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本馬場での追い切りを翌日に控え、G1・ジ・エベレストまで残り6日となった日曜午後、これまで圧倒的1番人気だったカーインライジングの人気が不気味なほど急落する異常事態が発生。SNS上では荒唐無稽な憶測が飛び交い、豪州のブックメーカーが発売を一時停止する事態となった。

ここ数か月間、前売り市場の主役だった香港のカーインライジングだが、世界最大のベッティング・エクスチェンジ市場であるベットフェア社のオッズで、1.5倍から2.6倍まで上昇する異変を見せた。馬券購入者はこれに動揺し、「数日間飼い葉を食べていない」「出走回避が間近」といったデマを含む噂がSNSで拡散する原因となった。

しかし、すでにカーインライジングとともにシドニー入りしているデヴィッド・ヘイズ調教師に、まったく動じる様子はなかった。Idol Horseの電話取材に対し、落ち着いた言葉で近況を説明してくれた。

「ええ、絶好調ですが……まったく問題ありません。明日の朝、追い切ります」とヘイズ。

5歳馬のカーインライジングは月曜日、カンタベリー競馬場の芝本馬場で追い切りを予定している。次の土曜日に控える、賞金総額2000万豪ドルのジ・エベレストへ向けた最終仕上げを左右する重要な調教メニューだ。

「最後の400メートルは23秒台で上がらせます。予定どおり、ここまでは完璧です。1日も調教を休んでいませんし、現地でのトライアルの後は狙いどおりに引き締まってきました。ここまでの進捗にはとても満足しています。全て準備万端ですよ」とヘイズ。

カーインライジングは火曜にランドウィックで最後のバリアトライアルを行い、主戦のザック・パートン騎手も飛行機で駆けつけて実戦的な一叩きを行った。二人は、各方面から分析の対象となっているトライアルでの走りについて、「目立たなくても確かな内容」という評価を下していた。

一方、SNS上で憶測が渦巻く状況に、ヘイズはどこか本気で不思議がっている様子だった。

「みんなが何を言っているのか、ちょっとよく分からないんですよね。私はX(旧Twitter)はやっていませんので。普段話しているのは身内ばかりですから」

前売り市場の混乱にもかかわらず、殿堂入りの名伯楽は、ジ・エベレストの最有力候補が万全であることを強調する。

「カーインライジングは今、本当に絶好調です。万事順調に来ていますよ」

マイケル・コックス、Idol Horseの編集長。オーストラリアのニューカッスルやハンターバレー地域でハーネスレース(繋駕速歩競走)に携わる一家に生まれ、競馬記者として19年以上の活動経験を持っている。香港競馬の取材に定評があり、これまで寄稿したメディアにはサウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ジ・エイジ、ヘラルド・サン、AAP通信、アジアン・レーシング・レポート、イラワラ・マーキュリーなどが含まれる。

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