クリスチャン・デムーロ騎手が来月、2年ぶりにJRAの短期免許を取得することが明らかになった。また、スケジュールの都合、そして香港ジョッキークラブからの招待があれば、香港競馬での短期騎乗も検討しているという。
フランスを拠点とするクリスチャン・デムーロは、2011年に初来日すると、それ以来195勝を挙げている。その中には桜花賞、阪神ジュベナイルフィリーズ、エリザベス女王杯といったG1タイトルも含まれており、海外遠征する日本馬の鞍上をよく任されることでもお馴染みだ。
「天皇賞秋の週、10月26日から日本に向かう予定です。詳細は確認する必要がありますが、12月22日までの2ヶ月間を予定しています」
Idol Horseの取材に対して、クリスチャン・デムーロは日程を明かしてくれた。
前回、短期免許で来日したのは2022年の秋まで遡る。その際はジェラルディーナでのエリザベス女王杯も含め、23勝を挙げている。しかし、期間中に2度の騎乗停止処分を受けたことで制裁点が超過、昨年は短期免許を申請することができなかった。
彼がこれまで日本でコンビを組んできた調教師には、中内田充正調教師、藤原英昭調教師、斉藤崇史調教師といった面々が含まれる。
「日本に戻るのが楽しみです。良い馬や良いレースと出会えますし、ファンも素晴らしいんです」
「日本に行くと、みんなが自分や馬、そしてレースを楽しみに競馬場に来ていることが伝わります。そして、応援してくれるんです。『デムーロファン』と書かれた横断幕を用意してくれたりしますし、特別なんです。ヨーロッパのサッカーみたいな雰囲気ですね」
また、クリスチャン・デムーロは香港でも1、 2ヶ月間の短期滞在を望んでいたが、スケジュールの都合で難しいという。香港競馬で短期免許を取得できれば、兄のミルコ・デムーロ騎手に次ぐ記録となる。2013/14シーズンには香港でG1を制し、現在は日本で通年免許を取得して騎乗中だ。
「香港については何度も話しています」
「本当に行ってみたいのですが、日本に行く2ヶ月間がギリギリです。その後はフランスで競馬シーズンが始まってしまうので、どうしても難しいんです。今年は1月と2月を検討中です。香港に一度行ってみて、どうなるか次第ですね」
「香港も特別な場所です。良い場所ですし、競馬も好きです。ジョッキーチャレンジに出場し、大レースにも何度か騎乗しましたが、長期間滞在したことはありません」
「厳しい場所なのは、承知の上です。短期騎乗するだけでも大変です。たとえ勝ったとしても、次のチャンスがあるかは分かりませんし。厳しい国ですが、競馬や住むには素晴らしい場所なので、さらに経験を積んでみたいと思っています」
アジアに向かう冬シーズンの前には、フランス最大のレースが待っている。10月5日と6日、凱旋門賞ウィークだ。2020年のソットサス、そして昨年は3歳馬のエースインパクトで凱旋門賞を制しているが、どちらもトップトレーナーが率いるジャン=クロード・ルジェ厩舎の馬での勝利だった。
「エースインパクトは私にとって特別な馬でしたね」
「このような馬がもっといれば良いのですが、さすがにそれは難しいですね。やはり特別な存在です。この馬に乗ると、やることが簡単なんです。詰まらないように注意するだけで、あとは彼にお任せでした」
しかし、そのスターホースも今は種牡馬入りしているため、今年はクラシック牝馬のスパークリングプレンティに期待している。6月のG1・仏オークスの雪辱を果たしたいところだ。
「前哨戦のG2・サンドリンガム賞では騎乗して勝ちましたが、その後親指を骨折して1ヶ月間騎乗できず、その間に乗り替わって仏オークスを勝ちました」
「グッドウッドでは再び手綱を取って、ナッソーステークスでオペラシンガーの3着に入っています。素晴らしい牝馬です。距離延長に耐えられるなら、凱旋門賞でも乗りたい一頭ですが、まだ時間はあるので決まったことではありません」
自身の怪我、そして彼を支えるルジェ調教師が癌で闘病中という困難な状況にも関わらず、今年はフランスで104勝を挙げている。その中には、彼が大きな期待を寄せる2歳の1戦1勝馬、ジョヴィアライトでの勝ち星も含まれている。
メダグリアドーロ産駒の牝馬、ジョヴィアライトは9月9日にサンクルー競馬場の2歳戦を6馬身差圧勝。楽勝でデビュー勝ちを収めた。
「フランスで見た2歳馬の中だと、最高クラスの一頭です」
「調教には2回跨がりましたが、それも良かったです。ですが、レースでは驚かされましたね。合図を送ってからのギアチェンジ、そこからの末脚は素晴らしかったです」
ジョヴィアライトは来年楽しみな馬だが、直近の楽しみは日本での兄ミルコや家族との生活だという。
「京都では兄と一緒に滞在する予定です。兄に会えるのはこういう機会しかないので、楽しみにしています。日本に戻ってこられて、嬉しいですね」