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今週、ダミアン・レーン騎手は東京に到着した。JRAの短期免許を取得して来日するようになって7年目、今では日本で騎乗することが「いつものこと」に感じられるようになったという。

Idol Horseに対し、レーン騎手は「日本はとても居心地がいいです」と話す。

「顔見知りの調教師も数多くいますし、騎手たちのことも分かっています。もう完全な新参者という見られ方ではないのかもしれません。何度か来ていますから」

今回の短期免許は、6月14日のG1・宝塚記念までの2か月間。2019年4月、まだ初々しく、何が待ち受けているのか少し分からないまま初来日した当時とは違い、レーンはすでに「新参者」の域を脱している。

その象徴が、今週日曜の騎乗馬だ。昨季のJRA最優秀2歳牡馬であり、牡馬クラシック初戦のG1・皐月賞で有力視されるカヴァレリッツォに騎乗する。

こうした依頼を受けるということは、JRAが短期免許で受け入れる外国人騎手の中でも、ジョアン・モレイラ騎手やライアン・ムーア騎手らと並ぶ、最上位の存在として見られていることを意味する。

それも不思議ではない。日本、そして日本勢のために積み重ねてきた実績があるからだ。

海外に遠征した日本馬とのG1勝利には、メールドグラースのコーフィールドカップ、リスグラシューのコックスプレート、ウインマリリンの香港ヴァーズ、そしてタスティエーラでのクイーンエリザベス2世カップがある。日本国内でも、タスティエーラでの日本ダービー、さらにリスグラシューとの宝塚記念と有馬記念など、大レースで結果を残してきた。

これまで残してきた数字も見事だ。最初の短期免許期間では125鞍で38勝を挙げ、勝率は約30パーセント。その後も同様の成績を維持し、現在までのJRA通算勝利数は186勝、勝率は約25パーセントに達している。

その数字をさらに伸ばすべく、今週はシルクレーシングのカヴァレリッツォに騎乗する。昨年のG1・朝日杯フューチュリティステークス覇者だ。ただし、この馬には乗り越えるべき数字もある。朝日杯FSと皐月賞をともに制した例は多くなく、最後にそれを成し遂げたのは13年前のロゴタイプが最後だ。

レーンは皐月賞のパートナーについて、「マイルではいい馬ですね。2000mは少し課題になりそうですが、これまでの走り方は気に入っていますし、乗るのを楽しみにしています」と抱負を語る。

この皐月賞の結果は、カヴァレリッツォが次戦のダービー、すなわちG1・東京優駿へ向かうかどうかを決める一戦にもなるだろう。その際も、鞍上がレーン騎手になる可能性は十分ある。

もっとも、今年の皐月賞はまだ底を見せていない面々が顔を揃えている。3歳牡馬戦線の序列をめぐる争いは非常に熾烈だ。

Christian Demuro celebrates Asahi Hai Futurity success aboard Cavallerizzo
CRISTIAN DEMURO, CAVALLERIZZO / G1 Asahi Hai Futurity Stakes // Hanshin /// 2026 /// Photo by JRA

牡馬が出走できるのJRA・2歳G1のもう一方、ホープフルステークスを制したロブチェンは、すでに2000mの距離で実績を示している。カヴァレリッツォはマイルまでしか経験がなく、しかも前哨戦を使わずに日曜の本番へと臨む。

ロブチェンは2月中旬、G3・共同通信杯で3着に入った。その時先着した勝ち馬が、同じ皐月賞候補のリアライズシリウスだった。ロブチェンと2番人気を争うライバル、グリーンエナジーは1月下旬のG3・京成杯の勝ち馬だ。

さらに、シルクレーシングにはもう1頭、有力馬がいる。川田将雅騎手が騎乗するバステールは、G2・弥生賞ディープインパクト記念を前走で制している。そのレースで3着だったのが、G2・デイリー杯2歳ステークス勝ち馬のアドマイヤクワッズ。朝日杯FSでもカヴァレリッツォの3着に入っている。

今年の皐月賞で興味深い存在は、名手クリストフ・ルメール騎手が選んだパントルナイーフだろう。昨年11月の東スポ杯2歳ステークスを勝って以降、軽い故障で先月予定していた前哨戦を回避。実戦から遠ざかっているが、ぶっつけ本番でクラシックに挑む。

昨年12月、レーンはメルボルン開催の最中にひと息入れ、同月6日から1月10日まで騎乗しなかった。とはいえ、元メルボルンリーディングの名手は、訪日時点でもメトロ開催のリーディングで33勝を挙げ、4位に付けている。首位のクレイグ・ウィリアムズ騎手とは7勝差。そのウィリアムズもまた、日本で実績を持つ外国人騎手の一人だ。

