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新シーズンから新たに香港に移籍するブレット・クロフォード調教師は、今週からシャティンに滞在し、来季に向けた陣営づくりのために視察、質問、馬主との面談を行っている。なお、新しい厩舎はマーク・ニューナム調教師やダグラス・ホワイト調教師が拠点とするオリンピックステーブルに配置される見込みだ。

「ほぼその方向で進んでいます」とクロフォードは Idol Horseに語り、香港ジョッキークラブ内でいくつか調整が行われていると話した。

現在、オリンピックステーブルを使用しているジェイミー・リチャーズ調教師は、厩舎改修プロジェクト第1期が7月に完了するシャティン側の厩舎への移動を希望している。これが実現すれば、クロフォード厩舎は、シャティン競馬場の “旧” 厩舎とは反対側に位置するオリンピックステーブルの施設内に入ることができる。

「私はオリンピック側でやってみました。今度は反対側で試す機会があり、楽しみにしています」とIdol Horseに語るのは、ジェイミー・リチャーズ調教師。

香港での初シーズンを順風満帆に終えつつあるデヴィッド・ユースタス調教師は、第1期工事の影響を受ける4人のうちの一人だ。仮設厩舎があるブロック20から、トニー・ミラード調教師がかつて使用していたブロック2に移動する予定だ。それによりリチャーズが仮設厩舎へ移り、クロフォードがオリンピックステーブルの厩舎に入る流れとなる。

クロフォードは土曜日に南アフリカから香港へ到着し、それ以来毎朝トラックワークに顔を出して香港の運営方法を把握するために動き回っている。正式な調教師登録は今シーズン終了翌日の7月17日だが、ユースタスが昨年そうしたように、6月1日から馬を募集し準備することが認められている。

まだ馬房も馬もいない状況で、新任調教師は香港のシステムとメソッドを深く理解するために時間を最大限に活用している。

「ちょっと珍しい経験です」と南アフリカ出身のクロフォードは打ち明ける。

「早起きして朝の調教に行きますが、見るべきうちの馬はいない。ただこれも仕事の一部で良いことです」

「クラブは厩舎を割り当てる準備を進めているので、馬を受け入れられるようになります。ただし、新シーズンまで受け入れ予定の馬は調教ができないので、それまでは本格的な指示はできません」

「(シャティンの)工事でスペースがやや不足しているものの、ほぼ完成している厩舎の完成を待っているようです」

「私の理解では、デヴィッド(ユースタス)の厩舎が移動し、その後ジェイミーの厩舎が元々のデヴィッドの場所に移動します。それが実現しない場合は、私の厩舎はメイン施設内の仮設厩舎に入る可能性もあります」

クロフォードは、2022年秋にクラブが海外居住者への馬主資格を解放したことを受け、香港の馬主だけでなく海外の馬主とも馬を勧誘するために動いている。初期の海外馬主にはユーロンの張月勝氏や南アフリカの著名オーナー、メアリー・スラック氏が含まれている。

「今週にもHKJCが新しい輸入許可を発行する予定で、我々もその許可を取得し、馬を連れて来られることを願っています」

「すでに海外馬主向けの申請を出しており、その手続きが上手く行けば私にとってプラスなことです。また、すでに許可を持っている南アフリカ人が1、2人おり、彼らとも話を進めているので、その輸入許可を活用できる馬を見つけたいとも思っています」

多くの新規厩舎が初年度で成功する鍵は、香港内の他厩舎から転厩馬を獲得することにあるが、クロフォードもその戦略も認知している。

「まずはここで馬主に会い、自己紹介することが最優先です。6月中にオーナーとの面談をいくつか予定しています。次に、幸運にも厩舎に興味を持ってくれる人が既に何人かいます。私が実際にここにいることが周知されれば、何かしら進展が見られるはずです」

「難しいのは、実質的に新シーズンにならないと出走できないことです。残りのシーズンで自分の馬を走らせたいと思うオーナーもいるでしょう」

クロフォードによると、南アフリカとの大きな違いの一つは香港で行われるバリアトライアルの数がはるかに多いことだという。しかし、過去に香港を訪れた経験が役立っているとも話す。

「香港には何度か来たことがあり、全くの初めてではありません。今はプロセスや流れを学ぶことが重要です」

「南アフリカではトライアルをあまり行わず、芝の追い切りが中心です。トライアルはレースシミュレーションなので強めに走らせるケースが多く、その点が興味深いと感じました」

「適応が必要ですが、それ以外は順調に進むでしょう」

一方、南アフリカでのクロフォードの厩舎は、息子のジェームズが引き継いだ。5月末までは親子の共同名義だったが、6月1日からはすべてジェームズ名義で出走している。ジェームズは土曜日、昨年のG1ダーバンジュライ優勝馬オリエンタルチャームでG1・ゴールドチャレンジ(1600m・グレイヴィル)の出走を予定しており、これが初の単独調教師としてのG1出走となる。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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