最新ニュース

04/09/2025
“短距離最強” カーインライジングが「より強くなって」帰厩、ジ・エベレスト遠征まで残り2ヶ月
ジ・エベレスト遠征を控えるカーインライジングが月曜日、帰厩後初の追い切りを実施。騎乗したパートンは「より強くなって帰ってきた」と手応え良好の様子だった。
ジャック・ダウリング

04/09/2025
ジ・エベレスト出走枠を購入、“IT億万長者” マルベリーレーシングの「データ革命」とは?
世界最高賞金の芝G1『ジ・エベレスト』に、異色の新興勢力・マルベリーレーシングが参戦。AIとデータを武器に競馬界で頭角を現す、 “謎の億万長者” の正体とは?
アダム・ペンギリー

04/09/2025
「スムーズ・ロケット」ヴィアシスティーナの背中を知る人物が語る、強さの秘訣
ウィンクス、ネイチャーストリップ、ベリーエレガントに続き、女傑がまた一頭。クリス・ウォーラー調教師は、オーストラリア競馬界を席巻する新たな傑物をまた育て上げた。
アダム・ペンギリー

04/09/2025
国を超えた大物同士の協力、カーインライジングのジ・エベレスト遠征「出走枠購入」の舞台裏
カーインライジングのジ・エベレスト参戦。HKJCとATCが締結した出走枠の契約には、香港とオーストラリアの双方にとって大きな意味合いが隠されていた。
アダム・ペンギリー

04/09/2025
香港のジェリー・チョウ騎手、夏休み返上で韓国遠征の好機「チャンスが本当に欲しかった」
真面目な努力と巡り合わせが実を結び、ジェリー・チョウ騎手は韓国遠征でチェンチェングローリーとセルフインプルーブメントの鞍上を任されることとなった。
ジャック・ダウリング

04/09/2025
安全な馬場か馬券売上か……ヴィアシスティーナのウォーラー師が警鐘を鳴らす「競馬場問題」
シドニー春競馬の開幕を告げるG1をヴィアシスティーナで制したクリス・ウォーラー調教師。馬場か売上か、彼が批判する「開催競馬場の偏り」という根深い問題とは?
アダム・ペンギリー
ジ・エベレストと凱旋門賞、2大レースの前哨戦は必見
シドニーと香港の今週末を席巻するのは、ジ・エベレストに向けた前哨戦だ。
今週末、香港のカーインライジングがシャティンで大一番への前哨戦に臨む。一方、世界最高賞金の短距離戦で対決する2頭のライバル候補は、シドニー・ランドウィック競馬場の1000m戦を舞台に激突する。
ジミーズスターとレディシェナンドー。ともにG1馬であるこの2頭は、10月18日に予定されている世界最強スプリンターとの激突を前に、G3・コンコルドステークス(1000m)で力試しの一戦に臨む。
メルボルンもまた、ジ・エベレストに向けて活況を呈している。土曜日のG1・モイアステークスにはジェディビールが出走予定。同馬はレースの出走枠を保有するマルベリーレーシングが所有しており、結果次第では前評判の序列に影響を与えるかもしれない。
欧州の短距離界は現在、これといった目玉は不在の状況にあるが、フランスのラザットが土曜日の英G1・スプリントカップに出走する。昨年のゴールデンイーグルで2着に入り、その後のロイヤルアスコットを制した同馬は、ヘイドック競馬場のG1でも有力馬として人気を集めるだろう。
しかし、この前哨戦で大事なのはその先だ。日曜日のパリ・ロンシャン競馬場では、凱旋門賞の3つの前哨戦、G1・ヴェルメイユ賞、G2・フォワ賞、そしてG2・ニエル賞が行われる。
この3つのレースの勝者たちは、過去30回の凱旋門賞のうち12回を制してきた。昨年の勝ち馬、ブルーストッキングも、牝馬限定のヴェルメイユ賞から凱旋門賞を制した。日曜日のヴェルメイユ賞には、クールモアのG1・2勝馬ワールと、昨年のこのレースと凱旋門賞で2着に入ったフランスのアヴァンチュールが出走する可能性がある。
アヴァンチュールのクリストフ・フェルラン調教師はIdol Horseの取材に対し、前走のサンクルーでカランダガンに次ぐ2着に入った同馬の走りには満足しているとコメント。カランダガンはその後、キングジョージを勝利し、名実ともに欧州のトップホースとなっている。
また、アヴァンチュールは今年も凱旋門賞を目標にしていると語った。
「アヴァンチュールはシーズンを通して順調にきています」とフェルラン師。「前走は少し馬場が速かった。カランダガンは素晴らしい馬で、その2週間後にイギリスでそれを証明しましたから、あの馬の2着に負けるのは問題ありませんでした」
「アヴァンチュールは一年を通して調子が変わらない馬ですが、この時期の柔らかい馬場も全く気になりません。彼女はとても素晴らしい牝馬で、個性が豊かです。他に類を見ない存在で、毎日世話をすることができて嬉しいです」
古馬が出走するG2・フォワ賞は、日本の馬にも馴染み深いレースだ。オルフェーヴルが連覇し、4年前にはディープボンドもこの前哨戦を制した。今年は、坂口智康厩舎のビザンチンドリームが出走する。


