G1初制覇を飾るなど今年大ブレイクの23歳、菅原明良騎手がブリーダーズカップとメルボルンカップに挑む。世界の舞台にその名を売り込むべく、絶好の機会となりそうだ。
菅原は2週間前、オーストラリア・ヴィクトリア州でG1・コーフィールドカップに参戦。日本から遠征したステイヤー、ワープスピードに騎乗して13着に入った。先週末は帰国して東京競馬場で勝利を挙げると、すぐさまサンディエゴへと飛び、2日間のブリーダーズカップ開催に臨む。初日の金曜日はG1・BCジュヴェナイルでエコロアゼル、土曜日のG1・BCスプリントはメタマックスに騎乗する予定だ。
土曜日を終えると、3日後に控える豪州最大のレースに向けて、再びオーストラリアに飛ぶことになる。G1・メルボルンカップではワープスピードとコンビを組むが、前回の敗因は重馬場が理由だと彼は見ている。
「雨が降って、この馬にとっては重い馬場になってしまいました。馬場が良ければチャンスはあったと思うのですが」と、Idol Horseの通訳を務めるフランク・チャンを介して菅原は語った。
「ペースは日本のレースよりも遅く、馬群も密集していましたが、馬自身はそういうレースにも対応できていました。馬場が向いていなかっただけです」

一度現地で競馬を使ったことも、ワープスピードにとってはプラスに働くと見ている。今年4月には3200mのG1・天皇賞春で5着に入っており、このパフォーマンスをできれば、54.5キロの斤量を背負っても勝負になるだろうと、菅原は期待を寄せる。
「コーフィールドカップを使ったことは馬にとって良い形で働くでしょうし、メルボルンカップにも繋がってほしいです。フレミントンは距離もコースも向いているはずです。馬場もコーフィールドよりは向いていると思うので、雨が降らないことを祈っています」
中山競馬場の近くで生まれ育った菅原は、2019年にJRAで騎手デビュー。2021年に自己最多となる75勝を挙げ、今年もこれまでに51勝を積み重ねている。また、今年は夏のグランプリこと、G1・宝塚記念をブローザホーンで制している。

ブリーダーズカップで騎乗する2頭は森秀行調教師の馬だ。日本馬の中では注目度は低いかもしれないが、いずれにせよ勝利を手にすれば大戦果となる。
メタマックスとは8月に新潟競馬場でNST賞を勝利、この馬には5レース騎乗して2勝を挙げている。2歳馬のエコロアゼルは7月に新潟で新馬勝ちを収めると、9月にはG1・BCジュヴェナイルフィリーズ有力馬のアメリカンビキニを相手に5着に入っている。この馬は今回が初騎乗だ。
「メタマックスはアメリカ産のスプリンターなので、向こうの速いペースにも対応できると良いのですが、走ってみるまでは分かりません」
「エコロアゼルは順調です。良い調子で来ています。この馬に乗るのは初めてなので、まずは乗ってみてですね」

世界規模のレースを巡る菅原の遠征スケジュールは、彼自身のスキルや知識を高めることに繋がる。また、フォーエバーヤングの坂井瑠星騎手を筆頭に、日本の調教師が世界を意識して若手騎手を育てていることの象徴なのかもしれない。
一方、菅原自身はデルマー競馬場に好感を持っているようだ。
「SNSやテレビを見ていた通りの場所でした。コースもフェアで乗りやすいと感じています。レースに乗るが楽しみですね」