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G1・サウジカップでの惜敗から1ヶ月あまり。ロマンチックウォリアーとダニー・シャム調教師の胸中には、今もなお悔しさが残っている。

土曜日にメイダン競馬場で行われるドバイターフでは強豪がひしめく一戦に臨むが、すでに陣営の視線は来季のリヤド再訪に向けられ始めている。

今週土曜日の1800mの大一番に全力を注いでいるシャム調教師だが、今後のプランについて問われると、明らかに思いを馳せていたのはただ一つ、サウジカップそしてフォーエバーヤングとの再戦だった。

「レース後は2週間ドバイに滞在してから香港に戻ります」と、シャム調教師は水曜朝、Idol Horseの取材に対してドバイで語った。

「その後の選択肢は複数あります。香港にとどまってG1戦線を狙うこともできますし、再びサウジカップに照準を合わせて調整することも考えています。それが次の大目標になるかもしれません」

「彼は世界最高のダートホースに負けただけですし、あれが初のダート戦だったことを考えれば上出来でした。でも、次はもっと良くなるかもしれませんし、来季は勝てるかもしれません」

今年2月、キングアブドゥルアジーズ競馬場で行われたサウジカップでは、ロマンチックウォリアーとフォーエバーヤングによる歴史的な一騎打ちが繰り広げられた。最後は日本の若き雄が鋭く伸び、香港の猛者をゴール寸前で差し切った。

その鉄壁のタフさと、オーナーのピーター・ラウ氏が遠征に積極的な気質を考えれば、リヤドでの再戦はファン垂涎の展開となり得る。もっとも、馬主本人は「旅が好きではないタイプ」を自称しているのは皮肉なことなのかもしれない。

とはいえ、もしロマンチックウォリアーが8歳となる来季を通して香港に専念することを選べば、このアクラメーション産駒は再び2000m戦線で無双の立場となる。クラシック世代から突如の新星台頭がない限り、香港の豊富なG1賞金を狙うのもまた魅力的な選択肢となるだろう。

Romantic Warrior during trackwork at Meydan
ROMANTIC WARRIOR / Meydan // 2025 /// Photo by Shuhei Okada

来季のプランを最終決定する前に、シャム調教師とラウ氏はメイダンのスタンドでロマンチックウォリアーの11度目のG1制覇を目指す戦いを見守る。ドバイターフでは、馬券人気と国際レーティングの双方が、この馬を『勝つべき存在』と位置づけている。

「本当に素晴らしい仕上がりですし、このレースをとても楽しみにしています。非常にタフなメンバーが揃いましたが、彼は万全の態勢です」とシャム調教師は語った。

「9番ゲートも問題ないでしょう。彼は自在性がありますし、ペースが速ければジェームズ(マクドナルド)がうまく落ち着かせてくれるでしょう。もしスローになれば、前目で運ぶこともできます」

火曜朝、ロマンチックウォリアーはジェームズ・マクドナルド騎手を背に芝コースで最終追い切りを消化。翌水曜日にはダートコースで軽めの調整を行い、いつも通り活気に満ちた姿を見せた。

「ここではサウジの時よりずっとリラックスしているように見えますし、調整も順調そのものです。少しプレッシャーがかかるくらいの方が彼は力を発揮しますし、今はまさに“全開”の状態ですね」と語るのはマクドナルド。

「誰もが知っている通り、彼は本物のチャンピオンですし、またその姿を土曜日に見せてくれることを願っています」

火曜日の調教に騎乗するため、マクドナルドはローズヒルで開催延期された日程でのレース騎乗を辞退。その中にはG1・タンクレッドステークスでの有力騎乗馬も含まれていた。

実際、彼が騎乗予定だったリヴァーオブスターズは同レースで7着に敗れており、大舞台での勝利を逃した形にはならなかったが、ダニー・シャム調教師はその判断に深く感謝しているという。

「ジェームズとロマンチックウォリアーの関係は本当に素晴らしいです。G1レースの騎乗を断ってまで火曜日の調教に駆けつけてくれる騎手が、一体何人いるでしょうか」とシャム調教師は語った。

マクドナルド騎手はドバイワールドカップデーにおける香港勢3頭の主戦を務めることになっており、ロマンチックウォリアーに加えて、ジョン・サイズ調教師が送り出すハウディープイズユアラブとはG1・アルクオーツスプリント(1200m)で、フランキー・ロー調教師のソードポイントとはG2・ゴドルフィンマイルでコンビを組む。

Sword Point and James McDonald work at Meydan
SWORD POINT, JAMES McDONALD / Meydan // 2025 /// Photo by Shuhei Okada

ソードポイントについては、ロー調教師も「ダートでのレースなので、3着以内に入れれば上出来」と語っているが、ハウディープイズユアラブにはマクドナルド騎手も手応えを感じている。カーインライジングに2戦続けて3着に敗れたものの、その内容から十分勝負になると見ている。

「彼はいつも安定した走りを見せていますし、今の世界最高のスプリンターであるカーインライジングと香港で競っています」とマクドナルド騎手は言う。

「カーインライジングと2回続けて接戦を演じているのですから、この馬のスプリント路線での実績もトップレベルと見ていいでしょう。仮にカーインライジングがこのレースに出ていれば、とても低いオッズになって圧倒的人気を集め、4〜5馬身は千切って勝つだろうと言って間違い無いでしょう」

「それを考えれば、我々にも十分チャンスはありますし、彼には本当に大きな期待を寄せています」

ジャック・ダウリング、Idol Horseのレーシングジャーナリスト。2012年、グッドウッド競馬場で行われたサセックスステークスでフランケルが圧勝する姿を見て以来、競馬に情熱を注いできた。イギリス、アメリカ、フランスの競馬を取材した後、2023年に香港へ移る。サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、レーシング・ポスト、PA Mediaなどでの執筆経験がある

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