Aa Aa Aa

2025 G1 秋華賞

競馬場: 京都競馬場

距離: 2000m

総賞金: 2億3970万0000円 (約159万8000米ドル)

秋華賞は日本の牝馬三冠の最終戦であり、その歴代優勝馬リストには錚々たる名馬が名を連ねている。

その中には、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、デアリングタクト、そしてリバティアイランドといった三冠牝馬が含まれており、日本競馬史上7頭しかいない三冠牝馬のうち、6頭が秋華賞で最後の一冠を飾っている。

その他にもダイワスカーレットを始め、近年ではクロノジェネシス、ヴィブロス、ディアドラといった国際的な名馬もその覇者として名を連ねる。 

その高い格式にもかかわらず、秋華賞はクラシックレースではない。日本競馬は、桜花賞、皐月賞、東京優駿(日本ダービー)、優駿牝馬(オークス)、菊花賞の5レースを伝統的なクラシック競走として固持している。

実際、秋華賞が牝馬三冠の最終戦となったのは1996年からのことである。それ以前はG1・エリザベス女王杯が最終戦であったが、同レースが古馬の牝馬にも開放されたことで現在の形となった。 

春のオークスと、上位3頭に優先出走権が与えられるG2・ローズステークス、そしてG2・紫苑ステークスが、秋華賞へ向かう主要なステップレースとされている。2000年以降、秋華賞馬25頭のうち23頭がオークス、ローズS、紫苑Sのいずれかに出走していた。

例外はアヴェンチュラ(2011年)とティコティコタック(2000年)のみである。

速さの桜か、持久力の樫か

今年は、スピードとスタミナを象徴するクラシックホース対決が見られる。 

名マイラーのアドマイヤマーズを父に持つエンブロイダリーは、4月に行われた牝馬クラシック初戦、マイル戦の桜花賞を制した。

一方、ディープインパクトの全兄ブラックタイドを父に持つ、スタミナ豊富な血統のカムニャックは、春シーズンの終盤戦からこの路線の主役となっている。 長丁場のオークスを制した際、エンブロイダリーは対照的に9着に沈んでいた。

エンブロイダリーは、東京競馬場の2400mで行われたオークスでの敗戦以来、休み明けのぶっつけ本番でここに挑む。一方のカムニャックは、秋華賞の主要な前哨戦の一つであるローズSを勝利し、自身にスピードも備わっていることを証明した。 

ただし、この対決ではオークス馬に分がある。三冠牝馬を除くと、桜花賞を勝ち、オークスを勝たずに秋華賞を制した馬は、2007年のダイワスカーレットまで遡らなければならない。しかし、同期間に桜花賞を勝てなかったオークス馬が秋華賞を制した例は3度ある。 

“キズナガールズ”

今年の出走馬には、2013年の日本ダービー馬であり、種牡馬リーディング首位を走るキズナを父に持つ牝馬が5頭含まれている。ダノンフェアレディ、ブラウンラチェット、グローリーリンク、パラディレーヌ、そしてレーゼドラマだ。 

その中でも注目は、紫苑Sで3着に入ったダノンフェアレディだろう。一方のブラウンラチェットは、名誉挽回を目指している。昨年12月のG1・阪神ジュベナイルフィリーズで3.4倍の1番人気に推されながら16着と惨敗して以降、3連敗を喫し評価を落としていた。 

今シーズンのキズナ産駒の活躍を牽引してきたのは、ダート交流競走のスターであるナチュラルライズや、G2・神戸新聞杯を制したエリキング、いずれも牡馬である。しかし、キズナが輩出した3頭のG1馬のうち、ソングラインとアカイイトは牝馬であることも忘れてはならない。

Brown Ratchet wins at Nakayama
BROWN RATCHET, CHRISTOPHE LEMAIRE / Newcomer // Nakayama /// 2024 //// Photo by @s1nihs

母の無念を晴らせるか、セナスタイル

ヌーヴォレコルトは2014年、オークスとローズSを連勝し、1.5倍の圧倒的な1番人気で秋華賞に臨んだ。

しかし、結果はまさかの敗北。単勝10.1倍のショウナンパンドラが、紫苑Sでの2着からの巻き返しを見せ、クビ差で勝利を勝ち取った。なお、このショウナンパンドラは翌年のG1・ジャパンカップを制している。 

セナスタイルは、ヌーヴォレコルトが産んだ産駒の中で、最高傑作となる素質を秘めている。そのキャリアはまだ3戦しかないにもかかわらずだ。

安田翔伍調教師が管理するこの牝馬は、1月に新馬戦を勝利すると、その後長い休養を挟み、8月に中京で勝利を挙げ、続くローズSではカムニャックに次ぐ3着と好走した。日曜日、彼女は母が成し遂げられなかった栄光を目指す。

西塚騎手、待望のG1初騎乗へ 

栗東所属の若手、西塚洸二騎手は9月上旬の中山競馬場で大きな注目を浴びた。ケリフレッドアスクに騎乗して紫苑Sを制し、自身のキャリアで群を抜く大きな勝利を挙げたのだ。 

この勝利によって、21歳の同騎手は秋華賞で初のG1騎乗を果たすことになった。 

西塚騎手はラスベガスで生まれ、5歳までオーストラリアとニュージーランドで過ごした。日本に帰国した当初は、日本語が流暢でなかったために学校でいじめられたという。

そんな彼が幸せを見出したのが、父が経営する乗馬クラブでの乗馬だった。馬上は「嫌なことを忘れさせてくれた」という。JRAでのキャリアは4年目を迎え、現在までに通算88勝を挙げている。 

Kelly Ask Fled and Koji Nishizuka win the Shion Stakes
KELLY ASK FLED, KOJI NISHIZUKA / G2 Shion Stakes // Nakayama /// 2025 //// Photo by JRA

偉大な兄に続け、エフフォーリアの妹 

今世紀の秋華賞馬のうち4頭が、前哨戦の紫苑Sを経て勝利を手にしている。 ディアドラとスタニングローズはこの両レースを制し、ヴィブロスとショウナンパンドラは紫苑Sで2着だった。 

今年の紫苑Sで2着だったジョスランは、3歳で大レースを勝つにふさわしい血統背景を持っている。 同馬は2021年にG1・皐月賞、天皇賞(秋)、有馬記念を制したエフフォーリアの全妹だ。

父のエピファネイアもまた、現役時代に三冠レースのG1・菊花賞を制している。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

デイヴィッド・モーガンの記事をすべて見る

すべてのニュースをお手元に。

Idol Horseのニュースレターに登録