しかし、このレースはしばしば瞬発力勝負となる。リヤドのG2・レッドシーターフハンデキャップを制し、G1・天皇賞春で2着に入ったビザンチンドリームが示したような、3000m以上の距離での適性は必ずしも好結果に繋がるとはいえない。
3歳馬の凱旋門賞前哨戦はG2・ニエル賞。このレースは1990年代から2000年代にかけて主要な前哨戦だったが、2006年以降、ニエル賞の勝ち馬で凱旋門賞を制した馬はいない。日曜日のレースには、パリ大賞を制したルファールと、仏ダービーで2着に入ったクアリフィカーが出走する。
同じロンシャンのレースには、G1・ムーランドロンシャン賞も組まれており、トップマイラーのアンリマティス、ロザリオン、リードアーティスト、ダンシングジェミナイが集結する見込みだ。アンリマティスにとっては、仏2000ギニーを制した舞台に戻ってくる。
そしてドイツでは、香港ヴァーズを視野に入れているかもしれない3頭のベテラン騸馬、レベルスロマンス、ドバイオナー、そしてゴリアットが、G1・バーデン大賞で独ダービー馬のホッホケーニッヒと激突する。
このレースからは、今世紀に入ってトルカータータッソ、デインドリーム、マリエンバードといった凱旋門賞馬が誕生している。
韓国発、カリフォルニア行きのチケットを掴むのは
ソウルの砂ダートは、日差しが降り注ぐデルマー競馬場からはかけ離れているように感じられるかもしれないが、コリアカップとコリアスプリントは、11月第一週に南カリフォルニアで行われるブリーダーズカップへの優先出場権が懸かっている。
韓国馬事会(KRA)が主催するこの国際レースには、香港のチェンチェングローリーとセルフインプルーブメント、そして日本から数頭の馬が遠征し、地元馬を迎え撃つというお馴染みの構図となっている。
ジェリー・チョウ騎手は水曜日の夜、香港馬2頭に騎乗するためソウルへ向かった。香港調教馬が韓国で勝利したのは2016年が最後、当時はコリアスプリントでスーパージョッキーが勝利。勝利の立役者はカリス・ティータン騎手と、今は引退したトニー・ミラード調教師だった。

