇を狙い、G1・モイグレアスタッドステークスには厩舎の僚馬でヨーロッパ最高の2歳牝馬と呼び声高い、ヴェネチアンサンが出走する。

仏G1・モルニ賞でヴェネチアンサンに敗れたグスタードは、G1・ヴィンセントオブライエンナショナルステークスで再起の一戦に臨む。

G1・ナンソープSの覇者でオーストラリアから遠征しているアスフォーラは、G1・フライングファイブステークスに出走予定。そして、日曜日のメインレース、G1・アイリッシュセントレジャーでは、メルボルンカップの有力候補とされるアルリファーがイリノイと対決する予定だ。

土曜日にドンカスターで行われる本家の英G1・セントレジャーでは、ダービー馬のランボーンがエイダン・オブライエン調教師の同レース9勝目を目指して出陣。また、ドラクロワが愛チャンピオンSを勝てば、オブライエン調教師はこちらのレースも13勝目となる。

オーストラリアの春競馬シーズンが本格化する中、土曜日のフレミントン競馬場では、クリス・ウォーラー厩舎の牝馬2頭がG1・マカイビディーヴァステークスで激突する。

前走のウィンクスSでG1・10勝目を挙げたヴィアシスティーナは、名実ともに現在のオーストラリア競馬界の女王だ。しかし、そのレースでは3歳年下の僚馬、アエリアナがヴィアシスティーナを追い詰めた。

この2頭は、1400mの同レースで最後方から2番手につけていたが、直線では力強い脚で追い上げる。ヴィアシスティーナは先に抜け出し、一度も先頭を譲らなかったが、アエリアナが迫り、数完歩は接戦になったかに見えた。しかし、最終的にはヴィアシスティーナが半馬身差をつけて勝利を収めた。

Via Sistina wins the G1 Winx Stakes
VIA SISTINA (R), AELIANA / G1 Winx Stakes // Randwick /// 2025 //// Photo by Jeremy Ng

このレースは、厩舎内でのライバル関係を予感させるのに十分な内容だった。

当初、マカイビディーヴァSに出走するユーロンの所有馬はトレジャーザモーメントだったが、疝痛を発症して回避に。ヴィアシスティーナは来週ランドウィック競馬場で行われるセブンSからマカイビディーヴァSへと予定を変更し、今週出走することとなった。

同じ厩舎からこれほど才能のある2頭の牝馬が出走することは珍しく、対決を避けて別のレースに出走させることも考えられる。そのような中、敢えて同じレースに出走させる陣営の姿勢は称賛に値する。競馬には、トップホース同士が対決し、ライバル関係を築いていくことが必要だ。

このレースには、4月のG1・チャンピオンズマイルで最下位に惨敗したミスターブライトサイドも出走する。同馬は先月、G1・メムジーステークスでトレジャーザモーメントの2着と好走し、復調ぶりを示している。

世界最古のクラシックレースである英セントレジャーが今週末に行われる。歴史上、この週は競馬史に残る出来事が数多くあった。1853年には、同年の英2000ギニーと英ダービーを制したウェストオーストラリアンが、9頭のライバルを破って史上初の英クラシック三冠馬となった。

1985年9月14日には、名牝と謳われるオーソーシャープが英セントレジャーを制し、英1000ギニー、英オークスに続く牝馬三冠を達成した。同馬の勝利によって、ヘンリー・セシル調教師は英国競馬史上初めて1シーズンで獲得賞金が100万ポンドを超えた調教師となった。

今世紀で最も興奮を呼んだ一騎打ちのひとつは、2001年9月8日にレパーズタウン競馬場で行われた愛チャンピオンSでのファンタスティックライトとガリレオの対決だろう。

アスコットのキングジョージ6世&クイーンエリザベスSではクールモアのガリレオがゴドルフィンのファンタスティックライトを破っていたが、アイルランドではその立場が逆転。クールモアとゴドルフィンのライバル関係がピークに達していた中、フランキー・デットーリ騎手の完璧な騎乗で、ファンタスティックライトがガリレオを頭差で破った。

1974年の9月13日には、今年6月に亡くなった名伯楽のD.ウェイン・ルーカス調教師が、初めてサラブレッドのレースで勝利を挙げている。カリフォルニア州のポモナ競馬場、勝ち馬はハーバーハウラーという名前の馬だった。

先週の日曜日に行われた香港の新シーズン開幕戦、大注目を集めたカーインライジングの一部始終を、アダム・ペンギリー記者がシャティン競馬場で取材。ケネディ賞最優秀競馬ライターを受賞した同記者のレポートは必読だ。

アイリッシュチャンピオンズウィークエンドが行われる今週は、アイルランドで6度のリーディングジョッキーに輝いたコリン・キーン騎手のプロフィールをご紹介。

かつてコンビを組んでいたジャー・リオンズ調教師は、彼を「地球上で最も過小評価されているチャンピオンジョッキー」と呼んでいる。

シンエンペラーが昨年の3着大健闘に続いて、再びレパーズタウン競馬場に戻ってくる。この開催にさらなる国際的な出走馬を招致しようとする同競馬場にとって、またしても大きな成果と言えるだろう。

