イギリスのチャンピオンジョッキー、オイシン・マーフィー騎手が、4月の深夜に起きた自動車事故に関与したとして警察から起訴され、裁判に出廷することが決まった。なお、この事故では同乗者の女性が病院に搬送されている。
これまで4度のリーディングジョッキーを誇るマーフィーだが、今回告発された容疑はアルコール限度を超える状態での飲酒運転、そして路上での呼気検査に協力しなかった疑いの2件。7月3日にレディング治安判事裁判所で行われる裁判へ出廷する予定だ。
テムズバレー警察の声明で「重大な交通衝突事故」と表現されたこの自動車事故は、4月27日の午前0時過ぎに発生。グレーのメルセデスベンツ・Aクラスが木に衝突した。事故現場はウェストバークシャー州ハーミテージ、ランボーンから約15マイルの距離にある場所だ。
欧州屈指のトップジョッキーである29歳のマーフィーは、事故後もレースには通常どおり騎乗し続け、先週のロイヤルアスコット開催では5勝を記録。しかし、このアイルランド出身ジョッキーは過去5年間、度重なる不祥事でも注目を浴びてきた。
最も重大だったのは、2022年2月に英国競馬統括機構(BHA)の独立懲戒委員会が下した14か月間の騎乗停止処分。計5件の違反が対象となり、期間は2021年12月から2023年2月に及んだ。
その違反には、2021年5月と10月に起きた開催当日のアルコール検査失格、2020年のコロナ禍での渡航制限下でBHA職員に虚偽申請(実際の渡航先はギリシャのミコノス島だがイタリアと申告。ミコノス島は当時英政府のレッドリスト)を伝えたこと、競馬場入場時の新型コロナウイルス対策違反、ならびに競馬の社会的な評判を損なう行為が含まれる。
懲戒審理でBHAが示した条件には「マーフィー氏が今後も節酒を保ち、違法薬物・娯楽用薬物を使用しないこと」が盛り込まれていた。
昨年8月には、騎乗予定日に義務付けられていた呼気検査の直前に、ケンプトンパーク競馬場での騎乗を取りやめた。その後、X(旧Twitter)で痔のため騎乗を辞退したと釈明した。
また、マーフィーはフランス当局からも処分を受けている。2020年11月、シャンティイ競馬場で7月に行われたレースの騎乗前検査でコカイン陽性反応が検出された件で、フランスギャロから3か月の出場停止処分を科された。ただし、彼は「コカイン使用者との性交渉による環境汚染」であり自身が摂取したわけではないと主張し、より重い処分は免れた。