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競馬場: 中京競馬場

距離: 1200m

総賞金: 3億6990万0000円 (約238万7000米ドル)

高松宮記念は、日本の芝G1シーズンの開幕戦であり、JRAの競馬カレンダーに組まれている2つのスプリントG1の一つでもある。もう一つは、10月に中山で行われるG1・スプリンターズステークスだ。

このレースはかつて「高松宮杯」として2000mで行われていた時代があり、ハイセイコー、トウショウボーイ、そして伝説的名馬・オグリキャップなど、日本のファンに愛された名馬たちが勝ち馬に名を連ねている。

熱狂的な人気を集めるナイスネイチャも1994年にこのレースを勝ったが、その後に1200mへと距離が変更され、レース名も高松宮記念へ改称。日本最強スプリンターのロードカナロアや、香港のスターであるエアロヴェロシティも勝ち馬に名を連ねている。

ナムラクレア、最高の“ラストダンス”なるか

さて、いよいよだ。ナムラクレアの引退レースは今年高松宮記念となり、もし勝てば、中京のスタンドはファンの大歓声で屋根が吹き飛ぶほどの盛り上がりになるだろう。

ファン人気も高い7歳牝馬のナムラクレアは3年連続で2着に入っており、2023年はファストフォースに1馬身差、2024年はマッドクールにハナ差、そして昨年はサトノレーヴに3/4馬身差で敗れている。

ナムラクレアは3歳時にG1・桜花賞で3着に入ると、G1・スプリンターズステークスでも3年連続で3着に健闘。G3は4勝、そして2024年にはG2・阪神カップを制しており、12月の前走もこのレースでの2着だった。

ここで勝てば、繁殖入りする前のこれ以上ない“手柄”となるだろう。

Namura Clair winning the G3 Keeneland Cup in 2023
NAMURA CLAIR, SUGURU HAMANAKA / G3 The Keeneland Cup // Sapporo /// 2023 //// Photo by @gomashiophoto (X)

連覇なるか?サトノレーヴが復権へ

サトノレーヴは昨年、高松宮記念を制して“国内最強スプリンター”を証明すると、その後は香港のG1・チェアマンズスプリントプライズ、ロイヤルアスコットのG1・クイーンエリザベス2世ジュビリーステークスでいずれも2着に入った。

ただし、連覇の壁が高い。高松宮記念を連覇となればまさに快挙と言える。レースが距離短縮されて以降、連覇を果たした馬はたった1頭だけ。2010年と2011年に制したキンシャサノキセキのみだ。

ロードカナロア産駒のサトノレーヴは、まずは2つの敗戦から立て直さなければならない。昨年のスプリンターズステークスは4着、その後12月の香港ではカーインライジングの後方で精彩を欠き9着に敗れており、これはキャリア最大の大敗となっている。

堀調教師、単独最多勝にリーチ

サトノレーヴにとって追い風となるのは、堀宣行調教師が、このレースを連覇させる仕上げ方を熟知していることだ。キンシャサノキセキを管理したのも堀師だった。そしてサトノレーヴが今回勝てば、堀師は高松宮記念の単独最多勝調教師に浮上する。

堀調教師の高松宮記念3勝は、安田隆行元調教師の3勝と並んでいる。安田師の3勝は快速牝馬のカレンチャン(2012年)、ロードカナロア(2013年)、そしてロードカナロア産駒のダノンスマッシュ(2021年)によるものだ。

堀師の単独最多勝の行方は、ロードカナロアの“もうひとりの息子”に託された。

ウインカーネリアン「最年長記録更新」なるか

9歳馬のウインカーネリアンが高松宮記念を勝てば、JRA史上最年長G1制覇を更新する大記録となる。さらに、約半年前のスプリンターズステークスからのスプリントG1連勝という形にもなる。

これは決して簡単なことではない。実際、スプリンターズステークスを勝った翌年に高松宮記念も制した例は、ビリーヴ(2002年と2003年)、カレンチャン(2011年と2012年)、ロードカナロア(2012年と2013年)の3頭しかいない。

そして、この2レースは求められる適性が異なる。スプリンターズステークスは初秋の速い馬場で、右回りの中山、直線は短い(310m)うえにラスト200mで急坂を駆け上がる。

一方の高松宮記念は春の開催で、重めの馬場となることも多く、左回りで直線は412.5mとより長い。さらに400mから250m地点にかけての上り坂を超えると、ゴールに向かって平坦の直線が待っている。

パンジャタワー、短距離でも最高峰の栄冠へ

ロードカナロアは、短距離戦で猛威を振るった後、春のマイル最高峰であるG1・安田記念を制し、スプリントに加えてマイル界でも最強という強さを証明した。

スプリントとマイルの両方でG1を制し、距離の壁を越えて最高峰の実績を手にした馬は多くないが、パンジャタワーはその道を目指している。

ただし、パンジャタワーは逆の順序だ。昨年、東京のG1・NHKマイルカップを勝利し、その後にスプリント路線へ舵を切った。

8月に1200mのG3・キーンランドカップを幸先良く勝つと、その後の2戦は海外遠征を決行。豪州の高額賞金競走・ゴールデンイーグル(1500m)では、地元女王のオータムグローを相手に5着と健闘し、前走サウジアラビアのG2・1351ターフスプリントでも、米国馬のリーフランナーに次ぐ5着に入った。

ここで勝てば、パンジャタワーは国内の短距離路線を担う存在に位置付けられる。そして6月に東京で行われる安田記念では再びマイルに戻り、『スプリンター兼マイラー』の称号を確かなものにするための戦いに挑むかもしれない。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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