ヒュー・ボウマンの最新ニュース

31/03/2025
ローズヒル競馬場の「4700億円」売却案、オーストラリア競馬界を分断する問題に
「オーストラリア競馬史上最も重要な決断」とも言える、シドニーのローズヒルガーデンズ競馬場の将来を巡る闘争が、競馬業界に深刻な分裂と権力争いを生み出している。
アダム・ペンギリー

18/03/2025
パートン騎手、香港ダービー騎乗を諦めず「土壇場での電撃復帰」も視野
7度のリーディングジョッキーに輝いたザック・パートン騎手が、負傷したつま先について専門医からのゴーサインを受け、日曜日のBMW・香港ダービーでの騎乗の可能性を探っている。
ジャック・ダウリング

18/03/2025
父が遺した”英雄”ラスキンスターの軌跡、クリス・リーズ調教師がゴールデンスリッパー初制覇に挑む
父・マックス氏がラスキンスターを育て上げ、ニューカッスルの英雄となった日から48年。息子はリヴェリーノを引き連れ、ゴールデンスリッパーの栄光まであと一歩の位置に立っている。
アダム・ペンギリー

10/03/2025
ヒュー・ボウマン騎手がシドニーに参戦、ゴールデンスリッパーでリヴェリーノに騎乗決定
香港を拠点とするヒュー・ボウマン騎手にとって。2025年初のオーストラリア帰国騎乗が決まった。世界最高賞金の2歳戦で3戦無敗の期待馬に騎乗する。
アダム・ペンギリー

21/01/2025
名門サイズ厩舎から期待の星が誕生、スカイジュエリーがデビュー勝ち
スカイジュエリーはハッピーバレーで印象的なデビュー勝ちを披露し、早くも14ヶ月先の来年の香港ダービーの有力候補として浮上した。
アンドリュー・ホーキンス
ヒュー・ボウマンの騎手としての強みとは?
ヒュー・ボウマン騎手と言えば『ウィンクスの騎手』が代名詞かもしれないが、それだけでは語れない存在だ。
その真似できない騎乗技術、プロフェッショナル精神、そして多才さは、日本や香港での結果にも表れている。ボウマン自身が歴代最高レベルの騎手にも関わらず、今はウィンクスとのコンビで有名になっている。それは、ウィンクスが並外れた馬であることの証拠でもあるだろう。
ボウマンの冷静な態度、昔ながらの礼節、田舎風の親しみやすさは、「紳士」そのものだ。まるで、別の時代から来たかのような雰囲気を持っている。その騎乗技術もまた、クラシカルな特徴を持っている。
現代の騎手の多くは「つま先だけを鐙に乗せる」という騎乗スタイルで乗っているが、ボウマンは足で完全に鐙を踏むスタイルの乗り方を採用している。オーストラリアのトップ騎手の中で、これを採用している騎手は数が限られる。
もちろん、このスタイルはボウマンが最後というわけではない。ボウマンが採用するこのスタイルは、姿勢が安定し、手綱を短く持ちながらも力強く追える利点を持っている。そして、頭の位置がブレず、前を見続けられる点も重要だ。これは10代の頃に牛を追ったり、馬術をする際に学んだ経験で、周囲の状況把握に役立つ。
彼は右利きだが、シドニーで見習い騎手として指導を受けている際に、左手で鞭を使うことを学んだ。シャティンやハッピーバレーのような右回りの小回りコースへの対応力は、この時に培われた。
そして、彼の乱れたペースの中でも冷静さを保ち、周りに流されない天性の冷静さを持っている。大混乱に巻き込まれず、落ち着いた騎乗ができるのも彼のトレードマークだ。

