Horse To Follow: デンクマール
1着(11頭立て) 2歳 新馬戦
1800m (芝), 東京競馬場
月曜日 10月18日
レース当日から遡ること数日前、デンクマールの名前が競馬ファンの間で知れ渡る機会があった。同じ週に行われるJpn1・マイルチャンピオンシップ南部杯に出走するダートマイルの王者、レモンポップに最終追い切りで2馬身先着したのだ。
もっとも、ファンの間ではデンクマールの存在よりも4歳年下の新馬に先着されたレモンポップの調子を心配する声が大多数だったが、この田中博康厩舎が誇る6歳馬は南部杯を無事に制して連覇達成。決して、トラブルが起きていたわけではなかった。
その評判を受けてか、レースでは1.4倍の1番人気。好スタートから『スピードの違い』で先頭に立つと、淡々としたペースで集団を引っ張る。直線に入ってもクリストフ・ルメール騎手の手は動くことなく、追いすがる藤田晋オーナーのタイヨウノキセツを振り切って先頭でゴールイン。終わってみれば2着とは3馬身半、3着とは5馬身半の差が付いていた。
ルメールはレース後、「ゲートが速かったので逃げ切りになりました。乗りやすくて、冷静に走ってくれました。体も大きく、スタートも速いのでマイルくらいがベストです。まだ馬体が重く、これからシャープになってくるでしょうし、伸びしろもあります」とコメントした。
レースの勝ち時計は1:47.7だったが、東京競馬場の1800m新馬戦を1分48秒未満のタイムで制した馬はこれまで4頭しかおらず、その中には2023年の日本ダービーを制したタスティエーラも含まれている。今年のG1・愛チャンピオンSで3着に健闘したシンエンペラーも昨年この条件でデビュー勝ちを収めているが、当時の勝ち時計は1:48.1だ。
そして、ラスト3ハロンは33.7秒を記録。早いラップを刻んでの逃げではなかったので直線に入っても余力は残していたはずだが、2位の馬に0.3秒の差を付けて最速タイムを記録したという事実は目を見張るものがある。
もう一つ特筆すべきなのは、レース当日の馬体重でも544キロという、2歳馬離れした大柄な馬体だ。これから更なる成長が待っているとすると、将来はどれだけ大きくなるのかも楽しみだ。
— Team Iwata (@JayRAye02) October 14, 2024
父のモーリスは香港でのG1・3勝を含め、現役時代にG1を6勝している名マイラー。種牡馬としてはピクシーナイトやジャックドールなど、複数のG1馬を輩出している。また、オーストラリアのアローフィールドスタッドにもシャトル種牡馬として渡っており、現地ではヒトツやマズがG1馬となっている。
母のリリーノーブルは2018年のオークス2着を含め、G1で3度の入着経験を持つ。アーモンドアイのライバルだったが、故障に悩まされ『未完の大器』として引退した。現役時代は最高で500キロを超える牝馬ながら大柄な馬体を誇っており、デンクマールの体格も母譲りのものと見られる。
気になる将来だが、ルメールはマイルを推奨しており、この先の目標も12月のG1・朝日杯フューチュリティステークス(1600m)となりそうだ。しかし、ここを制すようなら当然クラシックも視野に入る。レースでの落ち着いた様子を見ても、距離延長に期待が持てる。
未完の大器で終わった母から、次なる大器が現れた。その大柄な馬体はさながら『怪物』だったが、素質もモンスタークラスなのかもしれない。
将来の展望: マイルか中距離かは分からないが、G1を勝っても不思議ではない逸材