ブレット・クロフォードの最新ニュース

03/09/2025
ブレット・クロフォード調教師は「馬優先主義」、少数精鋭で香港1年目のシーズンへ
南アフリカでは巨大厩舎を率いたクロフォード師だが、香港では25頭の小さな厩舎で再スタート。少数精鋭の新体制で1年目のシーズンを迎える。
マイケル・コックス

05/06/2025
香港移籍のブレット・クロフォード調教師、新厩舎の準備は着々と進行中
ジェイミー・リチャーズ厩舎の移転に伴い、オリンピックステーブルで新しい厩舎を開業する南アフリカ出身のクロフォード調教師。準備の進捗について話を聞いた。
デイヴィッド・モーガン

07/02/2025
ブレット・クロフォード調教師が香港に移籍、満を持して新たな一歩へ
南アフリカのブレット・クロフォード調教師が来シーズンに向けて香港へ移籍する。国際的な舞台で自身を試す機会を楽しみにしているようだ。
デイヴィッド・モーガン
ジンバブエのハラレからケープタウン、そして香港へ。南アフリカ競馬を代表する名伯楽、ブレット・クロフォード調教師にとって、それは40年に及ぶ旅路だった。
緻密な馬の扱いと高いプロ意識、そしてカリスマ的な存在感で尊敬を集めるクロフォードは、南アフリカ競馬界の主要レースに長年欠かせない存在でありながら、リーディング調教師の座には一度も就いていない。
それでもケープ地区ではトップトレーナーとして定着し、2021年以降は息子ジェームズとともに厩舎の勢力を拡大している。
ブレット・クロフォードの生い立ち
1971年、当時のローデシア・ソールズベリー(現ジンバブエの首都ハラレ)に生まれたクロフォードは、18歳で南アフリカへ移住した。
祖父はバロウデイルパーク競馬場に通う熱心な競馬ファンだったが、クロフォードが実際に競馬界に足を踏み入れるきっかけとなったのは、ジンバブエの名門競馬一家として知られるマスカット家との縁だった。クロフォードの兄たちがピーターとポール・マスカットと友人関係にあり、それが彼の馬への関心を刺激したのである。
12歳になると、ブライアン・マスカット(ピーターとポールの父)の厩舎で厩舎作業や調教騎乗を手伝い始め、その後ニール・ブラスやシェーン・ランキンの下でも経験を積んでいった。
南アフリカに到着後、クロフォードは国内三大拠点それぞれで名伯楽のもと修業を積んだ。ヨハネスブルグではマイク・デコック師の下で1年間働き、その後ケープタウンではエリック・サンズ、ダーバンではデニス・ドライヤーに師事し、調教助手として経験を重ねた。
2001年にはドイツの名オーナーブリーダー、サビーネ・プラットナー氏の専属調教師に就任。これが調教師として初めて自分の厩舎を任された仕事であった。そして、2009年にクロフォードレーシングを設立し、独立を果たした。

クロフォード厩舎の代表馬
クロフォード厩舎が送り出したG1馬のリストは枚挙に暇がない。アンガス、レッサーフェアー、サンダーダンス、フューチュラ、ウィスキーバロン、キャプテンアメリカ、ウィンチェスターマンション、オリエンタルチャームなど、錚々たる名馬が名を連ねている。
ただし、クロフォードの最もよく知られる管理馬はジャクソンだ。世代屈指の中距離馬で、同世代には快速マイラーのヴァラエティクラブ、スタミナ豊富なポモドーロ、早熟のデラゴデラックス、そしてのちに種牡馬として成功するギミーザグリーンライトが揃っていた。
ジャクソンは2012年にケープダービーとデイリーニュース2000を制し、主戦騎手を務めたカリス・ティータン騎手とのゴールデンコンビを形成。その後、4歳時にチャンピオンズカップを制した。
また、ヴァラエティクラブとのライバル関係でも記憶されている。3歳時にはケープダービー(2000m)で下したが、4歳時には1400mと1600mで3度敗れるなど、好対決を繰り広げた。
ティータンはその後香港で数々の名馬に騎乗し、ロマンチックウォリアーでのG1制覇などを果たしたが、それでも「自身を有名にした馬」としてジャクソンとの思い出を懐かしく語っている。

クロフォード、最大の偉業
クロフォードの最大の偉業は2024年、南アフリカ最大のレース「ダーバンジュライ」を異なる2頭で連覇したことだ。
2023年はウィンチェスターマンションで人気馬のシーイットアゲインをハナ差抑え込み、翌2024年には3歳馬オリエンタルチャームが豪快に突き抜けクビ差勝利を収めた。
この快挙によりクロフォードは、南アフリカ競馬史上10人目となる「異なる馬でのダーバンジュライ連覇」を達成。マイク・デコック師、ジャスティン・スナイス師、ショーン・タリー師、デヴィッド・フェラリス師、テレンス・ミラード師、シド・レアード師ら名伯楽と肩を並べた。

クロフォードについて関係者の声
カリス・ティータン(南アフリカ、香港の騎手)
「香港での騎乗オファーがあったとき、最初に相談したのがブレット(クロフォード師)でした。彼は『行くべきだ、これは君のチャンスだ』と言ってくれたんです」
「彼の実績が物語っている通り、南アフリカの主要レースを数多く制し、シーズンごとに着実に進化を遂げてきました。間違いなく南アフリカを代表するトップトレーナーの一人ですし、ここ数年の成果は素晴らしく、香港に呼ばれるのも当然だと思います」
「香港ジョッキークラブは適任の人物を選んだと思います。彼は香港で調教師としてやっていくために必要な心構えがあります。常に学ぼうとし、自分をさまざまな形で高めようとする人ですし、香港という場所を理解し、その環境に合った調教の仕方も理解できると思います。必要なサポートを受けられれば、必ず成功するはずです」