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今週末に行われる香港クラシックカップでは、南アフリカ産競走馬が再び香港競馬の舞台に登場する。一方で、南ア国内のサウスアフリカンクラシックには、2026年の香港ダービーに向けた有力候補が出走する可能性がある。

シャティン競馬場で行われるクラシックCには、主にオーストラリアやニュージーランドから輸入された4歳馬が出走するが、その中に香港でのデビュー戦を迎える馬が1頭いる。モンディアルは、ヨハネスブルグで3勝を挙げた実績を持ち、シンガポールスリングのように南アフリカ産馬として香港4歳クラシックシリーズの第2戦を制することを狙っている。

近年、南アフリカ産の競走馬が香港で出走する機会が増えている。その背景には、過去13年間にわたって厳しかった検疫制限が大幅に緩和されたことがある。

かつて、南アフリカではアフリカ馬疫の感染拡大により、世界各国が同国の競走馬に対し厳格な輸入規制を課していた。その最も厳しい時期には、180日間の検疫が義務付けられ、そのうち90日間をモーリシャスで過ごす必要があった。この長期間の検疫により、競走馬は適切な調教を受けることが困難だった。

現在では、輸出前の検疫期間を経ることで、EU域内への直接輸入が可能となり、オーストラリアと同様の規制が適用されている。さらに、香港への輸送にかかる期間も短縮され、厩舎から厩舎までわずか45日間となった。

これまでの厳しい検疫条件のもとでも、少数ながら南アフリカ産競走馬が香港に輸入され、レースに出走していた。しかし、昨年導入された新たな検疫プロトコルにより、南アフリカ産馬は再び香港の馬主にとって魅力的な選択肢となっている。

特に、香港ドルの強さが南アフリカランドに対して優位であることもあり、4歳クラシックシリーズに出走可能な有望馬を、オーストラリアやニュージーランドから購入するよりもはるかに低コストで確保できる。

モンディアルは、デイヴィッド・ヘイズ調教師の厩舎に入り、ジェームズ・ラウ氏とアリス・ウー氏がオーナーだ。この2人の馬主は、同じく南アフリカ産の4歳馬ミッドウィンターウインドも所有している。

こちらはマーク・ニューナム調教師のもとで先月デビュー戦を迎えた。デビュー戦では華々しい走りを見せたが、クラシックシリーズには向かわず、短距離路線に専念することとなった。

MID WINTER WIND, LUKE FERRARIS / Sha Tin // 2025 /// Photo by Alex Evers/HKJC

ラウ氏とウー氏は、南アフリカ産競走馬をいち早く取り入れた馬主でもある。彼らが所有していた最高の競走馬はセリースチェリーであり、この馬は母国でG1に入着した実績を持ち、2012年の香港スプリントではロードカナロアの後塵を拝しながらも2着に入った。

モンディアルは1年前、G1・サウスアフリカンクラシック(1800m)で7着に敗れている。彼は2018年の優勝馬であるロボズレジェンド以来、同レースから香港へ移籍した初の競走馬となる。ただし、ロボズレジェンドは移籍後に故障に見舞われ、4歳クラシックシリーズには出走できず。香港ではクラス2戦線で活躍した。

土曜日、クラシックCの開催数時間前には、ヨハネスブルグのターフフォンテン競馬場でサウスアフリカンクラシックが行われる。このレースは、同日に開催される3つのG1競走のうちのひとつであり、3月29日に実施されるサウスアフリカンダービーの前哨戦として非常に重要な一戦となる。このSAダービーはワールドプール(World Pool)の発売対象競走としても注目される。

一般的に、南アフリカの最強の3歳馬はケープタウンで活躍する傾向がある。現在の3歳世代で最も評価が高いのは、ケープ地区のエイトオンエイティーンだ。

Eight On Eighteen claiming the G3 Lagerman
EIGHT ON EIGHTEEN / G3 Langerman // Kenilworth /// 2024 //// Photo by Chase Liebenberg/Cape Racing

しかしながら、1800mという距離でG1レベルのレースを戦える3歳馬は、2026年の4歳クラシックシリーズを見据える馬主やバイヤーにとって、注目に値する存在となる。

その中で要注目の1頭として挙げられるのが、伏兵視されているグレイジェットだ。この馬は、今回の出走馬の中で最もキャリアの浅い馬である。父は日本産種牡馬、2015年の香港マイルに出走歴であるダノンプラチナ。そして、かつて香港で活躍した元騎手、ウェイチョン・マーウィング調教師にとって初のG1挑戦でもある。

マーウィング調教師は、現役時代に香港クラシックCを勝利することは叶わなかった。2012年の同レースでは、騎乗馬スウィートオレンジがザイダンに鼻差で敗れ、惜しくも2着に終わっている。しかし、彼は騎手としてSAクラシックを制した実績を持っており、その際に騎乗していたのが名馬ホースチェスナットであった。

Idol Horse reporter Andrew Hawkins

Hawk Eye View、Idol Horseの国際担当記者、アンドリュー・ホーキンスが世界の競馬を紹介する週刊コラム。Hawk Eye Viewは毎週金曜日、香港のザ・スタンダード紙で連載中。

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