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ヴォイッジバブルが31年ぶりとなる香港三冠を達成したことで、2024/25シーズンの香港年度代表馬を巡る議論が一段と活発になってきた。

三冠制覇という実績だけでも称賛に値するが、その劇的な勝ち方も、ヴォイッジバブルにさらなる追い風となるだろう。直近の印象が評価に影響する傾向もあり、そうした流れも同馬に追い風となるかもしれない。

これまで年度代表馬の最有力候補と見られていたのはカーインライジングだった。8戦全勝のパーフェクトシーズンを達成し、G1・4勝、G2・3勝に加え、香港短距離三冠(香港スピードシリーズ)の完全制覇も果たした。

さらにカーインライジングは、G2・ジョッキークラブスプリントでセイクリッドキングダムが長年保持していた1200mのトラックレコードを更新し、続くG1・センテナリースプリントカップでその記録を自ら再び塗り替えた。

ただし、スプリンターが年度代表馬に選ばれることは稀だ。最後に栄誉を手にしたのは短距離馬は2010年のセイクリッドキングダム、それ以降では2014-15年シーズンのエアロヴェロシティが最も近づいたのみ。当時はエイブルフレンドに僅差で敗れており、今なお『不当な結果だった』との声も一部で残っている。

セイクリッドキングダムを管理したリッキー・イウ調教師は、ヴォイッジバブルでもまた香港の競馬史に残る偉業を成し遂げた。今シーズンの敗戦は、初戦のG2戦での敗北と、G1・チャンピオンズマイルでの僅差の2着、わずかに2回だけである。

もしそのチャンピオンズマイルで勝利していれば、香港記者協会の会員と香港ジョッキークラブのウインフリート・エンゲルブレヒト=ブレスゲス、アンドリュー・ハーディング、グレッグ・カーペンターら6人の選考委員の間でも、ヴォイッジバブルが本命視されていたかもしれない。

では、ロマンチックウォリアーはどうか。実績だけを見れば、G1・香港カップ、国内G2、さらにドバイのG1・ジェベルハッタの圧勝を含む戦績は、例年ならば十分に受賞に値する内容だ。

しかし、冒険的な遠征を重ねたロマンチックウォリアー陣営にとって不運だったのは、クビ差とハナ差という2度の惜敗が、2年連続の年度代表馬の夢を遠ざける決定的な要因になりかねないということだ。

ロマンチックウォリアーにとって、サウジカップでのクビ差敗戦は痛恨の極みだった。ドバイターフのハナ差も、実際にはわずか8ミリという、写真判定がなければ判断できないほどの僅差だった。

その挑戦心は称賛に値するが、残酷にも競馬は『努力』ではなく『結果』にしか報酬を与えない。

一方、ヴォイッジバブル陣営もまた、大きなリスクを冒してきた。三冠挑戦の構想自体に疑問を呈する声も多く、リッキー・イウ調教師や馬主に対して否定的な見方をする関係者も少なくなかった。

イウ調教師は、ヴォイッジバブルが2000mの壁を突破する前、すでに三冠挑戦の可能性を口にしていた。G1・香港ゴールドカップで中距離初挑戦を成功させるよりも前のことだった。

もし三冠挑戦に失敗していたなら、そして1,000万香港ドルの三冠達成ボーナスに届かなかったなら、陣営は『才能ある馬を無理に走らせた強欲な者たち』と非難された可能性もあった。

だが、日曜日の夜。ヴォイッジバブルが勝利を飾った後、シャティン競馬場に夜の帳が下りる中、検体採取所から馬房へと戻るその姿には、あと1周でも走れそうなほどの余力すら感じられた。馬道を歩く途中で軽く足を蹴り上げるほどの余力を見せたのだ。

ヴォイッジバブルは、G1・チャンピオンズ&チャターカップでパドックに登場したときと変わらぬ活気を保っていた。2400mのゴール板を突き抜けるようにスパートし、他馬を置き去りにしたこの『鮮烈な独走劇』の余韻こそが、年度代表馬という称号の行方を左右する、最も強い記憶として投票者の心に刻まれるに違いない。

この3頭のうち誰が年度代表馬に選ばれると思いますか?

マイケル・コックス、Idol Horseの編集長。オーストラリアのニューカッスルやハンターバレー地域でハーネスレース(繋駕速歩競走)に携わる一家に生まれ、競馬記者として19年以上の活動経験を持っている。香港競馬の取材に定評があり、これまで寄稿したメディアにはサウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ジ・エイジ、ヘラルド・サン、AAP通信、アジアン・レーシング・レポート、イラワラ・マーキュリーなどが含まれる。

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