コリアカップに出走するドゥラエレーデは、2歳時に日本でG1を制し、2024年のG1・ドバイワールドカップで5着に入った実績から、国際的にも最も馴染みのある馬だ。日本のレジェンド武豊騎手は、コリアスプリントに出走するチカッパに騎乗予定となっている。
全体的に、日本はこの2つのレースを席巻している。昨年、リメイクとクラウンプライドがそれぞれコリアスプリントとコリアカップを連覇したことからも、その傾向が強く表れている。
一方、ソウルよりもカリフォルニアに近いケンタッキーダウンズ競馬場では、3頭のイギリス調教馬が地元馬に混じって出走。テネシー州との州境に近いこの場所で、200万ドル超の賞金を争う。
米G2・ミュージックシティステークスに出走する、イギリスのタビティは前走グッドウッドで重賞を制したばかり。昨年、ブリーダーズカップターフスプリントで伏兵のスターラストを勝利に導いたラルフ・ベケット調教師が、鞍上にフランキー・デットーリ騎手を起用して送り出す。
世界の注目馬リスト
アイルランドのウィリー・マリンズ調教師は、平地競馬と障害競馬の両方でその敏腕を披露してきた。しかし、先月、新たな舞台で手腕を見せつける機会があった。
先月、カラ競馬場の2歳戦でデビュー勝ちを収めたスレッドオブゴールド。マリンズ厩舎の馬が2歳でデビュー勝ちを決めたのは、2012年のブルーバレッド以来。同調教師としては、この騸馬が数年後にメルボルンカップの有力馬に成長することを期待している。
ガイヤース産駒のスレッドオブゴールドは、まさにメルボルンカップ向きな血統の持ち主。母のウーブンレースは、2018年のメルボルンカップ優勝馬クロスカウンターの母であるウェイトレスと、2021年のメルボルンカップで4着に入ったフローティングアーティストの母ミスケントンの半姉にあたる。
デビュー戦ではマリンズ調教師の妻であるジャッキー氏が所有していたが、その後はアメリカのチームヴァラーによって購入された。
世界の競馬場から
今週末のバーデン大賞に出走する馬たちは、このレースが現在の2400mで行われ、キンチェムのような傑出したライバルと対決する必要がないことをラッキーに思っているかもしれない。
ハンガリーを代表する名牝、キンチェムがバーデン大賞を制した1879年9月2日、他の出走馬は3頭、レースの距離は3200mだった。彼女は当然のように勝利し、無敗記録を51に伸ばした。
この年のバーデン大賞はキンチェムにとって、バーデンバーデン競馬場での3連勝目となり、ハンガリー国外で出走する最後のレースとなった。その後、彼女は3回のレース(うち2回は単走)で勝利を収めてキャリアを終えた。
その41年後、1920年9月4日にベルモントパーク競馬場で行われたローレンスリアライゼーションステークスで、唯一のライバルが取り消したとき、マンノウォーの単走が見込まれた。しかし、フードウィンクが急遽出走することになり、『ビッグレッド』は信じられないほどの走りを見せた。
マンノウォーはもはや思うがままに走ることが許され、公式着差は100馬身でフィニッシュし、1マイル5/8の距離で2分4秒と4/5という世界記録を樹立した。
今週読みたいIdol Horseの記事
もし、武豊騎手が今週末のソウル競馬場で勝利を収めれば、今年のデルマー競馬場で行われるブリーダーズカップに戻ってくることが視野に入る。
ブリーダーズカップを制すことはなぜ特別なのか。昨年、Idol Horseはカリフォルニアの競馬場で、日本競馬を代表するレジェンドジョッキーから話を聞いた。
凱旋門賞の行方に注目が集まる中、昨年秋のロンシャンを振り返ってはいかがだろうか。
ラルフ・ベケット調教師とロッサ・ライアン騎手にとっての感動の凱旋門賞制覇、そして日本勢にとってのまたしてもの敗北。2024年の凱旋門賞は何が起きたのかを振り返る。
今週の最新記事、アダム・ペンギリー記者によるザック・ロイド騎手の特集はこちら。
