シンエンペラーは土曜日のG1・アイリッシュチャンピオンステークスに向け「十分な準備」ができており、金曜日にレパーズタウン競馬場に到着した後は軽い調整を行う。鞍上の坂井瑠星騎手も同地での初騎乗となる。

当初坂井騎手は、G1・6勝のオーギュストロダンや、新星エコノミクスと戦う10ハロンの大一番を前にこのコースでの実戦経験を積むことができる予定だったが、レース順の関係上、全く新鮮な状態でシンエンペラーに騎乗することになる。

矢作芳人調教師の広報担当者である安藤裕氏は「帯同馬のラファミリアがアイリッシュチャンピオンSの直前のレースに出走する予定でしたが、発走時刻が変更されたため、アイリッシュチャンピオンSが先でラファミリアのレースが後になります。したがって坂井騎手はシンエンペラーの前に他の馬には騎乗しません」と語った。

「しかしレパーズタウンはアスコットやグッドウッドのようなトリッキーなコースではありません。ニューマーケットのジュライカップを始め、今まで坂井騎手は世界中で騎乗してきてトリッキーなコースでも実績があります。彼にとっても問題ないでしょうし、我々もそこに関して特に心配はないです」

シンエンペラーは5月末のG1・日本ダービーで鋭く伸びて3着に入って以来の実戦となる。関係者は今回のアイリッシュチャンピオンSを10月6日のG1・凱旋門賞に向けての重要な前哨戦と明言している。

Shin Emperor ahead of the G1 Tokyo Yushun
SHIN EMPEROR, RYUSEI SAKAI / G1 Tokyo Yushun // Tokyo /// 2024 //// Photo by Akasabi

「凱旋門賞こそが私たちの目標なので、今回はその次のレースに向けて、更なる成長を遂げられるよう調整しています。アイリッシュチャンピオンSも素晴らしいレースの一つなので、全力で戦いたいと思います。勝てれば素晴らしいですが、少なくともレパーズタウンでも良い走りができることを期待しています」と安藤氏は語る。

シンエンペラーとラファミアは共にIT実業家、藤田進氏の所有馬で、8月27日からシャンティイで調整を重ねてきた。両馬はパリから専用機でダブリンに到着する予定だ。

「シンエンペラーはシャンティイでとても良い調子で、気候も大変恵まれています。もし日本にいたら非常に暑かったでしょうが、フランスの涼しい気候が大きなアドバンテージになっています」

フランス生産馬のシンエンペラーは7頭を相手にレースに臨む。エイダン・オブライエン厩舎のオーギュストロダンは、浮き沈みは激しいものの、昨年のこのレースとG1・BCターフを勝利して実力を示した。

Auguste Rodin wins Breeders' Cup Turf
AUGUSTE RODIN, RYAN MOORE / G1 Breeders’ Cup Turf // Santa Anita Park /// 2023 //// Photo by Horsephotos

一方、ウィリアム・ハガス厩舎のエコノミクスは今年3戦無敗と好調だが、今回が初のG1挑戦となる。5月のG2・ダンテSを圧勝して一躍スター候補に浮上した栗毛馬だが、エプソムダービーは回避。その後、8月にドーヴィルでG2を制した。

これまでアイルランドで勝利した日本馬はいない。日本調教馬としては、2019年にマジカルの4着だったディアドラが唯一のアイリッシュチャンピオンS出走馬だった。

ラファミリアは同日の2400m戦、G3・キルターナンSに出走する。3歳の同馬は3月の阪神での初勝利以来、3戦全て最下位に終わっている。 

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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