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2025 日本ダービー: G1プレビュー

競馬場: 東京競馬場

距離: 2400m 

総賞金: 6億5100万0000円 (446万5848米ドル)

日本で最も優れた3歳馬はどの馬か、その答えは日曜日に東京競馬場で行われるG1・東京優駿(2400m)、すなわち日本ダービーで明らかになるだろう。

1932年の創設以来、このレースは日本における3歳馬の最高峰として位置づけられており、過去25年だけでも、キングカメハメハ、ディープインパクト、ウオッカ、オルフェーヴル、ドゥラメンテ、コントレイル、シャフリヤール、ドウデュース、タスティエーラ、ダノンデサイルといった歴代の名馬たちがこのレースを制してきた。

主役候補: クロワデュノール

昨年6月、東京でデビュー勝ちを飾ったクロワデュノールは、その瞬間から『来年のダービー候補』として注目されてきた。中山でのG1・ホープフルS(2000m)を楽勝したことで、その期待は確信に変わった。

しかし、G1・皐月賞では初黒星を喫した。レースでは序盤から積極的に前を狙い、3~4コーナーで早めに仕掛けたが、直線の坂で失速。それでも、父キタサンブラック譲りの同馬は前走の荒れた馬場よりも良馬場が合うはずで、東京の広いコースの2400mという条件はむしろ向くと見られる。

斉藤崇史調教師、騎乗する北村友一騎手ともに東京優駿は未勝利だが、皐月賞2着からの巻き返しで、マカヒキやタスティエーラのように栄冠を手にできるか注目される。

Croix Du Nord claiming the Hopeful Stakes
CROIX DU NORD / G1 Hopeful Stakes // Nakayama /// 2024 //// Photo by Shuhei Okada

逆襲再び: ミュージアムマイル

ミュージアムマイルは、2歳時のG1・朝日杯フューチュリティステークスで2着に入り高評価を得たが、G2・弥生賞ディープインパクト記念で4着に敗れ、ダービー戦線から一歩後退したかに見えた。

しかし、それは一時の話。皐月賞では、クロワデュノールを真っ向勝負でねじ伏せて優勝。鮮やかな復活劇を披露し、再び主役の座を射程圏に捉えた。

皐月賞から東京優駿を連勝するのは、近年ではコントレイル、ドゥラメンテ、オルフェーヴルなど、ごく限られた精鋭だけに許された勲章。それだけに、ここでの勝利が真の名馬への登竜門となる。

高柳大輔厩舎の同馬の今回の鞍上はダミアン・レーン騎手。2年前のタスティエーラで東京優駿を制している。

歴史への挑戦: サトノシャイニング

世界の競馬史には、父とその息子の両方で同一のダービーを制した騎手が数多く存在する。エプソムではフレッド・アーチャー、サム・アーノル、ビル・クリフト、ジョン・ウェルズがこの偉業を達成した。

ドイツではアンドレイ・ティリツキがアカテナンゴとその仔ランドでドイツダービーを制し、フランスではシャルル・サンブラ、チャーリー・エリオット、ジョージ・スターンらがジョッケクルブ賞(仏ダービー)でこの偉業を達成してきた。

だが、三世代をすべてダービー制覇に導いた騎手はいまだ現れていない。その前人未到の記録に挑むのが、サトノシャイニングの鞍上、武豊だ。

Yutaka Take and Deep Impact after winning the G1 Tokyo Yushun
YUTAKA TAKE, DEEP IMPACT / G1 Tokyo Yushun // 2005 /// Tokyo Racecourse //// Photo by JRA

2005年に父ディープインパクトで、2013年にその仔キズナで東京優駿を制した名手は、キズナの仔であるサトノシャイニングで前人未到の偉業に挑もうとしている。今回が自身36回目のダービー参戦。杉山晴紀厩舎の管理馬で、本来の主戦・西村淳也騎手が負傷のため乗り替わりでの参戦となる。

また、昨年ダノンデサイルで優勝した横山典弘騎手に続き、2年連続で「56歳のダービージョッキー」誕生となるかも注目される。

しかし、課題は大外18番枠。かのイクイノックスでさえ越えられなかった難所であり、最後にこの枠から勝ったのは2001年のジャングルポケットまで遡る。

MVP候補: ショウヘイ

ショウヘイは人気上位ではないものの、ある理由から注目度は随一だ。そう、名前の由来は野球界のスーパースター、大谷翔平選手である。

競走馬のショウヘイも注目に応える素質を備えており、前走のG2・京都新聞杯(2200m)では着差以上の完勝劇を披露。かつてスペシャルウィークやアドマイヤベガ、アグネスフライト、ハーツクライ、キズナといった名馬たちが通ったこの前哨戦を、堂々と制した。

Shohei wins the G2 Kyoto Shimbun Hai
SHOHEI, YUGA KAWADA / G2 Kyoto Shimbun Hai // Kyoto /// 2025 //// Photo by JRA

同じく重賞を勝ってダービーへ向かうマスカレードボール、ファンダム、ファウストラーゼン、リラエンブレム、ニシノエージェントらよりも、競馬界の枠を越えて注目を集める存在であることは間違いない。

鞍上クリストフ・ルメール騎手はダービー2勝目を狙う。管理する友道康夫調教師は、先週の桜花賞をカムニャックで制したばかり。東京優駿はすでに3勝しており、4勝目を目指している。

大穴候補: トッピボーン

本格化するにはまだ時間がかかるかもしれないが、トッピボーンがここで見せ場を作っても不思議ではない。4月中旬の阪神2000m戦では、他馬を寄せ付けぬ『横綱相撲』で圧勝。一気にダービー候補として台頭した。

続く京都新聞杯ではショウヘイの4着に敗れたが、良馬場での巻き返しが期待されている。まだ伸びしろが大きく、オッズ妙味も十分。一発を秘めた大穴候補だ。

鞍上の岩田望来騎手は、父・岩田康誠騎手が制した東京優駿と同じ舞台で、親子制覇の夢をかける。

アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの副編集長。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。また、競馬以外の分野では、ナイン・ネットワークでオリンピック・パラリンピックのリサーチャーも務めた。

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