ダーバンジュライを制したザリアルプリンスが、南アフリカ競馬のシーズン最終戦となるG1・チャンピオンズカップ(1800m)で歴史的偉業に挑む。舞台は日曜のグレイヴィル競馬場だ。
チャンピオンズカップ(旧称メインステイ1800)がG1へ格上げされた1985年以降、ダーバンジュライとの同一年制覇は一度も達成されていない。この偉業に直近で挑んだのは2017年のマリナレスコだが、当時は9着に敗れている(2016年のチャンピオンズカップは勝利)。
しかし、ディーン・カンネマイヤー調教師に迷いはなかった。4歳のザリアルプリンスは、ダーバンジュライで50年ぶりに『マイル超の距離初挑戦』での勝利を飾ったばかりだ。
「簡単な挑戦ではありませんが、走らせる理由があります。レース後の状態が素晴らしかったのです。翌日には脚元も問題なく、飼い葉もきれいに食べていました。とにかく手のかからない馬なんです」とカンネマイヤー師は語る。
「レースを見て、1800mの方がむしろこの馬向きかもしれないと思いましたし、馬齢重量戦は力勝負になります。デイブザキングやシーイットアゲインといった実績馬もいますが、我々もダーバンジュライを勝って胸を張れるだけの結果を出せました」
「いい枠を引いていますし、状態は良好です。疲れもなく、調整はすべて順調に運びました」
ザリアルプリンスの手綱は引き続きクレイグ・ザッキー騎手が取る。ザッキー騎手にとっても、悲願の初制覇がかかる大舞台となる。
また、この一戦は年度代表馬争いにも影響を及ぼす可能性がある。過去2年連続でチャンピオンズカップの勝ち馬が年度代表馬に選出されてきた。しかし、非公式の指標であるエクウス・ログによれば、ダーバンジュライ2着馬のエイトオンエイティーン(今回は不出走)が年度代表馬に選ばれる公算が大きい。
昨年の年度代表馬であり、同レース覇者のデイブザキングも連覇に挑む。
マイク&マット・デコック厩舎のデイブザキングは、距離適性を考慮してダーバンジュライを回避し、この一戦に照準を絞った。6月のG1・ゴールドチャレンジ(1800m)からチャンピオンズカップと、グレイヴィル2連勝を狙う。鞍上はカラン・マリー騎手だ。
「調子はとても良いです。前走からさらに上積みがあると感じていて、これは日曜に向けて非常に良い兆候です。これで休養明け3戦目、まさにピークを迎えています。過去実績のあるローテーションで、ここまですべて計画どおりです」とマット・デコック師は語る。
「G1に楽なレースなどありませんが、特にザリアルプリンスには注意が必要です。ダーバンジュライで素晴らしい走りを見せたばかりで、まさに伸び盛りの未知数な存在ですからね。非常に面白い一戦になるでしょう。勝ちたい気持ちはもちろん強いですし、勝てなければ残念ですが、こうして現実的な勝機のある馬で挑めるのは素晴らしいことです」
もう一頭の注目馬は、ファンの支持を集めるシーイットアゲインだ。2023年に2着、2024年に3着とあと一歩で涙を飲んできたが、三度目の正直を狙う。元名手マイケル・ロバーツ調教師が送り出すこの5歳馬は、血液検査値の異常により今年のダーバンジュライを回避していた。

騎乗するのは、現在香港を拠点とするキーガン・デメロ騎手。かつてダーバンに暮らしていた同騎手は、この日10レース中8鞍に騎乗予定だ。
「ダーバンジュライを欠場したのは残念でなりませんでした」とロバーツ師は語る。「懸命に準備してきたのに、まさにタイミングの悪いアクシデントでした。でも今はすっかり元通りですし、調教も順調で、気持ち良く仕上がっています」
「オーナーのニック・ジョンソン氏と相談し、国際経験豊富なキーガンを起用することに決めました。彼はこの馬に合うでしょうし、素晴らしい騎手ですよ」
その他には、G1馬のロイヤルヴィクトリー、サンオブラジ、唯一の3歳馬ファイアアタックのほか、G1連対歴のあるグラディエートリアン、モンティエンも加わり、強力な顔ぶれとなった。
当日のグレイヴィル競馬場では、G1・チャンピオンステークス(1600m・2歳)、G1・ダグラスホワイトステークス(1600m・2歳)、G1・マーキュリースプリント(1200m)も行われる。
10レースすべてが『ワールドプール』を通じて世界中のファンに提供される。運営団体レースコーストは、ダーバンジュライ当日に発生した国際的な馬券発売システムにおける技術的トラブルは再発しないと自信を見せている。
「ダーバンジュライ当日は遺憾な事態となりましたが、日曜は南アフリカを世界に示す機会になります」と、レースコーストのレーシングディレクター、グレアム・ホーキンス氏はIdol Horseに語った。「当日は4つのG1を含む素晴らしい番組が組まれています。世界中のファンの方々にダーバンの競馬を楽しんでもらえることを願っています」