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月曜夕方(現地時間)、デルマー競馬場のパドックで行われたG1・BCクラシックの枠順抽選会で、フォーエバーヤングが5番枠に決まると、矢作芳人調教師の陣営は歓声を上げて手を叩いた。

北米の3歳・4歳のエリート馬たちと、日本競馬史上最強のダート馬との激突は、すでに『世紀の一戦』とさえ呼ばれている。昨年のクラシック上位3頭が再び顔を揃え、さらに今年のケンタッキーダービーとベルモントステークスを圧勝したソヴリンティ、プリークネスステークス覇者のジャーナリズムも迎え撃つとなれば、その触れ込みも決して過大広告ではない。

G1・サウジカップ覇者のフォーエバーヤングに5番の数字が告げられると、矢作師はトレードマークの帽子の下で笑みを浮かべた。その隣に座っていた、普段はクールで冷静沈着な坂井瑠星騎手も、目元を覆う濃いレンズのサングラスの下から、満足げな表情が垣間見えた。

フォーエバーヤングは昨年BCのクラシックでは、1番枠から厳しいレースを耐え忍んだ。外枠から進出した勝ち馬のシエラレオーネと2着馬のフィアースネスに追い抜かれる中、内側で進路を失いながらも、最後は3着に粘り込んだ。

そして今回、リアルスティール産駒の同馬は絶好の枠を引き当てた。G1・パシフィッククラシックを制したフィアースネスが最内の1番枠、シエラレオーネが7番枠、そしてこのレースの1番人気が予想されるソヴリンティがすぐ外の6番枠に入った。

なお、シエラレオーネのペースメーカー役であるコントラリーシンキングは、フォーエバーヤングの内側、4番枠に入った。

矢作師は抽選直後、通訳を介してIdol Horseに対し、フォーエバーヤングの枠順について「ハッピーです」と語った。

「(コントラリーシンキングという)ペースメーカーの隣になりましたし、全体の並びを見ても我々にとっては素晴らしい枠順になりました。あまり後ろすぎず、先行集団に近い位置でレースができるはずです」

フォーエバーヤングは、先週水曜日の早朝からデルマー競馬場に滞在している。月曜の朝、デルマーのダートコースをキャンターで1周し、その後パドックでのスクーリングに向かった。

水曜の朝には追い切りが予定されており、矢作師は「馬の状態、特にフィジカル面には満足しています」と述べた。

Forever Young works at Del Mar
FOREVER YOUNG / Del Mar // 2025 /// Scott Serio/Eclipse Sportswire/Breeders Cup

昨年のBCクラシックで敗れた直後、リベンジのために戻ってくると宣言していた矢作調教師。北米が送り出す最強の布陣に、自身のスターホースが挑む決戦を楽しみにしていると語った。

「世界でも有数の素晴らしいメンバーが揃いました。このような偉大なレースで、これほどの馬たちと戦えることを非常に嬉しく思います」

矢作厩舎が今年のデルマーに送り込んだ少数精鋭の遠征隊には、BCスプリントに出走する3歳馬のアメリカンステージと、BCジュベナイルフィリーズターフに出走する2歳馬のスウィッチインラヴも含まれている。

アメリカンステージが9番枠を引いたとき、矢作チームから聞こえた控えめな歓声は皮肉にも聞こえた。抽選後に枠順についてどう思うか尋ねられると、矢作師は英語で「悪くないね (Not too bad)」と答え、不敵な笑みを見せた。

13頭立ての6番枠となったスウィッチインラヴについては「この馬にとっては良いんじゃないでしょうか」と述べ、もし勝つことができればどれほど特別なことか、と付け加えた。

スウィッチインラヴは、矢作師が育てた三冠馬コントレイルの初年度産駒であり、黒と緑の勝負服でお馴染みのDMMドリームクラブの所有馬。

同クラブの代表馬で、同じく矢作厩舎が管理したラヴズオンリーユーは、2021年のデルマー競馬場でのBC開催にて、日本馬として史上初のブリーダーズカップ制覇を成し遂げている。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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