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香港短距離路線のスーパースター、カーインライジングが日曜日のG1・クイーンズシルバージュビリーカップで10連勝、そしてG1・3連勝を達成したことを受け、調教師のデヴィッド・ヘイズは香港ジョッキークラブに対してシーズン序盤の日程見直しを訴えた。

その内容とは、オーストラリアの世界最高賞金芝レース、ジ・エベレストを見据えた番組編成だ。

カーインライジングは今回初めて1200mを超える距離に挑戦。直線半ばではファンをヒヤリとさせる場面を見せながらも、終盤はいつも通りの強い走りを見せて先頭で駆け抜けた。1馬身差の2着にヘリオスエクスプレス、3着はハウディープイズユアラヴという結果となり、この決着は先月のG1・センテナリースプリントカップ(1200m)と同じだった。

ヘイズ調教師の視線は早くもその先を見据えており、重要なターゲットは10月にランドウィック競馬場で行われる総賞金2000万豪ドル(約19億円)のG1レース、ジ・エベレストに他ならない。

カーインライジングの今シーズンの残りローテはほぼ確定的だ。4月26日のG1・チェアマンズスプリントプライズ(1200m)が直近の目標だが、その前に叩きとして3月30日のG2・スプリントカップ(1200m)を使う可能性は高い。

しかし、ヘイズが頭に浮かべていたのはそちらではない。クイーンズシルヴァージュビリーカップの勝利直後、心配していたのは『来シーズンの番組編成』だったという。

Ka Ying Rising and Karis Teetan after winning the G1 Queen's Silver Jubilee Cup
KARIS TEETAN, KA YING RISING / G1 Queen’s Silver Jubilee Cup // Sha Tin /// 2025 //// Photo by HKJC

ヘイズがカーインライジングを走らせたい選択肢として求めているのは、ハンデ戦以外、つまり定量戦か条件別斤量戦だ。ジ・エベレストを目指す上で、重い斤量で負担をかける可能性があるハンデ戦は香港馬にとって不向きなステップレースだと訴える。

Idol Horseの取材に対し、ヘイズは「HKJCが検討してくれたら嬉しいですね」と話す。「カーインライジングにとって最適な条件なのは言うまでもなく、今後さらに多くの香港馬がジ・エベレストを目指すことになれば、彼らにとっても良い話だと思います。香港のトップスプリンターが世界に飛び立つ上で、定量戦は一番のステップでしょう」

「ジ・エベレストはこれからも続いていきますし、World Poolの対象レースでもあります。香港馬もこれから先ずっと走る機会があると思います。少し斬新なアイディアすぎるかもしれませんが、9月にそういうレースがあったって良いと思いますよ」

現時点で、カーインライジングが9月に出走可能なレースは、ハンデ戦のクラス1・香港特区行政長官盃(1200m)のみに限られる。同馬はトップハンデの135ポンド(約61.2キロ)を背負い、それ以外の殆どの馬は115ポンド(約52.2キロ)という最低斤量に近いハンデを背負うことが見込まれるだろう。

実際、カーインライジングは2024年に同レースを負担重量135ポンドで勝っているが、当時のレーティングは111に留まっていた。今は130台の数字を与えられており、斤量が変わらないどころか、ライバルとの斤量差はさらに広がる。

「いずれ、香港特区行政長官盃をクラス2に格付けし、トップホースのための別の定量戦を用意する選択肢を考える日も来ると思います」とヘイズは続ける。「もし、定量戦が用意されない場合、シーズンの早い段階で公開調教を組んでみる可能性も考えています。オーストラリアで前哨戦を使うプランは考えていません。ジ・エベレストにはフレッシュな状態で走らせたいからですね」

香港ジョッキークラブが海外遠征を見据える馬のため、シーズン序盤に特別編成のレースを用意した例は過去にもあった。

1994年には、9月中旬に2300mのクラス1戦が組まれ、リヴァーヴァードンのコックスプレートとメルボルンカップへの足掛かりとして利用された。同様の構想は他の機会にも浮上したが、実現に至ったものはない。

アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの副編集長。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。また、競馬以外の分野では、ナイン・ネットワークでオリンピック・パラリンピックのリサーチャーも務めた。

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