レーンは今回の日本での短期免許を楽しみにしつつも、仕事ぶりはいつも通り冷静沈着だ。過去の実績が、そのまま将来の成功を保証するとは考えていない。

「良い馬に乗って、勝てればと思っています。いつもいいサポートをいただいていますし、今回も序盤の感触はいいです。良いチャンスに恵まれることを願っています」

Tetsuya Kimura and Damian Lane following Redentor's G1 Tenno Sho (Spring) success at Kyoto
TETSUYA KIMURA (L), DAMIAN LANE / G1 Tenno Sho (Spring) // Kyoto /// 2025 //// Photo by Shuhei Okada

1988年の4月16日、ナイスネイチャが誕生。ナイスダンサー産駒の同馬は41戦7勝だったが、トップレベルの常連として高い人気を集めた。重賞挑戦は34戦、うちG1出走は16戦に及び、有馬記念では3年連続で3着。7勝のうち3勝はG2で、高松宮杯も制している。

ウマ娘にキャラクターとして出演したことや、その長寿記録も相まって、引退後も熱烈な人気を集めた。バースデードナーは毎年数百万円規模の支援を集め、引退競走馬の福祉に充てられてきた。寄付は2023年5月に35歳で亡くなった後も続いている。

1995年の今週、4月16日には、ケント・デザーモ騎手が25歳で通算3000勝を達成し、その時点で史上最年少記録となった。勝ち馬はサンタアニタパーク競馬場で騎乗したメゾネアだった。

1991年4月18日、名伯楽サー・ノエル・マーレス調教師の娘で、名トレーナーとして有名なサー・ヘンリー・セシル調教師の元妻でもあるジュリー・セシルが、調教師として初勝利。レスター・ピゴット騎手が騎乗したゴーランハイツで、ニューマーケットのVSOPコニャックハンデキャップを制した。

1969年4月19日、サフォークダウンズ競馬場では女性騎手限定の総賞金1万ドル戦、レディーゴディバハンデキャップが行われた。

この競走を制したのがペニー・アン・アーリー騎手で、1968年にはチャーチルダウンズ競馬場で男性騎手たちのボイコットに遭い、女性として初の実戦騎乗を阻まれていた人物だった。なお、このサフォークダウンズでの勝利は、アーリーにとって初勝利でもあった。

今週の『Idol Thoughts』では、シェーン・ダイ氏が香港の調教師リーディング争いにおいて、なぜ下級条件戦が大きな意味を持つのかを解説している。最終開催で争うのはどの厩舎か、失速しそうな陣営はどこか、その理由もあわせて論じている。

アダム・ペンギリー記者は先週土曜のランドウィック競馬場で、話題の大物牝馬・オータムグローの初敗北を現地取材。そして、勝ち馬のサーデリウスは、オーナーの見立てが正しかったことを証明し、オーストラリアの2000m路線最強馬であることを証明した。

今週末、アーカンソー州オークローンパーク競馬場で行われるG2・オークローンハンデキャップには、昨年の米クラシック戦線を彩ったライバルが集う。ケンタッキーダービーとベルモントステークスを制したソヴリンティ、そしてプリークネスステークス勝ち馬のジャーナリズムだ。

ウンベルト・リスポリ騎手がデイヴィッド・モーガン記者の独占取材で明かした、ジャーナリズムの鞍上をホセ・オルティス騎手に奪われた時の胸中。昨年配信されたこの記事も改めて注目に値する。

あの馬のような存在で何よりつらいのは、自分がその馬の物語から外れてしまうことだという。

ジュウリョクピエロが、来月のG1・優駿牝馬に向けて有力候補に名乗りを上げてきた。阪神のリステッド・忘れな草賞を鮮やかに勝ち上がったことで、一気にオークス戦線の注目馬となった。

昨年末の時点では、そうした見立てはまったく現実味がなかった。デビュー勝ちこそ挙げていたが、その後はダートで2戦続けて7着。うち1戦は、ホッカイドウ競馬の門別競馬場で行われたJpn3だった。

しかし今年に入って芝では2戦2勝。いよいよトップレベルに向かう気配を見せている。気まぐれさも秘めつつ、圧倒的な才能を誇った名馬オルフェーヴルの娘らしく、父譲りの栗毛と能力を受け継いだようにも映る。鞍の後ろに泡汗を浮かべていたあたりには、気性面まで少し似たものがあるのかもしれない。

