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2023年のメルボルンカップを制した馬主、シェイク・モハメド・オバイド・アル・マクトゥーム殿下は、アンソニー&サム・フリードマン調教師とのコンビにひとまず休止符を打つこととなった。アラブ首長国連邦の王族である殿下が、オーストラリアでの競馬事業を終了したためだ。

殿下が豪州で所有する最後の馬、G1・スプリングチャンピオンステークス2着のヘンラインは、今週半ばにイギリスへ向けて出国。G1馬・マジックタイムの半弟にあたるダンディール産駒の同馬は、殿下が海外へ転厩させた初の豪州産馬となった。

この移籍により、ヘンラインは総賞金1,000万豪ドルのゴールデンイーグル出走を断念。その代わり、北半球への移動を前倒しし、オバイド殿下がより観戦しやすい環境で愛馬を走らせることを選んだ。

「ヘンラインは間もなく英国に到着し、調教師については追って殿下が決定されます」と、代理人のリアム・オルーク氏はIdol Horseに語った。

「殿下はヨーロッパで所有馬が走るのを見ることを楽しんでおり、ヘンラインは今後の活動を充実させる存在となるでしょう」

「殿下は豪州でも比較的短期間で多くの成功を収め、その勝負服は特に欧州生産の高品質馬で広く知られるようになりました。今後も適切な機会があれば、この活動を継続する可能性はあります」

「サム、アンソニー両師との温かい関係もこれまで通り続いています」

オバイド殿下の世界的な競馬事業は、いとこでドバイ首長でもあるシェイク・モハメド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥーム殿下が率いるゴドルフィンが管理している。豪州部門の管理は主に、ゴドルフィン・オーストラリアのレーシング&ブラッドストックマネージャーを務めるジェイソン・ウォルシュ氏が担当してきた。

オーストラリアでの殿下の代表的な所有馬は、2023年にコーフィールドカップとメルボルンカップのダブル制覇を果たしたウィズアウトアファイト。同馬はこの快挙を成し遂げた後、出走は18か月間でわずか2戦にとどまり、今年5月に引退した。

このほか、昨年末に豪州で3戦を経験したロイヤルチャンピオンも殿下の所有馬の1頭。英国に戻った後は、2025年に5戦して3勝を挙げ、直近ではカール・バーク厩舎でG2・ヨークステークスを鮮烈な内容で制している。

英重賞馬のサードレルム、ドバイポエットらも殿下の所有馬として走ったが、すでに売却済み。そのほかの豪州所有馬も、この1年間にゴドルフィンによってイングリス・デジタルのオンラインオークションで売却されていた。

豪州での所有馬はすべてフリードマン厩舎が管理してきたが、オルーク氏によれば両者の関係は今も良好で、今後豪州で所有馬が出る場合は最初に調教依頼を受けることになるという。

黄色地に黒の水玉の勝負服で世界各地の競馬場を彩ってきた殿下は、過去に英国の一部調教師と激しい関係悪化を経験している。

2015年には、20年にわたるルカ・クマーニ師との関係を突然解消し、管理馬をロジャー・ヴェリアン厩舎に移籍。しかしこのパートナーシップも9年で終わり、昨年8月に最後の管理馬を引き上げた。

サイモン&エド・クリスフォード師、アンドリュー・ボールディング師らも、殿下の所有馬を失った調教師に名を連ねる。

2016年、ポストポンドがG1・ジャドモントインターナショナルを勝った直後、殿下はインタビューで、自身の競走馬運営における立場を明確に語っている。

「私は軍人気質です。私が誰かに命令を出したら、その命令は受け入れなければなりません。調教師から命令を受けるつもりはありません。『このレースに出走しなさい』と言えば、必ず走らせてもらいます。後から言い訳は受け付けません」

現在、殿下の英国所有馬はリチャード・ハノン師、ケビン・ライアン師、カール・バーク師、ジョージ・バウヒー師に分かれて預託されており、G1馬の短距離スプリンター、イニシェリンは日曜にドーヴィル競馬場で行われるG1・モーリスドゲスト賞に出走した(9着)。

一方、豪州のフリードマン厩舎に殿下の現所有馬こそいないものの、モハメド殿下が率いるゴドルフィンからの関心は高まりつつある。ゴドルフィン・オーストラリアが専属調教師制度を廃止し、各厩舎に分散して預けるようになったためだ。

フリードマン厩舎は、ジェームズ・カミングス厩舎からの転厩馬をキアロン・マー厩舎と並んで最も多く受け入れており、コックスプレートで有力候補に数えられるトムキトゥンなどを獲得した。

すでにゴドルフィン所有馬を9頭抱えており、豪州における同陣営最大の預託厩舎となっている。

アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの副編集長。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。また、競馬以外の分野では、ナイン・ネットワークでオリンピック・パラリンピックのリサーチャーも務めた。

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