若手有望株の佐々木大輔騎手も、今回JRAのスマートフォン規制違反で処分を受けた1人だ。先月、トップ女性騎手の藤田菜七子が処分を受けた後に電撃引退してからも、JRAは強硬姿勢を維持している。
佐々木は20歳で、現在3年目のシーズンを迎えており、今季だけで3つの2歳重賞（G3）を含む通算74勝を挙げ、JRA騎手リーディングで10位に入っている。彼と21歳の横山琉人には30日間の騎乗停止処分が科された。
また、22歳の永野猛蔵騎手は制限区域内でのスマートフォン使用や親族へのレース情報提供が問題視され、1年間の騎乗停止処分を受け、JRAに対して引退を申し出た。
JRAの規定では、騎手がレースの週末中に、競馬場の中にある『調整ルーム』や競馬場内では、通信機器の使用が禁止されている。通常、この期間は金曜日の午後9時から日曜日のレース終了後に競馬場を出るまでであり、その間、騎手はパートナーや子供を含む外部との電子通信が一切禁じられている。
今回の一連の処分は、JRAの『隔離（ロックダウン）』アプローチやその背景にある文化が現代の電子コミュニケーションの普及に適応しているか、そして厳格な取り締まりが問題解決にどれほど効果的であるかについて改めて疑問を投げかけている。
佐々木大輔騎手と横山琉人騎手は、JRAの騎手ロックダウン中の通信に関与したとして、11月14日から12月13日までの騎乗停止処分を受けることとなった。佐々木は、5月4日と5月14日にロックダウン中の小林勝太騎手（21歳）がLINEアプリを使い外部と連絡を取っていた際にその場に居合わせ、また小林のスマートフォンにはロックダウン期間中に撮影された佐々木の写真が残っていた。このことから佐々木も間接的に通信違反に関与したと見なされた。
一方、横山はすでにロックダウンを解かれていたものの、3月16日と5月25日に永野猛蔵との通信を行っていた。永野がまだロックダウン中であったことから、JRAは横山も規則違反をしたと判断した。
永野と小林については、すでに9月下旬にスマートフォン規制違反で処分が下されていたが、永野はさらに10月5日と6日にスマートフォンを使用していたことが新たに発覚した。11月12日に開催された裁定委員会の審議では、永野が足の怪我で戦線を離脱していた期間中、家族にレース情報を伝えていたという新たな証拠が示された。
このスマートフォン問題では、若手騎手を中心に規則違反が相次ぎ、スマートフォンを2台所持し、1台を提出しながらもう1台を隠し持っているケースが多いことが明らかになっている。
藤田菜七子（27歳）は、JRAのスマートフォン規制における『被害者』として最も知られる存在となった。JRAが女性騎手の活躍を奨励する中でその象徴的存在だった彼女は、2023年春にスマートフォンを使用した件で遡及的な罰則が下された後、10月に騎手免許を返上。JRAの対応は、彼女のロックダウン中のスマートフォン使用について取り上げた週刊誌の記事が発表されたことが引き金となった。
2023年5月には、今村聖奈騎手、古川奈穂騎手、永島まなみ騎手、河原田菜々騎手、小林美駒騎手、そして故・角田大河元騎手ら6名の若手騎手が、騎手ロックダウン中の通信機器使用違反で騎乗停止処分を受けた。角田は2024年8月に自ら命を絶っており、当時JRAにより、函館競馬場でのレース後に競馬場のコースを車で走行した件で調査を受けていた。
さらに、2024年6月には水沼元輝騎手（21歳）もロックダウン中のスマートフォン使用が発覚し、翌月に9か月間の騎乗停止処分が下されている。
