中内田充正調教師は、自厩舎のエース牝馬リバティアイランドが、4月5日にメイダン競馬場で行われるG1・ドバイターフに参戦する。昨年の香港カップで敗れたロマンチックウォリアーとの再戦に挑むことを「楽しみにしている」と語った。
リバティアイランドは昨年、ケガに悩まされたシーズンの締めくくりとして、12月のG1・香港カップで2着に好走し、本来の姿を取り戻したことを示した。それ以来、順調な調整を重ねており、中内田調教師も状態に太鼓判を押している。
「ロマンチックウォリアーとまた戦えるのは本当に楽しみです。リバティアイランドの状態はとても良いので、私自身も非常に満足しています」と同調教師はIdol Horseに語った。
そのロマンチックウォリアーは、ドバイでG1・ジェベルハッタを勝利した後、ダートに挑戦したG1・サウジカップで2着に健闘。しかしドバイターフ後は休養に入り、4月27日のシャティン・チャンピオンズデーには出走しない予定だ。
一方、リバティアイランドはメイダン出走後の状態が良ければ、G1・クイーンエリザベス2世カップを目指して再びシャティンに向かう予定だ。
「順調に行けば、次は香港にも向かうつもりです」と中内田調教師は明かした。
日曜日の栗東坂路で、サンデーレーシング所有の5歳牝馬リバティアイランドは、片山裕也調教助手を背に最終追い切りに臨み、ラスト800mを53.9秒、終い200mを11.9秒でまとめた。
「とても良い動きでした。ドバイ遠征前の日本での最終追い切りでしたが、追い切りに乗った調教助手も手応えを感じてくれたようです」と中内田調教師。「香港カップの後、調整が順調に進んでいて、ここまで一切のトラブルもなく来ています」
同調教師は、リバティアイランドが香港カップで見せた豪脚を振り返りつつ、ロマンチックウォリアーについて「おそらく世界最高の芝馬だろう」と称賛。
あの時、リバティアイランドは2000mのレースで8番手から進み、勝ち馬ロマンチックウォリアーの数馬身後ろにいたが、ラスト400mを出走11頭中最速の22.46秒で駆け抜け、2着に食い込んだ。

実際、香港カップではラスト600mの各200m区間のすべてで、リバティアイランドより速いタイムを記録した馬はいなかった。ラップはそれぞれ11.39秒、10.93秒、そして11.53秒を刻んだ。
「今回は1800メートル戦ですが、これが彼女にとってベストの距離です。また、ドバイの馬場やレースの流れも、きっと彼女に向いていると思います」と中内田調教師は語った。
「今のリバティアイランドのスタイルは、リズムに乗ることを第一に考えています。しっかりと呼吸を整えてから、加速していくタイプです。良い瞬発力を発揮するには、レース中にリラックスしていることが大切なんです」
そして、そのリラックスした走りを引き出し、絶妙のタイミングでスイッチを入れる役目を担うのが、鞍上の川田将雅騎手だと中内田調教師は全幅の信頼を寄せる。
「彼はとても手先が器用で、いい騎手です。そして何よりも優秀なホースマンで、リバティアイランドのことを隅々まで理解しています。彼こそ今の日本競馬を代表する騎手です」
リバティアイランドは、2歳時に衝撃的な走りを見せ、3歳ではさらに進化を遂げた。2023年には牝馬三冠を制し、ジャパンカップでは世界的名馬イクイノックスの2着に好走。しかし、4歳となった2024年は不完全燃焼のシーズンとなった。
2410mのドバイシーマクラシックでは3着に追い込んだが、その後、右前脚の繋靱帯を痛め、211日もの長期休養を余儀なくされた。
10月のG1・天皇賞(秋)で復帰したものの、13着と大きく崩れる。しかし、続く香港カップでは本来の輝きを取り戻し、勝利こそ逃したものの確かな手応えを残した。
「天皇賞では良い競馬ができなかったので、香港で彼女本来の走りが見られて嬉しかったです。ただ、勝ったのは今の芝の世界最強馬と言ってもいいロマンチックウォリアーでしたから、負けたとはいえ納得しています。悔しさと喜びが入り混じった、何とも言えない思いでした」
中内田調教師は、ドバイや香港への遠征、さらには休養期間を含めた一連の経験が、リバティアイランドの精神面の成長につながっていると感じている。
「検疫の関係で、日本ではとても早い時間帯に調教をこなさなければいけませんが、今ではその環境にもすっかり慣れています」と同師。
「過去に2度、同じ検疫区域を経験していますからね。その経験が今、良い形で生きています」
「彼女は精神的に確実に成長しています」と力を込めた。