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日本語の辞書で「突飛」という言葉を引くと、「並外れた、思いがけない」と出てくる。土曜日、思いがけない勝ち方で、並外れたタイムを叩き出す馬が誕生した。まさに、トッピボーンは「名は体を表す」といったところだ。

皐月賞の前日、昼過ぎの阪神競馬場で行われた1勝クラスの条件戦でキャリア3戦目に臨んだトッピボーンだが、いきなりスタートダッシュに失敗。6頭のライバルを前に見る位置でレースが始まった。

ただし、鞍上を務めた武豊騎手に焦りはなかっただろう。トッピボーンは1月のデビュー戦でも同様に蹴り出しが悪く、最後方から2番目で追走することを余儀なくされた。

当時はそこから4着まで追い上げたが、今回はそれとは比べものにならないほど派手なパフォーマンスを見せた。一時は6番手から10馬身ほど離されるも、そこから徐々にリズムを掴み、残り1000mを59秒で通過した地点で馬群に追いつく。

最終コーナーでさらにポジションを押し上げ、先頭から4番目で直線に入ると、鞭を入れる前に先頭を交わす末脚を披露。その後も加速を緩めることはなく、後続とは全く違う勢いで突き放し続け、最終的には4馬身差で勝利し、2勝目を手にした。

このレースで驚きなのはそれだけではない。勝ちタイムは1:57.9。2021年にリステッド・忘れな草賞でステラリアがマークした1:58.0を上回り、阪神2000mで3歳馬が勝ったレースとしては史上最速のタイムを叩き出したのだった。

参考として、ディープインパクトが2005年のG2・神戸新聞杯で記録したタイムが1:58.4 だ。2020年にも後のG1馬であるポタジェが同じタイムで勝っているが、それぞれ3歳シーズンの後半に勝ったレースであることも、忘れずに付け加えておきたい。

さらに、京都競馬場が改修中だった2022年、10月に行われたG1・秋華賞でスタニングローズが勝ったときのタイムは1:58.6。たった2回しか存在しないが、過去に同条件で行われた3歳G1レースも数字の上では上回っている。

トッピボーンはまだ3歳1ヶ月。3歳シーズンの前半にこの勝ち時計を叩き出したことは驚異的と言うほかないだろう。

レース後、武豊騎手は「強かったです。ラストの脚はなかなかでした。今後が楽しみな内容でした」と語り、同馬への期待を明かした。

トッピボーンの父はリアルスティール、2025年のG1・サウジカップを制覇したフォーエバーヤングの父としても広く知られている。代表産駒はダートでの活躍が顕著であるが、JRAでの成績(4月18日時点)はダートで74勝に対し、芝で109勝を記録している。馬場を問わず、安定した実績を残している種牡馬として評価が高い。

母のチカノワールはキーファーズの所有馬。現役時代はドウデュースやアルリファーと同じ勝負服で走った。トッピボーンの馬主、松島一晃氏はキーファーズを率いる松島正昭氏の息子であるため、勝負服も似たデザインを採用している。

G1・日本ダービーまで2ヶ月を切った現在、クラシック路線の新たなスターホース誕生が期待される局面ではあるが、日程との兼ね合いから、陣営は難しい決断を迫られたことだろう。

東京優駿(日本ダービー)への出走を目指す場合、まずはトライアルレースに出走し、18頭の出走枠に必要な収得賞金を獲得する必要がある。しかしながら、1月の新馬戦からすでに3戦使っているトッピボーンにとって、6月1日のダービーも含めて最大で更に2レースに出走するローテーションは、厳しい試練となる可能性が高い。

レース後、陣営は5月10日に京都競馬場で行われるトライアルレース、G2・京都新聞杯を次走に選んだ。年明けデビューの馬がこのレースを勝った例は、2019年のレッドジェニアルまで遡る。当時、同馬は5戦目で京都新聞杯を制し、22日後のダービーでは8着に入った。

また、2011年の勝ち馬であるクレスコグランドも3歳でデビューし、そこから長い休養を挟まずにキャリア6戦目で京都新聞杯を制し、ダービーでも5着に入る健闘を見せた。

2週間前のG1・大阪杯でコースレコードを更新したベラジオオペラに続いて、またしても阪神2000mで衝撃のタイムを叩き出したトッピボーン。G1の舞台でその姿を見られるのはまだ先かもしれないが、その突飛な才能の行方は注目必至だ。

今後の展望: 遅れてきた大物として、旋風を巻き起こす可能性がある大物候補

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