月曜日、盛岡のJpn1・マイルチャンピオンシップ南部杯はメイショウハチローが制し、名騎手から調教師へ転身した福永祐一調教師にとって記念すべき一日となった。この勝利で、遅咲きの同馬はダートの一線級に堂々の仲間入りを果たした。
4歳馬のメイショウハチローが次に目指す大きな舞台は、来年初めのG1・フェブラリーステークスとなりそうだ。福永師は騎手時代、南部杯と同じくこのレースでも2勝を挙げている。
今回の南部杯制覇は、トレーナーとしての福永調教師にとって初の最高峰タイトルとなった。騎手時代の福永師は、2023年2月のサウジカップ開催を最後を引退し、同年に日本中央競馬会(JRA)の調教師免許を取得。2024年3月に厩舎を開業し、今年で開業3年目のシーズンを迎えている。
また、福永厩舎はこの日、京都のG2・スワンステークス、東京のリステッド・オクトーバーステークスも勝利。地方交流のビッグレースを勝利しただけでなく、JRAの両メインレースも立て続けに制している。
レース後、福永師は「(3場のメインレースを全部勝てたのは)たまたまです」と話した上で、枠順に恵まれたことに触れ、馬と騎手たちの健闘を称えた。
「馬もみんな頑張ってくれましたし、ジョッキーもうまく乗ってくれて、スタッフもよく頑張ってくれて、非常にいい一日になりました」
メイショウハチローを勝利に導いたのは、地方競馬を代表するスターの一人、吉原寛人騎手だった。
地元の金沢競馬で絶対的な地位を誇る吉原は、そこを拠点に全国各地へ、時には海外へも遠征する。昨年のカリフォルニアのブリーダーズカップに遠征。当時は騎乗予定のフェブランシェが出走を取り消し、不運にも騎乗は叶わなかったが、今回は運命が味方した。
吉原は勝利後のインタビューで、「内枠もあったので、スタートも切れれば行ってもいいかなと思ってたんですけど、ゲートの出もちょっと一息な感じだったので。イメージ的にはハナの後ろ取れたらなと思っていたので、イメージ通りでした」と展開を振り返った。
メイショウハチローは好位で力強い走りを見せ、直線では外から徐々に加速し、逃げていたストレングスを交わした。昨年の南部杯覇者として連覇を目指したウィルソンテソーロは3着に終わった。
「馬がしっかりまとまってくれて、リズムよく4コーナーまで向けられたので、直線はもう弾けてくれるという雰囲気があったので、そのまま突き抜けてくれましたね」と吉原は話した。
「後ろからの足音も聞こえなかったので、単独先頭になってすぐ勝ちをイメージできて、どんなガッツポーズしようかなと感じてました。すごい声援で感動しましたし、これが競馬の醍醐味だなあという感じでした」
“メイショウ”冠名のもう一頭、メイショウタバルは先週のG1・凱旋門賞で敗北。フランス遠征で勝利を逃した馬主の松本好隆氏にとっては、失意の翌週に嬉しい一報となった。福永師はメイショウハチローの成長余地に触れ、まだまだ伸びしろが残されていると期待を寄せる。
「成長曲線的にはまだこれからかなあというところはあったんですけど、今回非常に体調も動きもよかったですし、長距離輸送も上手にクリアしてくれました。非常にいい馬体で今日も来れましたから、いい走りできるんじゃないかなと思ってました」
福永師はそう話した上で、11月3日に金沢で行われるJBCへの出走は、馬の体調を見て判断する考えを示した。
「ここでJpn1を勝ってくれましたので、レース選択は自由にできます。来年のフェブラリーステークスは使いたいなと思いますけど、JBCに関してはちょっと間隔が詰まるので、そこは馬の体調と相談です」
「今まではあまり詰めるとよくない、ちょっと硬さが出る馬だったので、そこは馬の様子を見てですけど、フェブラリーステークスは使いたいなと思います」
福永師の華やかなジョッキー時代には、フェブラリーステークス2勝に加え、コントレイルとの三冠、数々のクラシックや海外での勝利、日本ダービー3勝をはじめとする多くの大レース制覇がある。それでも、盛岡競馬場は特別な場所だという。

「盛岡競馬場は非常にジョッキーの時から縁のある競馬場です」と福永師は勝利後に話した。
「イベントもそうですし、たくさんレースも勝たせてもらいましたし、そういったところで初めて大きいレースを勝てたのもまた何か縁を感じます。非常にいいコースなんで、ここは走りやすいコースですし、またここで走れるような馬を連れてきたいなと思います」
7年前のサンライズノヴァ以来、2度目の南部杯制覇となった吉原は、メイショウハチローの初騎乗を任せてくれた福永師に感謝するとともに、地元のPRも忘れなかった。
「金沢でJBCが来月行われます」と吉原は話した。「ぜひそちらの方も注目していただいて、僕も(JBCの)3レースに騎乗する予定ですので、ぜひ現地かモニターで応援よろしくお願いします」
「福永厩舎のメインレース全部勝つというその恩恵にもあずからせていただいて、すごい勢いの厩舎だなと思いました」
12月に50歳を迎える福永師は、JRAで開業初年度に17勝、昨年は29勝を挙げた。アスクセクシーモアのリステッド勝ちとダイヤモンドノットのスワンステークス優勝で、今年の勝利数は32勝に到達。JRAでの重賞勝利数は通算6勝、G2・G3レースをそれぞれ3勝している。
「ダイヤモンドノットはまた芝の1400mで走れたので、目標は阪神カップになるのかなと思います」と福永師は話した。「アスクセクシーモアは現状左回り限定で使ってますので、馬の体調見てですけど、次は重賞チャレンジになるかなと思います」
ついに地方競馬のJpn1タイトルを手にした福永師。騎手時代に数多く制してきたJRAのG1を、調教師としても勝つのは時間の問題だろう。