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デイヴィッド・モーガン

G1・サセックスステークスは、グッドウッド2日目のハイライトであるだけでなく、英国競馬の年間でも屈指の名レースだ。ブリガディアジェラードをはじめ、近年では“デュエル・オン・ザ・ダウンズ”と銘打たれたキャンフォードクリフスとの一騎打ちを圧勝で制した怪物フランケルなど、数々の名馬がその名を刻んできた。

そのフランケルがまとう名門ジャドモントの勝負服を、今年はフィールドオブゴールドが背負う。全世代初対決となるこのG1・マイル戦で、さらに王者への道を切り開けるか注目だ。前走のアスコットで仏2000ギニー馬アンリマティスを退けた走りは圧巻で、ここでも断然の1番人気が予想される。バリードイル陣営のアンリマティスも雪辱を期す。

1975年に古馬も出走可能となって以来、3歳馬は重量差の恩恵を生かし33勝、4歳以上は17勝。今年の古馬勢では、キャンフォードクリフスを輩出したハノン厩舎のロザリオンが主力だ。

ロザリオンは前走G1・クイーンアンステークスで、今回も出走するドックランズに鼻差敗退。先頭に立って勝負を決めたと油断したかのような気配もあり、今回は一気の差し切りに賭ける構えだ。米豪からの遠征馬カールスパクラーも、アスコットでの英国初挑戦を経て上積みが期待できる。

一方、カール・バーク厩舎は再び好調モード。ワスナンレーシングの注目牝馬ゼレイナも登場する。ロイヤルアスコットのG2・クイーンメアリーSでは、序盤はスピードを見せながらも最後は失速して8着に敗れたが、グッドウッド特有の下り坂を生かせば、この日午後の5ハロン戦はこの牝馬にぴったりの舞台となりそうだ。

イチオシ推奨馬:R2・14番タビティ

アンドリュー・ホーキンス

G3・モールコームステークスは、例年“大物”感こそないものの、後のスプリント界を賑わす快速馬を輩出することで知られる。過去にはフリーティングスピリット、カチー、ハヴァナグレーといった名スプリンターを送り出した。

この2歳馬限定の5ハロン戦は、直近2年とも馬主のRPレーシングとマイケル・アップルビー調教師の陣営が制した。昨年のBCジュベナイルターフスプリント馬ビッグイーヴス、今年のG1・ジュライC2着馬ビッグモジョは記憶に新しいだろう。

今年は“同名”ながら血縁はないチャーリー・アップルビー調教師が、ウートンバセット産駒のミリタリーコードを送り込む。5ハロン戦で2勝、2着1回と短距離で安定した実績を誇る。唯一の例外は距離を延ばしたG2・コヴェントリーSで、勝ち馬グスタードから大きく離された一戦だった。

しかし、勝利には俊足のアイルランド牝馬レディイマンを退ける必要がある。デビューから3連勝を飾り、トゥルーラヴらとの対戦歴もある素質馬だが、前走のカラG2・6ハロン戦では力負けした格好。5ハロンへの距離短縮となる今回は、条件として理想的だ。

さらに注目は、ティム・イースタビー厩舎のアルゼンチンタンゴ。出走馬中最もキャリア豊富で、6ハロン戦を2度使われた後の5ハロン回帰。前走はG2戦でヴェネチアンサンの3着と善戦しており、斤量免除があるため、他馬に対して優位に立つ。

イチオシ推奨馬:R5・6番ウィスパー

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの副編集長。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。また、競馬以外の分野では、ナイン・ネットワークでオリンピック・パラリンピックのリサーチャーも務めた。

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