ダニー・シャム調教師は、今週末の復帰を控えるロマンチックウォリアーが来年、2026年のG1・ドバイワールドカップに挑戦するプランを披露。また、ジェームズ・マクドナルド騎手不在時の調教やトライアルで、ザック・パートン騎手ではなくヒュー・ボウマン騎手を信頼して起用してきた理由についても、取材陣に狙いを明かした。
今週末のG2・ジョッキークラブカップでの本格始動を前に、調教師は厩舎を代表するスターホースの現在と、7歳となった同馬の今季プラン候補を説明した。
ロマンチックウォリアーの今季のローテーションは、再び4月のドバイ開催でクライマックスを迎える可能性がある一方で、7か月前に日本のソウルラッシュの後塵を拝して2着に敗れたG1・ドバイターフではなく、ダートのG1・ドバイワールドカップへの出走を目指していると、シャム師は明かした。
ロマンチックウォリアーは今年の5月、中東遠征からの帰国直後に左前脚にスクリューを入れる手術を行ったが、「順調ですし、馬もハッピーで健康的です」と同師は復帰に向けた調整過程を語る。
「シャティンでの3回のバリアトライアル、芝コースでの追い切りを1回をこなしましたが、騎手からの報告はどれも良好なものでした」
「今季も香港カップとサウジカップを目標にしていて、その後にもう一度ドバイに挑戦するかもしれません。昨年はドバイターフでしたが、今回は代わりにドバイワールドカップになる可能性もあります。すべてはその前のレース内容次第ですが、それもプランに入っています」
今年2月のG1・サウジカップ、歴史に残る名勝負の末にフォーエバーヤングのクビ差まで迫ったG1・10勝馬は、今週末、ヴォイッジバブルとの注目の対決で待望の復帰戦を迎える。
今回のG2・ジョッキークラブカップは、競走実績だけでなく、鞍上の顔ぶれという意味でも『大物対決』の様相を呈している。
ロンジン・ワールドベストジョッキーのジェームズ・マクドナルド騎手と、香港で8度の騎手リーディングに輝いたザック・パートン騎手が、それぞれロマンチックウォリアーとヴォイッジバブルに騎乗して激突する。
この対決は、それだけでも世界中の競馬ファンを大いに沸かせるに足るカードだが、水曜日のハッピーバレー開催でシャム師が明かした“もう一つの物語”を踏まえれば、なおさら興味深い一戦になる。
マクドナルド騎手が香港を離れている間、レース前のバリアトライアルや追い切りでシャム師の至宝のパートナーとして信頼されてきたのは、ヒュー・ボウマン騎手だった。豪州出身のボウマンは、昨年2月以降、ロマンチックウォリアーの過去8回のバリアトライアル全てに騎乗している。
しかしシャム師は、当初はマクドナルド不在時の“第一候補”としてパートンに声をかけるつもりだったものの、自身とオーナーのピーター・ラウ氏がマクドナルドに相談した結果、プランを変更したのだと明かした。
「ジェームズ(マクドナルド)はヒュー(ボウマン)と仲良しですからね」とシャム師は語る。
「以前、私がザック・パートンに頼もうとしたところ、ジェームズが『いやいや、ヒューを使ってくださいよ』と言ったのです。そこで『分かりました。ヒューにお願いしましょう。ジェームズが乗れない場合はヒューを最優先にします』と答えました」
2023年のG1・チャンピオンズ&チャターカップで、ロシアンエンペラーのクビ差2着に敗れた際にロマンチックウォリアーに騎乗していたパートンは、9頭立ての4番ゲートからスタートするヴォイッジバブルの鞍上として、マクドナルドとロマンチックウォリアー、そして自信満々のシャム師の前に立ちはだかろうとしている。
「この馬は世界的なスターですし、今週末については私もとても自信を持っています」とシャム師は言う。
「とても良い走りをしてくれると思います」
「昨季と同じレベルにあると思います。これ以上良くなるとは思いませんが、昨年と同じ状態には戻っていると考えています。手術後も本当に順調に来ていますし、その後のすべての動きが、彼が元の状態に戻っていることを示しています」


