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来月、アメリカで開催される競馬の祭典・ブリーダーズカップで、地方競馬ファンが “地方代表” を応援する機会が初めてやってくる。大井の藤田輝信調教師が、フェブランシェをデルマー競馬場に遠征させる計画を進めている。

藤田師が世界の舞台で注目を浴びたのは2023年4月。地方競馬生え抜きのマンダリンヒーローをサンタアニタ競馬場に遠征させ、G1・サンタアニタダービーでハナ差の2着に迫る大健闘を演じ、歴史に残る番狂わせ寸前まで持ち込んだときだった。

マンダリンヒーローと藤田師は南カリフォルニアでの大健闘に加え、その直後にG1・ケンタッキーダービー挑戦も経験。そして今回は、キャロットファームが所有するフェブランシェでブリーダーズカップ挑戦の大役を任された。

藤田師はIdol Horseの取材に対し、「今回は自分が馬より先に現地に向かい、到着後は迎えに行って、滞在中もずっと付き添う予定です」と計画を明かす。

「前回(マンダリンヒーロー)は多くの方にサポートをいただき、US Equine社の皆さまにも本当に綿密なサポートを提供していただきました。ただ今回は、できるだけ自分たちでやるつもりです」

キャロットファームと言えば、矢作芳人調教師が管理したマルシュロレーヌのオーナーでもある。同馬は2022年のG1・BCディスタフを制し、日本調教馬として2頭目、かつダートでは史上初のブリーダーズカップ制覇を達成した。なお、マルシュロレーヌは地方の交流重賞でも走り、勝利を挙げている。

同クラブは木曜日、出資者向けにフェブランシェのブリーダーズカップ参戦を発表。ホームの大井競馬場でJpn2・レディスプレリュード(1800m)に挑み、4着に入った火曜日のレースから2日後のことだった。このレースはJRA勢にも門戸を開いており、今年は5月のG1・ヴィクトリアマイルにも出走した実力牝馬、ビヨンドザヴァレーが制している。

結果は4着ではあったものの、フェブランシェの陣営はアメリカ遠征への手応えを感じている。ターゲットはG1・BCフィリー&メアスプリント。藤田師によれば、レディスプレリュードの条件よりも適性が高い距離だという。

「今回は1400mのBCフィリー&メアスプリントを目指します」と藤田師は明言。「この馬には1400mから1600mの距離が合っています。長くてもマイルまでだと思うので、1800mは長すぎたのだと思います」

フェブランシェは過去に1800mの距離で2勝しているが、それはいずれも3歳春のJRA在籍時、アスコリピチェーノなどの管理で知られる黒岩陽一厩舎に所属していた時代に挙げたものだ。

昨年末、大井競馬場の藤田厩舎へ移籍してからは5戦3勝。マイルのSIII・東京シンデレラマイルとSIII・しらさぎ賞、そして1400mのJpn3・スパーキングレディーカップを制している。

また、前走のレディスプレリュードでは、直線入口で力強く先頭に立つ走りを見せたものの、直線半ばで脚色が鈍って4着。まさに “距離短縮”の必要性が垣間見える内容だった。

「ジョッキーは、もしマイル戦なら直線の入り口から押していっても、最後までしっかり脚を伸ばせたと言っていました。ただ、1800m戦だったので最後まで保たず、直線で止まってしまいました」と藤田師。

フェブランシェの主戦ジョッキーは、藤田師が「日本一のジョッキー」と評する42歳の吉原寛人騎手。頼れる相棒が、デルマーでも手綱を取ると調教師は明かした。

吉原騎手はオーストラリア、韓国、そしてドバイでも騎乗経験があり、2006年のG1・ドバイゴールデンシャヒーンでは、森秀行厩舎のアグネスジェダイに騎乗して6着に入っている。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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