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デイヴィッド・モーガン

イギリスの夏の気まぐれさを象徴するかのように、木曜日に突如として降り出した激しい豪雨により、グッドウッド競馬場の馬場状態は一瞬にして重馬場へと一変した。週末にかけて天気は回復傾向との予報だが、安易に信じることはできない。「日傘か、それとも雨傘か?」――これぞイングランドの夏なのだ。

初日展望でも触れたとおり、海岸に近く、チチェスター港を見下ろす丘陵地にあるグッドウッドでは、英仏海峡から雨雲が流れ込むことは珍しくない。今後も雨が降るようなら、道悪巧者の馬たちには注目しておきたい。

最終日の大一番は、もちろん歴史ある大混戦のハンデ戦・スチュワーズカップだ。現在の6ハロン戦としての形になったのは1840年までさかのぼる。これまで同レースを3勝した馬はおらず、最多は2勝。直近ではマイケル・ドッズ厩舎の古豪コマンチフォールズが2021年と2022年に連覇を達成。ダラム州が誇るこの8歳馬は、その後2年間は同レースに出走していなかったが、その間にG3勝利を挙げるなど健在ぶりをアピール。今回はレーティングが100未満に下がったことで再び参戦し、コナー・ビーズリー騎手とのコンビで史上初の3勝目を狙う。

昨年の覇者ゲットイットも参戦。前走ロイヤルアスコットのウォーキンガムハンデキャップを勝って臨む。同一年でこのダブルを達成したのは1990年のナイトオブマーシーが最後だ。

さらに、日本から参戦するG1ジョッキー、岩田望来騎手にも注目したい。ウィリアム・ハガス厩舎の素質馬ヘッドマスターに騎乗し、ウィスパリングエンジェルハンデキャップに挑む。

イチオシ推奨馬:R1・1番アルアーシー

アンドリュー・ホーキンス

この日、ハンデ戦がメインとなる中、3歳限定・芝7ハロンのウィスパリングエンジェルハンデキャップは必見だ。将来の有力馬を見出すレースとして知られており、今年もその役割を担うことになりそうだ。

過去5年の勝ち馬のうち、ウィットネススタンド、アイムアギャンブラー、ランドオブレジェンズの3頭がステークス競走を制覇しており、今年のメンバーは例年以上に層が厚い。

マドビルは、G1馬モスターダフの半弟にあたるキングマン産駒。前走サンダウンで7ハロンへの適性を示し、ハンデも手頃な設定だ。ヤーモービーゼアはロイヤルアスコットのG3・ジャージーステークスで5着に好走しており、コンソリデーションは同週のブリタニアステークスで運悪く不利な枠順に泣いた格好だった。

芝2800m(1マイル6ハロン)のサマーハンデキャップは、イボアハンデキャップの有力馬を送り出すことで知られる。直近でこの2レースを制したのは2022年のトローラーマンだった。

ワスナンレーシングのフレンチデュークは、昨年のこのフェスティバルで芝2400mを制した実績馬で、今回のサマーハンデキャップでは人気の中心。イボアハンデキャップでも上位評価されており、今回が距離延長への初挑戦となる。

イチオシ推奨馬:R2・8番フレンチデューク

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの副編集長。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。また、競馬以外の分野では、ナイン・ネットワークでオリンピック・パラリンピックのリサーチャーも務めた。

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