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土曜日、シャティン競馬場で行われたバリアトライアルでまたしても、鮮烈な走りを披露したカーインライジング。調教後、報道陣が一斉に取り囲む中、デヴィッド・ヘイズ調教師の表情は喜びを隠しきれなかった。

注目すべきは、カーインライジングの走りだけではなかった。世界最高のスプリンターとも評される同馬は1000mを56.45秒で楽々と駆け抜けたうえ、トライアルの前後に見せた気性面でも、これまでと比べて明らかな進歩を示した。

ヘイズ師は「今日いちばん重要だったのは、精神面で今年はより成熟しているということです」と開口一番にコメント。続けて、「昨年の(同日の)トライアルを見れば分かりますが、彼はピリピリしていて、落ち着きがなく、少しフレッシュすぎました。今年はこちらの望み通り、落ち着いて周回できていました」と語った。

香港競馬のシーズン開幕1週間前に毎年行われる恒例のプレシーズン・カーニバルは、その年最初の芝バリアトライアルが主役となる。カーインライジングは馬場入りする前から主役級の存在。装鞍時から大観衆を引き寄せ、チャンピオンジョッキーのザック・パートン騎手が鞍上に跨がると、さらに視線を集めた。

特筆すべきは、同じトライアルで走った併走馬のメンバー。クラス3の条件馬たちを14馬身突き放した初回のトライアルとは違い、土曜日のトライアルの顔ぶれにはG3勝ち馬のパッチオブシータ、クラス1で2着の実績があるゴージャスウィン、オーストラリアのG3勝ち馬であるホームズアコート、さらに鳴り物入りで輸入された移籍馬のスタンリーエクスプレスが名を連ねていた。

ヘイズ師はパートンに対し、「勝っても1馬身差以内にとどめるように」と指示していたが、序盤からその “指示通りの走り” は難しそうに見えた。カーインライジングはパートンがしっかり抑えているにもかかわらず、コース中央を大きくリードして進んでいた。

最終的に、カーインライジングは持ったままでフィニッシュし、2位入線のパッチオブシータに2馬身差で先着。来週日曜日のクラス1・香港特区行政長官盃に向けての最後の実戦調整を、軽快な走りで締め括った。

シーズンが明けて5歳となる同馬は、勝てばこのレース連覇となる。昨年同様にトップハンデの135ポンドを背負う予定だが、レーティングは昨年と比べて23ポイント高い。

ヘイズ師は「楽々とあのタイムで走れるのだから、かなり印象的です」と述べ、「ザックの唯一の指摘は、彼が手前を替えないことでしたが、プレッシャーがかからなければ手前を替える必要はありません。それ以外は問題ありません。ゲート裏での落ち着きにも満足でした」と続けた。

「まだレース時の体重より少し重いですが、現段階の仕上がりとしてはこれ以上ないくらい満足しています。昨年のレース時より約25ポンド(11キロ)重いのは、年齢を重ねての成長分として当然ですし、遠征前に少し調整の余地を残しておきたいと考えています」

「今日のトライアル前に測った馬体重は1160ポンド(約526キロ)でしたから、ジ・エベレスト当日には1150ポンド(約521キロ)を目指して仕上げるつもりです」

マイケル・コックス、Idol Horseの編集長。オーストラリアのニューカッスルやハンターバレー地域でハーネスレース(繋駕速歩競走)に携わる一家に生まれ、競馬記者として19年以上の活動経験を持っている。香港競馬の取材に定評があり、これまで寄稿したメディアにはサウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ジ・エイジ、ヘラルド・サン、AAP通信、アジアン・レーシング・レポート、イラワラ・マーキュリーなどが含まれる。

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アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの副編集長。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。また、競馬以外の分野では、ナイン・ネットワークでオリンピック・パラリンピックのリサーチャーも務めた。

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