日曜日、シャティン競馬場で行われたG1・チャンピオンズ&チャターカップ(2400m)は、ヴォイッジバブルが圧巻のパフォーマンスを見せて快勝し。香港競馬史上わずか2頭目となる三冠馬の称号を手にした。1993/94シーズンのリヴァーヴァードン以来、実に31年ぶりの快挙だった。
香港三冠は1月のG1・スチュワーズカップ(1600m)、2月のG1・香港ゴールドカップ(2000m)、そしてこのチャンピオンズ&チャターカップ(2400m)で構成されており、年にわずか3レースしかない2400m戦の一戦である。
「夢が叶いました」と、レース後にイウ調教師は語った。「2戦目を勝った時から三冠を意識していました。今日、それが現実になったんです。信じられないような気持ちです」
この日がキャリア初の2000mを超えるレースとなったヴォイッジバブルだったが、2400mでもその走りはまさに本物だった。鞍上にはおなじみのジェームズ・マクドナルド騎手。道中は落ち着いた手綱さばきで進め、最後は後続を寄せつけず、3馬身半の差をつけて悠々とゴールに飛び込んだ。
4歳勢の健闘も際立った。クラシックカップを制したルビーロットが力強い走りで2着に入り、香港ダービー馬カップフェラも粘り強く4着を確保。さらにクイーンマザーメモリアルカップを制したバンドルアワードが最後方から追い込んで5着に入った。その4頭の間に割って入ったのが、海外G1でも活躍するドバイオナーだったが、ハイペースに苦しみ最後は失速して4着に沈んだ。
「確かに強いメンバーでしたが、見れば見るほど、うちの馬が三冠を狙えると確信できました」とイウ調教師。「本当に素晴らしい馬です。心から感動しています」
なお、1993-94年にリヴァーヴァードンが三冠を達成した当時は、スチュワーズカップが11月、香港ゴールドカップが3月、そしてチャンピオンズ&チャターカップは短い2200mで5月に実施されていた。
その後、三冠達成のチャンスが巡ってきたのは、2012年のアンビシャスドラゴンただ1頭だった。前2戦を快勝したものの、最終戦ではリベレーターの2着に敗れ、その夢は潰えた。だが今回、ヴォイッジバブルがその偉業を現実のものとした。
ゴールデンシックスティは2021年と2023年に香港三冠の前2戦を制したが、2400mの最終戦には挑戦しなかった。だが、ヴォイッジバブルはその壁を乗り越えた。
たとえヴォイッジバブルが、ゴールデンシックスティやロマンチックウォリアーのようなアイドル的存在になることはなくとも、過去30年のどの名馬も成し遂げられなかった歴史的偉業を達成したことに変わりはない。
「この馬には一目惚れでした」とイウ調教師はヴォイッジバブルについて語る。
「最初に見た瞬間に、純粋なアスリートだと分かりました。とにかく品格のある競走馬です。香港で1200mと2400mの両方を勝つ馬なんて、そうそう現れるものではありません」
この勝利は、イウ自身にとっても調教師人生で初の2400m戦での勝利でもあった。日本、UAE、シンガポールと世界を舞台にG1勝ち馬を送り出してきた調教師人生の中でも、新たな節目となる記録である。フェアリーキングプローン、セイクリッドキングダム、アンバースカイ、そして今、ヴォイッジバブルがその栄光の系譜に加わった。
「この勝利によって選択肢が広がりました。来季のプランはまだ未定ですが、マイルから2400mまで、どの距離でも挑戦する価値があります」
また、鞍上のマクドナルド騎手にとっては、これが2025年のG1・12勝目となった。仮にサウジカップでのクビ差、ジョージライダーステークスのハナ差、ゴールデンスリッパーの首差、ドバイターフのハナ差、そしてチャンピオンズマイルでのハナ差といった2着惜敗続きがなければ、その数字はさらに上積みされていたはずだ。
ちなみに、そのチャンピオンズマイルでマクドナルド騎手が騎乗していたのもヴォイッジバブルだった。しかし、今週末に限ってはそんな不安も一切なかった。ヴォイッジバブルは力でねじ伏せ、名実ともに香港競馬の歴史に名を刻む存在となった。