ダミアン・レーン騎手は2024年のJRA短期免許の残り日数を使い尽くして、9月29日に開催されるG1・スプリンターズステークスでサトノレーヴに騎乗する。世界を股にかける名手は、このレースで勝利を収めることでサトノレーヴとのさらなる国際レースへの挑戦につながることを望んでいる。
JRAの規則により、レーン騎手はサトノレーヴに騎乗するための9月29日の来日で、今年の短期免許の残り30日間を使い切ることになる。
レーン騎手は、まもなく到来するオーストラリアの春シーズンで多忙であり、さらに10月末には妻のボニーとの間に第一子の誕生を控えている。彼は今年の初めにIdol Horseに対して、2024年に日本に長期滞在する予定はないと述べていた。
レーン騎手は、今年8月に札幌でワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)に参戦した際、サトノレーヴをG2・キーンランドカップで印象的な勝利に導いた。この5歳馬は、レースの序盤から優位を保ち、最後の直線で一気に抜け出した。この勝利により、鞍上は1日限りの中山への遠征に価値があると確信した。
「この馬は順調に成長を重ねてきました。スタートが素早く良いポジションを取れますし、良いテンポで加速できるのも大きな武器だと思います。特にスプリント戦では、手際良く競馬ができて、直線で一気に抜け出せるのは大きな長所です」

サトノレーヴは堀宣行調教師の管理馬で、今までに9戦7勝2着1回と好成績を残している。唯一の着外は今年のG3・阪急杯(1400m)の重馬場のみだった。
レーン騎手は前走で548キロと過去最重量馬体重を記録したこのロードカナロア産駒についてこう語る。
「綺麗な馬です。とても強くて乗り心地も良いですし、とにかく扱いやすい馬です」
日本の短距離馬は、香港やオーストラリアに比べて弱いとされているが、そもそもスプリント戦は優先度が低く、スプリンターズSはJRAの競馬番組に2つあるスプリントG1のうちの1つにすぎない。
ロードカナロアは2012年と2013年にスプリンターズSと香港スプリントを連覇し、その子のダノンスマッシュも日本と香港のG1をはじめとした複数のスプリント重賞を制覇している。ー
ビクターザウィナーやムゲンといった香港勢も出走予定のスプリンターズステークスで好走すれば、12月の香港スプリントへの出走も視野に入ってくる。
「この馬がさらに一皮剥ければ、海外遠征の可能性も十分にあると思います。もし、ここで結果を出せば、12月の香港も候補に上がってくるでしょう。近年の日本のスプリンターは強くないと言われていますが、この馬はそれ以上の実力があるかもしれません」とレーン騎手は期待を寄せる。
レーン騎手は9月27日にムーニーバレー競馬場で開催されるG1・マニカトステークスでヴェイトに騎乗した後、スプリンターズSのために来日する予定だ。

ヴェイトは今年3月のG1・ジョージライダーステークス(1500m)を制覇し、11月2日にローズヒルガーデンズ競馬場で開催される1着賞金が10億円のザ・ゴールデンイーグル(1500m)を目指している。
レーン騎手のオーストラリアでの春の目玉は、1か月後のムーニーバレーで行われるG1・コックスプレートに出走するプログノーシスとなる予定だ。
レーン騎手は日本馬の海外遠征で優れた成績を収めている。香港、ドバイ、サウジアラビア、オーストラリアで日本馬を勝利に導いた実績がある。2019年にはメールドグラースでコーフィールドカップ、リスグラシューでコックスプレートを制覇した。
プログノーシスは10月12日にオーストラリアに到着し、ウェリビー競馬場で2週間の検疫を含む調整を行う予定だが、コックスプレート当日の10月26日には、ムーニーバレーでの調整も可能になる予定だ。
「準備は大切です。馬の仕上がりをしっかりと整えることが肝心です。ウェリビーでの長期滞在は簡単ではないでしょうから、日本での調整が非常に重要になります」とレーン騎手は述べた。
「最も大切なのは、彼がコースに慣れることです。リスグラシューの時のように、ムーニーバレーでプログノーシスを走らせるのは大きなアドバンテージになるでしょう」