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土曜日、ロイヤルランドウィック競馬場で開催されたジ・エベレストは、世界最高レーティングのスプリンター、カーインライジングが圧巻の競馬で勝利。ザック・パートン騎手とデヴィッド・ヘイズ調教師はそれぞれ、「キャリアの頂点」と惜しみない賛辞を送った。

香港から遠征したカーインライジングは残り150mで先頭に躍り出ると、パートンの気迫に応えて芝の世界最高賞金レースを1馬身1/4差で制覇。スタンドには超満員の観衆が集まったランドウィック競馬場は、まるで地鳴りのような歓声に包まれた。

ヘイズ師は「間違いなく、人生最大の感動でした」と感激のコメント。「残り300mくらいで前を捉えに行きましたが、ランドウィックの直線は長く感じました。本当によく持ちこたえてくれたと思います」と語った。

カーインライジングは3番手の好位で流れに乗り、残り350mでパートンがゴーサインを出し、オーバーパスを追撃。逃げる先行馬を交わすと、カーインライジングは楽々と押し切り、2,000万豪ドル(約20億円)の大一番を制して連勝を14に伸ばした。

「おそらく、私のキャリアの頂点でしょう」とパートン騎手は喜びの声を語った。

「オーバーパスが早めに抜け出し、私は追うしかありませんでした。良かったのは、この馬が相手を行かせなかったことです。バリアトライアルではそのパターンでやられましたが、『本番では行かせない』と話していました」

KA YING RISING, ZAC PURTON / G1 The Everest // Randwick Racecourse /// 2025 //// Photo by Grant Courtney

カーインライジングは楽勝だったように見えるかもしれないが、World Poolでの1.5倍という単勝人気は、陣営にとっては決して楽なものではなかった。

先週火曜日に行われたバリアトライアルでは、最初で最後の現地試走に厳しい視線が注がれる中、珍しく発汗して入れ込む様子を見せた。さらに日曜日には体調を疑うSNS上の噂が広がり、そうした要素が重なって陣営への重圧は増していた。

ヘイズ師は「私の人生で最も長い10日間でした」と吐露。「素晴らしいスタッフに恵まれていますが、あのツイッターでの騒動があった時には、彼らに大きなプレッシャーがのしかかりました。うちの陣営は英語があまり読めないのが幸いだったと言えるほどです。みんな本当に素晴らしい仕事をしてくれました」

「ザックは試走後は心配していましたが、今日は落ち着いて装鞍を済ませた姿を見て、よほどのことがない限りは負けないだろうと思いました」

カーインライジングに次ぐ2着にはテンプテッド、3着はジミーズスターが入った。レース直後には、ヘイズ師は早くもジ・エベレスト連覇を見据えているようだった。

「ええ、(来年も)間違いなく戻ってきます。この馬には、まださらに伸びしろがあると思います」

NICOLE PURTON, ZAC PURTON / G1 The Everest // Randwick Racecourse /// 2025 //// Photo by Grant Courtney

レース後、パートンはカーインライジングの勝利を次のように振り返った。

「私が関わってきたレースの中でも、これほどの盛り上がりは初めてです。彼は特別な馬です。今日はベストコンディションではなかったかもしれませんが、それでも十分に強い馬なんです」

「(自分のキャリアは)晩年に近づいていますので、今はより一層ありがたみを感じます。本当に恵まれていましたし、素晴らしいキャリアを送ることができました。今このタイミングでこの馬に出会えたことは、とても幸運です」


ジャック・ダウリング、Idol Horseの競馬ジャーナリスト。2012年、グッドウッド競馬場で行われたサセックスステークスでフランケルが圧勝する姿を見て以来、競馬に情熱を注いできた。イギリス、アメリカ、フランスの競馬を取材した後、2023年に香港へ移る。サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、レーシング・ポスト、PA Mediaなどでの執筆経験がある。

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