ヒュー・ボウマンの生い立ち
オーストラリアのニューサウスウェールズ州、ダニドゥー(Dunedoo)という田舎の小さな街で彼は生まれた。農家であるジム・ボウマンとマンディ・ボウマン夫妻の息子として生まれ、家族経営の牧場であるメロセリーなどで育った。
2019年のインタビューで、父のジムは息子について「ヒューに教えられる最も大事なスキルは馬に乗る技術だった」と語り、ヒュー自身もこう語っている。
「父から影響を受けました。父は馬術に熱心で、乗馬の才能がありました」
ボウマンの洞察力と勝負勘は、農場で牛追いをしているうちに磨かれたという。
「牛を集める作業は子供の頃からやっていました。この作業は牛がどこに行くか、何をするかを予測しながら動く必要があります。それを通じて、洞察力が養われていきました。騎手の仕事でも役に立っています」
ボウマンの父、祖父、大叔父は皆アマチュア騎手として活動していた。彼自身も騎手になる前、ポニーに乗って乗馬をしたり、ホースショーの馬術競技に出場したり、ポロクロスを嗜んだり、馬に親しむ幼少期を送ってきた。
そして、見習い騎手としてプロデビューする前からアマチュア騎手として活動しており、ピクニックレース(アマチュア騎手限定戦)で騎乗していた。
見習い騎手時代は、まずビリー・アスプロス騎手の妻として知られるレアン・アスプロス調教師の厩舎に所属していた。デビューシーズンでは、ニューサウスウェールズ州中央地区の見習い騎手チャンピオンを獲得している。
1999年、シドニーのロン・クイントン厩舎に拠点を移した。師匠のクイントン調教師自身もダニドゥーで育った同郷の人物で、騎手時代はシドニーで5度のリーディングに輝いた経験を持つ。そして、何人もの名騎手を育てたテオ・グリーン氏の弟子でもあった。
1999/2000シーズン、ボウマンはシドニーの見習い騎手チャンピオンを獲得した。

ヒュー・ボウマンの有名な相棒は?
これに関してはウィンクスだと断言できる。ウィンクスの37勝のうち32勝はこのコンビで挙げており、敗れたのはたったの1回だ。33連勝のうち、29勝はボウマンが手綱を取っている。
この質問に関してはウィンクスが圧倒的すぎるため、『ウィンクス以外』の条件を足した方が良いかもしれない。この場合、ワーザーとのコンビが有名だ。香港ダービーの他、香港のG1を3勝している。また、2018年のG1・宝塚記念では惜しい2着に入っている。
ボウマンは来日経験が豊富というわけではないが、2017年にはG1・ジャパンカップをシュヴァルグランで制している。

ヒュー・ボウマン、最大のライバルは?
彼のライバルと言えばナッシュ・ローウィラー騎手だが、直接対決は現在保留中だ。現在のボウマンは香港を拠点としており、ローウィラーはシドニーに戻っている。しかし、全盛期の対決は見応えがあった。
ボウマンもローウィラーも騎手の身長・体重としては『ヘビー級』であり、二人の対決もさながらヘビー級の殴り合いだった。2007/08から2012/13の5シーズン、シドニーのリーディングは彼らが独占していた。
ローウィラーは2009/10、2010/11、2012/13の3回。ボウマンは2008/09、2011/12の2回、それぞれリーディング騎手を獲得した。判定は3-2でローウィラーの勝利だったと言えるだろう。
ボウマンはその後、2014/15と2016/17の2シーズンでリーディング騎手に輝き、シドニーのリーディングは計4回獲得している。

ヒュー・ボウマン、最大の偉業とは?
2017年、ボウマンは世界のトップレース100のうち、10勝を挙げる驚異的な活躍を見せた。この年、ワールドベストジョッキーを受賞している。
そしてこの年には、シドニーのリーディング騎手に輝いている。シーズン終了3ヶ月前の段階でブレントン・アヴドゥラ騎手に15勝差をつけられていたが、見事逆転して4度目のタイトルを受賞した。
それまでは2008/09シーズン、2011/12シーズン、2014/15シーズンでリーディングを獲得していた。