今村聖奈騎手は、単勝オッズ18.9倍のこの牝馬を、大外14番枠から最後方へ下げた。道中は先頭からおよそ12馬身後方で脚をため、3コーナーから4コーナーにかけては5頭分ほど外を回して進出。それでもジュウリョクピエロは外を回る不利をものともせず前との差を詰め、直線では早々に先頭へ立った。

その時点で勝負はほぼ決しており、寺島良厩舎の3歳牝馬はそのまま後続を突き放した。ゴールでは2馬身半差をつけ、耳を動かしながら駆け抜ける余裕も見せ、今村騎手はすでに手綱を緩めていた。

日本の女性騎手でクラシック競走を勝った者はまだいない。だが、ジュウリョクピエロがこの予想外の成長曲線を維持できるなら、5戦3勝となった今、今村騎手にはその歴史を変えるチャンスがある。

オールエイジドステークスデー
ランドウィック(オーストラリア)、4月18日

土曜のランドウィック競馬場では、1400mのオールエイジドステークスで過去3年の勝ち馬が激突する可能性がある。ギガキックが2023年、マジックタイムが2024年、そしてジミーズスターが2025年の勝ち馬だ。

ギガキックとジミーズスターは前走のG1・TJスミスステークスで、勝ったジョリースターの後塵を拝した。ユーロン所有の名牝、マジックタイムは、これがラストランになるかもしれない。さらに、G1・メルボルンカップとG1・コーフィールドカップを制したハーフユアーズも出走を予定しており、興味は尽きない。

香港チャンピオンズデー
シャティン(香港)、4月25日

G1・有馬記念の勝ち馬ミュージアムマイルがG1・クイーンエリザベス2世カップを回避したことで、わずかに華やかさを欠く面はある。それでも今年のチャンピオンズデーは、なお史上屈指の豪華メンバーになりそうだ。

世界最強スプリンターのカーインライジングは、G1・チェアマンズスプリントプライズで日本王者のサトノレーヴ、UAEの実力馬ネイティブアプローチを相手に20連勝を狙う。

チャンピオンズマイルでは、日本のチャンピオンマイラー、ジャンタルマンタルが昨年の勝ち馬ヴォイッジバブル、さらに香港ダービー馬インヴィンシブルアイビスとG1・チャンピオンズマイルでぶつかる。

クイーンエリザベス2世カップも好カードで、G1・天皇賞秋を制覇したマスカレードボールが、4度目の制覇を目指す地元王者のロマンチックウォリアーに挑む。

サウスオーストラリアンダービーデー
モーフェットヴィル(オーストラリア)、5月2日

サウスオーストラリアンダービーは1860年に始まった長い歴史を持つ2500m戦だ。ただし、オーストラリア競馬のG1レースとしては比較的穴場な部類に入る。それでも南オーストラリア州の競馬界にとっては大きな一日であることに変わりはない。

近年の勝ち馬では、2020年のロシアンキャメロットが翌シーズンにG1・アンダーウッドステークスを制覇。2009年ダービー馬のレベルレイダーは、その前にG1・ヴィクトリアダービーを勝ち、のちにG1・スプリングステークスも制している。

英2000ギニーデー
ニューマーケット(イギリス)、5月2日

英2000ギニーは英クラシックの開幕を告げる一戦で、ニューマーケット競馬場の直線コース、ローリーマイルで行われる。

これまでに数々の名馬が勝ってきたが、その中でも際立つのがブリガディアジェラードとフランケルだ。今年は、昨年のG2・ロイヤルロッジステークスを制したボウエコーが前売り段階の有力馬として名前が挙がっている。

英1000ギニーデー
ニューマーケット(イギリス)、5月3日

昨年のG1・モイグレアスタッドステークスとG1・フィリーズマイルを制したプリサイスが、英国最初の牝馬クラシックで中心視されている。

ただし前売りオッズでは、エイダン・オブライエン厩舎の僚馬2頭、G1・マルセルブサック賞を制した無敗馬のダイヤモンドネックレスと、G1・チェヴァリーパークステークス覇者のトゥルーラヴも接近している。

トゥルーラヴはすでに今季初戦を使っており、先週末のレパーズタウンでG3・プライオリーベルステークスを勝利した。

地元勢の筆頭候補は、昨年G1・モルニー賞を制したカール・バーク厩舎のヴェネチアンサンと見られる。だが今週、アズリートが出遅れと不利をはね返し、ニューマーケットのG3・ネルグウィンステークスを単勝オッズ51倍の人気薄で勝利。思わぬ伏兵が名乗りを上げた。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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