今年の初夏、Idol Horseはレパーズタウン競馬場のヴィッキー・ドンロン暫定CEOをはじめ、ヨークやアスコットの幹部に、どのように国際的な有力馬を招致しているか、彼らが直面している困難、そしてなぜ日本馬の参加がこれほどまでに熱望されているのかを聞いた。

カール・バーク調教師は、今週末のアイリッシュチャンピオンズウィークエンドで、注目の2歳牝馬・ヴェネチアンサンと実績充分の4歳牝馬・フォールンエンジェルの2頭を送り出す。

Idol Horseは今年初め、ノースヨークシャーにあるバーク調教師の厩舎を訪れ、過去の障害馬での苦労話から、クラシックレースを勝つG1調教師になるまでの道のりについて話を聞いた。

香港に降り注ぐ土砂降りの大雨も、ブレントン・アヴドゥラ騎手の喜びを曇らせることはなかった。香港競馬の新シーズン、勝利でスタートさせた喜びをかみしめている。

Jockey Brenton Avdulla
BRENTON AVDULLA / Season Opening // Sha Tin /// 2025 //// Photo by HKJC

昨シーズン、香港リーディング4位でフィニッシュしたアヴドゥラ。ジョン・サイズ調教師と好相性を誇っており、昨シーズンの最後もサイズ厩舎の馬で勝利を挙げて締め括っていた。

今シーズン開幕戦、アヴドゥラが勝利を挙げたスパイシースタンダードもサイズ厩舎の馬だった。

昨年、フォーエバーヤングがケンタッキーダービーで結果を出したことで、日本馬はケンタッキーダービーでも有力な存在となり得ることが示された。先週末の阪神競馬場では、キーンランド出身のマグナヴィクトルが、来春のケンタッキーダービーを見据える馬として頭角を現した。

中内田充正調教師が管理するマグナヴィクトルは、ダートの新馬戦を大差圧勝。まだ先は長いが、東京や川崎で行われるケンタッキーダービーのポイントレースに出走する可能性は高いだろう。

🇯🇵 スプリンターズステークス
9月28日
G1・スプリンターズステークス(IHFA世界ランキング89位タイ)

今週から来日するジョアン・モレイラ騎手は日曜日、阪神競馬場のG2・ローズSでミッキーマドンナに騎乗する。しかし、彼の来日の最大の目的は、G1・スプリンターズSでサトノレーヴに騎乗することだ。

ロイヤルアスコット以来出走していないサトノレーヴは、2018年のファインニードル以来となる、高松宮記念とスプリンターズステークスの春秋スプリントG1制覇を目指している。

先週末の前哨戦で結果を残した有力馬としては、香港特区行政長官盃でカーインライジングの2着に入ったラッキースワイネス、G2・セントウルSで上位に入ったカンチェンジュンガ、ママコチャ、トウシンマカオなどが挙げられる。

🇩🇪 オイロパ賞
9月28日
G1・オイロパ賞(IHFA世界ランキング75位タイ)

チャーリー・アップルビー調教師は、レベルスロマンスが同レース3勝に挑戦することを先週末に表明している。勝てば1965年から67年にかけて3連覇したソ連のチャンピオンホース、アニリン以来の記録だ。

先週末のG1・バーデン大賞を制したゴリアットが相手になる可能性があるが、共同馬主のジョン・スチュワート氏は最終的な決定はフランシス=アンリ・グラファール調教師が行うと述べている。

🇫🇷 凱旋門賞デー
10月5日
G1・凱旋門賞(IHFA世界ランキング5位タイ)、フォレ賞(IHFA世界ランキング98位タイ)

G1・フォワ賞を制した日本のステイヤー、ビザンチンドリームが有力候補に急浮上。クロワデュノール、シンエンペラー、アロヒアリイらとともに、日本馬初の凱旋門賞制覇を目指すことになる。

その他の凱旋門賞トライアルからは、昨年の凱旋門賞2着馬でG1・ヴェルメイユ賞を制したアヴァンチュール、G2・ニエル賞を制したクオリフィカーも出走を予定している。

🇦🇺 マイトアンドパワーS
10月11日
G1・マイトアンドパワーS

コーフィールドの春競馬シーズン初日を飾るのは、コックスプレートへの重要なステップレースであるG1・マイトアンドパワーS、3歳馬限定戦のG1・コーフィールドギニー、そして1マイルのG1・トゥーラックハンデキャップだ。

マイトアンドパワーS(旧称・コーフィールドS)には、マカイビディーヴァSを軽度の疝痛で回避したトレジャーザモーメントが出走を目指している。

🇬🇧 デューハーストS
10月11日
G1・デューハーストS

G1・デューハーストSは、時に英国最高の2歳馬を決定するレースとなる。今週末のG1・ヴィンセントオブライエンナショナルSは、エイダン・オブライエン調教師が管理するグスタードが有力視されており、このレースへの重要なステップレースとなるだろう。

この開催では、3つのG3レースと、1839年に第一回が開催された歴史あるチェザレウィッチハンデキャップも行われる。

Racing Roundtable, Idol Horse

ワールド・レーシング・ウィークリー、世界の競馬情報を凝縮してお届けする週刊コラム。IHFAの「世界のG1レース・トップ100」を基に、Idol Horseの海外競馬エキスパートたちが世界のビッグレースの動向をお伝えします。

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