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メルボルンカップの出走条件に、さらに大きな変更が加わる見通しだ。ヴィクトリア・レーシング・クラブ(VRC)は、フレミントン行きを目指す馬に『優先出走権』を付与するレースをもう1つ新設する方向で協議を進めている。

Idol Horseの取材によると、『優先出走権』レースに昇格するのはG3・ジーロングカップ(2400m)が有力視されている。過去にはアメリケイン(2010年)やドゥーナデン(2011年)といったフランス調教馬が、ここをステップに本番を制しており、長らく重要な前哨戦と見做されているレースだ。

今回の変更が実現すれば、ロイヒギンズクオリティ、アンドリューラムズデンステークス、ザバートカミングス、アーチャーステークスに続き、ジーロングCもメルボルンCの24頭の出走枠を懸けた “ゴールデンチケット”レースに加わることになる。

他にも春の主要G1であるコーフィールドカップやコックスプレートの勝ち馬、さらには米国のベルモントゴールドカップ、英国のイボアハンデキャップの勝者にも優先出走権が与えられている。

複数の情報筋がIdol Horseに語ったところによると、ジーロングCの優先出走レースへの昇格は「ほぼ確実」とされており、よほどの想定外の事態が起きない限り、この制度変更は近く正式に発表される見通しだ。

実際、過去10年のジーロングC勝ち馬のうち、8頭がメルボルンCに出走している。2024年のワンスムースオペレーター(12着)、2016年のキウイ(4着)、そして2019年のプリンスオブアラン(2着)らは、斤量加増と引き換えに選考順位を繰り上げ、本番への出走枠を確保してきた。

2022年のエミッサリーとプリンスオブアランは、あと一歩のところで本番制覇を逃した2着馬として記憶に残る。

だが、今後はそのような斤量増加と出走順位の “計算” をせずとも、勝ちさえすれば夢の大舞台に直行可能。メルボルンカップへの足掛かりとして使いやすくなる。

VRCはここ数年、メルボルンCの優先出走権レースの拡充に積極的な姿勢を示しており、特に年間を通じてレースへの関心を高めることや、オーストラリア調教馬の出走機会を広げることを目的に、より早期からの選考対象レースの整備を推進してきた。今回のジーロングC格上げも、その一環とみられる。

欧州馬にとっても、この変更は追い風となるだろう。近年ではオーストラリア到着後、メルボルンで隔離を受けながら調整し、その過程でジーロングCに出走してメルボルンCを狙うケースが増えている。直接出走権が与えられることで、ローテーション面でも大きな利点となる。

昨年のジーロングCの賞金は50万豪ドルだったが、メルボルンC直前の約2週間前というタイミングで出走を確約できるレースとなれば、その価値は金額以上のものとなるのは間違いない。

昨年のメルボルンCでは、クイーンズランド州を拠点とするシーラ・ラクソン & ジョン・シモンズ厩舎のナイツチョイスが波乱の勝利を挙げた。リアリティ番組の歌唱コンテスト出演で有名となったアイルランド人ジョッキー、ロビー・ドーランが単勝91倍の大穴を導いての勝利だった。

なお、現在フレミントン競馬場は来年のコックスプレート開催地の最有力候補となっており、ムーニーバレー競馬場が改修期間に入る中で、豪州を代表する馬齢重量戦の代替地も近く決定される見込みだ。

コーフィールド競馬場も開催地として名乗りを上げており、こちらの動向にも注目が集まっている。

アダム・ペンギリー、ジャーナリスト。競馬を始めとする様々なスポーツで10年以上、速報ニュース、特集記事、コラム、分析、論説を執筆した実績を持つ。シドニー・モーニング・ヘラルドやイラワラ・マーキュリーなどの報道機関で勤務したほか、Sky RacingやSky Sports Radioのオンエアプレゼンターとしても活躍している。

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