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蹄の状態が懸念されていたニュージーランドのエルヴェンセドールだが、管理するスティーブン・マーシュ調教師は不安説を一蹴。日曜日にシャティン競馬場で行われるG1・クイーンエリザベス2世カップに向けて、調整は順調に進んでいるとアピールした。

エルヴェンセドールがQE2世Cを勝てば、ニュージーランド調教馬としては初勝利、そして2008年のサースリック以来となるニュージーランド産馬の勝利となる。しかし、前走後に蹄膿瘍を発症し、調整過程への影響が危ぶまれていた。

それでも、水曜日朝にはシャティン競馬場のダートコースで2日連続で馬場入り。マーシュ調教師はエルヴェンセドールの膿瘍は完治したと、Idol Horseの取材に向けて述べた。

「確かにちょっとした頓挫はいくつかありましたが、無事に乗り越えることができました。状態はバッチリですよ」

「今朝の調教での動きは素晴らしく、これ以上ない仕上がりですね。あの大型ビジョンに映る自分の姿がお気に入りのようで、彼自身も自分の状態の良さを分かっているんじゃないでしょうか」

「膿瘍の件を除けば、前走後からは問題らしい問題はなく完璧な調整過程で来ています。何もトラブルはありませんでした。幸い、膿瘍を発症したタイミングも悪くなかったので、本番前にきっちり治すことができました」

「香港の環境にもすっかり馴染んでいます。調教師よりもリラックスしているかもしれませんね!私もここに来られて嬉しいですし、設備も本当に整っているなと感じています」

エルヴェンセドールの追い切りは木曜日の朝に行われ、そこではレース当日の鞍上を任されているザック・パートン騎手が騎乗する。パートンがショッキング産駒の同馬に騎乗するのはこれが初めて。芝コースで感触を確かめる予定だ。

「準備は万端、ここに来るまでに状態は仕上がっていました。こちらで強い追い切りを行う必要はなく、ザック(パートン騎手)が騎乗する木曜日の追い切りだけで充分だと思っています。ラスト600mをサッと流す程度、本当に調整って感じの追い切りになるはずです」

「ザック・パートン騎手を確保できたのは良かったです。何しろ、香港のキングですからね。彼とはここ数週間連絡を取り合っていますが、この馬に乗れることを楽しみにしているそうです。一流の騎手が騎乗し、そして自信を見せてくれるとなると、こちらとしても心強いですよ」

総賞金2800万香港ドル(約5億円)を誇るQE2世Cは、9月から始まったエルヴェンセドールの長いシーズンの締め括りとなる。今シーズンはG1を3勝、ハービーダイクS(2000m)、WFAクラシック(1600m)、ニュージーランドS(2000m)を制している。

QE2世C以降の予定は完全に未定だが、マーシュは海外でのさらなる挑戦への扉を開くことを期待している。もっとも、まずは週末の結果がすべてだとしつつ、世界の舞台に立てるだけでも興奮しているという。

「日曜日のレースを終えて、後はもうどこへ行くのも思うがままなんて言えたら最高ですけどね。もちろん、まずは結果次第です。コックスプレートに行くのか、年末の香港国際競走でまた帰ってくるのか、あるいは他の海外遠征か。QE2世Cが試金石の一戦になると思います」

「ほぼ確実なこととして言えるのは、この後は放牧に出して休養入りするということくらいです。ニュージーランド国内にも魅力的なレースはあるので、海外路線を歩むのか、国内専念を取るのか、日曜日の結果が判断材料になるでしょう」

「この舞台に立てるなんて、まだ実感がありません。招待を貰ったときでさえ、実感が湧きませんでした。いつもレースをテレビで観ているだけでしたから、自分の馬をここに連れて来られるなんて思ってもいませんでした」

アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの副編集長。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。また、競馬以外の分野では、ナイン・ネットワークでオリンピック・パラリンピックのリサーチャーも務めた。

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