今年序盤、日本でのG1初制覇を達成したレイチェル・キング騎手。今夏、再び来日してJRAで騎乗することが決定。勢いそのまま、今度は夏場の戦いに臨む。
シドニーを拠点とするイギリス出身ジョッキー、キングが来日する期間は7月19日から8月17日までの5週間を予定。身元引受調教師は前回と同様、堀宣行調教師が務める。
キングはIdol Horseの取材に対し、「日本に行くたびに、素晴らしいサポートをいただいています」と話し、今夏の来日計画について明かした。
「今回はこれまでの来日期間とはちょっと違う形になります。(日本にいる)5週間のうち、3週間は札幌に滞在し、残り2週のうち1週は東京方面に戻るかもしれません。ただ、いろいろな競馬場を回れるのはいいことですし、学ぶにはもってこいですね。違う場所に拠点を置くのもいい経験になると思います」
キングが札幌で騎乗するのは、2023年のワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)以来となる。当時は2日間の開催で6鞍に騎乗し、1勝を挙げて観衆を沸かせた。それ以来の札幌開催参戦となる今回は、新たな環境での騎乗を楽しみにしているという。
「WASJでは札幌で騎乗しましたが、行くのはそれ以来です。拠点を変え、普段と違う競馬場で乗れるのは、良い経験になるはずです」
2024年には1月から短期免許で再来日し、チャックネイトとのコンビでG2を、サクラトゥジュールではG3を制するなど、16勝をマークした。今季の短期免許では13勝を挙げ、そのうちサクラトゥジュールでのG3勝利を再び手にしたほか、コスタノヴァでフェブラリーSを制し、JRAでの初G1制覇も果たしている。
G1制覇の快挙を成し遂げた当時について問われると、キングは「その週末はとにかく慌ただしかったです。金曜の夜はサウジアラビアで騎乗していました」と振り返り始める。
「サウジからはすぐに出国して、東京に戻るフライトに乗れました。東京に着いたのは夜の11時45分。深夜0時までに調整ルームに入らなければいけないので、ギリギリ15分前でした。完璧なタイミングでしたね」
「正直、あの騎乗依頼を受けられたのは運が良かったと思います」と彼女は続けた。「もともとはクリストフ・ルメール騎手が乗っていた馬でしたが、その週末は彼がサウジで騎乗していたため、私にチャンスが回ってきたんです。このチャンスを与えてくれた関係者の皆さんには、本当に感謝しています。結果を出せてよかったです」
キングが期待しているのは、日本でのG1勝利がさらなる信頼につながることだ。
「このG1勝ちが、オーナーや調教師の皆さんに『引き続き私を起用しよう』と思ってもらえる後押しになるといいなと思っています」
「初めての滞在時もたくさん勝たせてもらいましたが、あの(G1の)チャンスはこれまでで一番の舞台でした。自分に結果を出せることを証明できたことが、関係者にとっても自分自身にとっても『またあの馬に乗せよう』と思えるきっかけになれば嬉しいです」
オーストラリアでの今シーズンも順調に進んでおり、ここまで通算60勝、シドニーのメトロポリタンの競馬場でも24勝を挙げている。4月にはアラパホとのコンビでG1・シドニーカップを制し、直近のブリスベン遠征でもイーグルファームでリステッド競走を勝つなど、好成績を残している。
「毎シーズン、少なくともG1を1つでも勝てれば、それで満足なんです」と彼女は語る。
「もちろんもっと勝ちたいと思ってはいますが、今年は騎乗馬の質もさらに良くなったと感じています。毎年目指しているのは、より良い馬に安定して乗れるようになること、大きな馬主や厩舎とのつながりを築くこと。その点で、今季は手応えを感じています」
「改善の余地はありますし、もっと上手くなり、さらに良い騎乗をして、ビッグレースをもっと勝ち取りたいといつも思っています。それでも、これまでの結果には満足していますし、ビッグレースにも以前より安定した騎乗ができて、結果もより出せるようになったと感じています」
JRAでは7月から8月にかけてG1レースは組まれていないが、キングはこの夏の日本でもさらなる飛躍を目指している。
「全部楽しみなんですけど、特に楽しみにしてるのは食事ですね」とキング。「日本の食べ物が本当に大好きなんです。私は何を食べられるタイプなので、その点でもラッキーな騎手だと思います」
「日本は美しい国で、人もとても素敵です。行くたびに温かく歓迎されていると感じます」