木曜朝のカンタベリーパーク競馬場で、カーインライジングの馬主、レオン・シェク・コン(梁錫光)氏に吉兆が届いた。世界最高レーティングを誇る同馬がジ・エベレストへ向けた最終追い切りを終えると、コースの上に鮮やかな虹が架かったのだ。
その光景は、レオン氏にとって人一倍意味のあるものだった。妻が「レインボー」を意味する名前だから、というだけではない。シドニーの空で不穏に渦巻いていた灰色の雲の間から青空がのぞき、希望を感じさせたからだ。
短距離王者が追い切りを終える頃には、朝の雨は霧雨程度にまで弱まっていた。カンタベリーの芝本馬場は、絨毯のように平らで美しく整っていた。その上を楽々と駆け抜けたカーインライジングの動きに、陣営も安心した。
実は滅多にインタビューに応じないレオン氏だが、頭上の虹が鮮やかになると、カメラマンの前でおどけてみせ、カメラに向かって「加油」と声を上げた。
直訳すれば「油を足せ」、広東語で「頑張れ」を意味する言葉だ。そして記者たちには、次に買う馬はカーインレインボーと名付けなければならないかもしれない、と冗談を飛ばした。
七色がくっきりと現れた虹は、やがて二重になり、さらに3本目らしき虹もうっすらと見えた。しかし、デヴィッド・ヘイズ調教師の目に映っていたのは、カーインの勝負服を彩るターコイズブルー、オレンジ、黄色だけだった。
「間違いなく、素晴らしい吉兆です」とヘイズ師は話した。「しかも、カーインライジングの色なんです。見てみれば、カーインの色合いでしょう。これも演出の一部ですね」
レオン氏は愛馬の様子をつぶさに見守っている。ヘイズ師が今週明かしたところによると、レオン氏は自宅のテレビでカーインライジングを見られるよう、馬房にカメラを設置しているという。
土曜日に連覇を目指すカーインライジングにとって、最大の焦点となったのは天候だ。シドニーの雨は今週ずっと予測が難しく、前年王者はこれまでの24戦で、雨の影響を強く受けた馬場を走った経験がない。
ヘイズ師は追い切りについて、「追い切りの内容は良かったです。気持ちよさそうに地面で転がる姿も見せていました。今は厩舎でカイロプラクターとマッサージ師にケアしてもらっています。もう準備はすべて整いました。週末が楽しみです」と話した。
「最後の200mは13秒でした。ロイ(ロイ・イップ調教助手)は、抑えなければ楽に12秒で走れたと言っていました。とても良い兆候です。もっと速く走りたがっていますし、準備ができたと伝えてくれているんです」
この騸馬の馬体重も、ヘイズ師が望む水準に落ち着いた。バリアトライアル時は1172ポンド(約532kg)で、その後1155ポンド(約524kg)まで絞れ、現在は1163ポンド(約528kg)に戻っている。
「理想の馬体重は1160ポンド(約526kg)前後ですから、おそらくそれくらいでレースに臨めると思います。理想的ですね。これ以上は望めません。馬体重は本当に完璧です」
「バリアトライアルからの良化ぶりを見ると、実は香港にいるときより、こちらの方が気分良く過ごしていると思います。本当に良い状態に見えます」
「あとは天気を見守るだけです。馬場の悪化が重馬場程度までに収まってくれることを願っています。そこまでなら、きっと大丈夫でしょう。それ以上に悪くなると、少し心配です」

ヘイズ師は、天候が好転すれば、馬場も良い状態に戻る可能性があると話した。
「昨日の大雨の後でも、あれほど馬場が乾いたわけですから、天気が良くなって少し風が吹けば、カーインライジングにとって完璧な馬場になるでしょう」と同師は述べた。
ランドウィック競馬場では朝はほとんど雨が降らなかったが、午後になると再び雨が降り始めた。競馬場周辺の排水溝から水があふれるほどの豪雨となり、カーインライジングが先週のバリアトライアルでこなしたSoft 7(重馬場)よりも、馬場が悪化する可能性が出てきた。
二重の虹が何かを告げていたのなら、それはジ・エベレスト2勝目なのかもしれない。昨年制した総賞金2000万豪ドル(約22億円)のレースに再び勝てば、獲得賞金に700万豪ドル(約7億7000万円)が加わる。
ゴールデンシックスティと、豪州の歴代賞金王ウィンクスを抜き、Idol Horseが計算した歴代獲得賞金ランキングでは、ロマンチックウォリアー、フォーエバーヤングに次ぐ3位へ浮上することになる。
土曜日は、カーインライジングが最後に敗れてから、ちょうど1000日となる。最後の黒星は2024年1月21日、シャティン競馬場でヴンダバーにアタマ差で敗れたレースだった。それ以来、香港記録となる21連勝を重ねている。