傲慢さや自信、チャンピオンには絶妙なメンタリティが求められる。そのバランス感覚を見つけることができれば、さらなる高みへと向かう可能性がある将来有望な若手騎手だ。
ワールドレーシングカレンダー:今後の注目レース
🇦🇺 マカイビーディーヴァステークス
9月13日
G1・マカイビーディーヴァS (IHFA世界ランキング29位タイ)
このレースでは、オーストラリア競馬を代表する現役馬2頭、ヴィアシスティーナとトレジャーザモーメントの対決が控えている。両馬とも張月勝氏のユーロンが所有している。
ヴィアシスティーナのオーストラリアでの最悪のパフォーマンスは、昨年このレースでミスターブライトサイドに敗れたことだった。一方、トレジャーザモーメントは、前回の敗北から1年間無敗を貫き通している。前走メムジーSでは初めて年長馬と対決し、勝利を収めたばかりだ。
このレースには、他にもG1馬であるアンティノやトムキトゥンが出走予定となっている。
🇮🇪 愛チャンピオンステークス
9月13日
G1・愛チャンピオンS (IHFA世界ランキング8位)
英インターナショナルS勝ち馬のオンブズマンは、ブリーダーズカップターフとジャパンカップを目標とするローテーションに専念するため、G1・愛チャンピオンSを回避することが決まった。
これにより、この中距離のライバルであるエクリプスS覇者のドラクロワが、勝てば13勝目となるエイダン・オブライエン厩舎の有力馬として出走する可能性が高い。立ちはだかるのは、日本から参戦するシンエンペラー。同馬は昨年このレースでエコノミクスの3着に入っている。
この日の番組には、牝馬G1・メイトロンSを含む6つの重賞レースが組まれている。
🇮🇪 愛セントレジャー
9月14日
G1・愛セントレジャー (IHFA世界ランキング46位タイ)
1マイル6ハロンの長丁場、G1・愛セントレジャーは、カラ競馬場でも最も有名なレースの一つだ。エイダン・オブライエン調教師は、2007年以降このレースを7度制しており、昨年英セントレジャーでワンツーを決めたヤンブリューゲルとイリノイを出走させる可能性がある。
調教師としては未勝利だが、騎手時代にこのレースを制しているジョセフ・オブライエン調教師は、メルボルン遠征を予定するアルリファーを送り出すかもしれない。
同開催のG1・フライングファイブSでは、オーストラリアのアスフォーラがヨーロッパでのG1・3勝目を目指す一方、2歳馬たちは大一番のG1・ヴィンセントオブライエンナショナルSとG1・モイグレアスタッドSが待ち受けている。
🇯🇵 スプリンターズステークス
9月28日
G1・スプリンターズS (IHFA世界ランキング89位)
今年の国内G1戦線で大暴れしているジョッキー、ジョアン・モレイラ騎手は、G1・スプリンターズSに合わせて再来日する予定となっている。コンビを組むのは継続騎乗中のサトノレーヴだ。
前走はロイヤルアスコット開催のG1で2着に入ったサトノレーヴは、2018年のファインニードル以来となる、高松宮記念とスプリンターズSの春秋スプリントG1制覇を目指している。
香港勢は15年前にウルトラファンタジーがこのレースを制しており、今年はベテランのラッキースワイネスが遠征予定。今週末にシャティンで行われる香港特区行政長官盃で始動した後、日本へと向かう計画となっている。
今週日曜日に阪神で行われるG2・セントウルSはここに向けた前哨戦の一つ。地元の有力馬、トウシンマカオとママコチャがステップレースとして使う。
🇩🇪 オイロパ賞
9月28日
G1・オイロパ賞 (IHFA世界ランキング75位)
ゴドルフィンのレベルズロマンスは、過去3年間でG1・オイロパ賞を2度制し、いずれもBCターフへの足がかりとしてきた。
2025年も変わらずそのローテを使う予定となっており、32頭の早期登録馬の中で最も注目を集める存在となっている。今週末のバーデン大賞次第では、ブリーダーズカップも視野に入るゴリアットを含め、さらなる候補馬が明らかになるだろう。
昨年の英G2・ハードウィックSを制して以来出走していないアイルオブジュラも興味深い登録馬だ。